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<イヌワシ>絶滅危惧種を守る

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2022.09.07(2023.09.20 更新)

イヌワシ保全の取り組みを広めています!

報告

専門度:専門度3

▲上信越山地と国指定浅間鳥獣保護区

テーマ:生息環境創出モニタリング森林保全絶滅危惧種

フィールド:森林

NACS-Jは「イヌワシの舞う日本の森を未来へ引き継ぐ」ことを目指し、多くの皆様のご支援をいただきながら活動を進めてきました。今回、環境省信越自然環境事務所、中部森林管理局東信森林管理署、長野イヌワシ研究会との協力により、「種の保存法」の「イヌワシ保護増殖事業計画(1996年、環境庁・農林水産省)」に基づく、「浅間山におけるイヌワシ保護増殖事業実施計画(以下、実施計画)」を策定しました。

この実施計画は、国有林の森林計画に基づく森林施業によってイヌワシの採餌環境を改善することを柱とし、森林計画に即した運用を明記しています。環境省と林野庁が連携したイヌワシ保全の先行事例になるものです。また、採餌環境の改善を基本としつつ、目標とするつがい数や繁殖成績を達成できない場合に備え、補助的な給餌と飼育下個体群の野生復帰など、より積極的な保全対策も検討することが明記されたことは、イヌワシの危機的な現状を踏まえた先進的な計画と言えます。

プロジェクト実施体制の図▲浅間山イヌワシ復活プロジェクト実施体制

上信越山地は、9つがいから2つがいに激減

実施計画の対象範囲である「国指定浅間鳥獣保護区:約3万ha」は長野県と群馬県の県境の上信越山地(図参照)に位置しています。上信越山地には、1985年ごろまで9つがいのイヌワシが生息していましたが、現在では2つがいと、そのほか2カ所に雄1羽ずつが生息するのみと、極めて危機的な状況です。実施計画の対象範囲においても、かつて2つがいが生息していましたが、2020年以降雄1羽しか生息していない状態が現在まで続いています。

イヌワシの生息環境悪化の主要因は、過去の拡大造林政策による人工林の拡大、薪炭林の利用の減少、放牧地や採草地の減少などにより採餌環境が減ったことです。NACS-Jは、2014年より群馬県みなかみ町赤谷の森でイヌワシの採餌環境改善を開始し、宮城県南三陸地域、長野県浅間山と展開をしてきました。イヌワシの生息環境と採餌環境の改善を、さらにスピード感をもって拡大するためには、2025年までに5000万円の活動資金が必要です。引き続きのご支援をよろしく願いいたします。

▲対象地域内では、昨年度から伐区2~3haのカラマツ林の主伐と再造林が、計12ha程度行われ、センサーカメラなどのモニタリング調査が実施されています。

日本自然保護協会の活動は皆様からの会費やご寄付で支えられています。日本自然保護協会の活動にご支援をよろしくお願いいたします。
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担当者から一言

出島さんの顔写真

リポーター
生物多様性保全部 出島誠一
今回の計画策定地は、2013年に視察に対応していただいた場所で、その年が最後の繁殖成功でした。もう一度子育てに成功してほしいと願っています。

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