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2021.09.02(2021.09.06 更新)

チョウの絶滅を防ぎたい!オオルリシジミの生息域回復プロジェクト

報告

専門度:専門度2

飛んでいるオオルリシジミの写真

▲北アルプス常念岳を背景に安曇野に舞うオオルリシジミ(写真:那須野雅好)

テーマ:生息環境創出絶滅危惧種里山の保全

フィールド:草原

長野県の安曇野地区一帯のオオルリシジミは絶滅したと思われていましたが、1995年にわずかに生息している個体が見つかりました。

そこで「安曇野オオルリシジミ保護対策会議(代表:那須野雅好さん)」が結成され、国営アルプスあづみの公園内への保護区の設置、飼育蛹の放飼、春先の火入れ、パトロールなどの保護活動が行われてきました。

NACS-Jも2017年より、この活動に参画しています。これまでの取り組み、この1年の成果を安曇野オオルリシジミ保護対策会議の中村寛志さんにご報告いただきます。


安曇野のオオルリシジミは20年近く、国営公園内の小さな保護区で細々とその個体群を維持している状態でした。そのため2017年の農地整備に伴う食草クララの移植作業を契機に、「オオルリシジミ生息域回復プロジェクト」を始めました。

生息地が分断しないよう、公園内の生息地をつなぐようにクララを植栽し、さらに安曇野市内にも植栽して、生息環境の回復を目指しています。成虫のマーキング調査と卵・幼虫調査による成虫の飛翔行動の解析や植栽プランの作成、地域の人々にクララの苗を配布して植栽していただくイベントを実施してきました。

 

安曇野市内に広がる食草クララ

活動が実を結び、保護区以外でもオオルリシジミが広がり、2019年からは国営公園以外でも成虫や幼虫の目撃情報が寄せられるようになりました。特に昨年は「岩原の自然と文化を守り育てる会(代表:百瀬新治さん)」により約2000鉢のクララの苗が用意され、この取り組みに共感した700名以上の市民の皆さんの手で、ご自宅のお庭など276カ所にクララを植栽することができました。

その結果、今年6月には、昨年植えたクララにオオルリシジミがやって来る様子が観察されるなど、確実に生息域回復のための基盤が整いはじめています。今年の配布会でも300名以上の方が参加して、131カ所にクララの植栽地を増やすことができました。(図1・2)今年度からは信州大学理学部の協力を得て、DNA解析を行い遺伝子の多様性の分析も始めています。

この活動は「安曇野オオルリシジミ保護対策会議」がプラットフォームとなって、NACS-Jをはじめ、国営アルプスあづみの公園管理センター、岩原の自然と文化を守り育てる会、信州生物多様性ネットきずな、地元企業のほか、調査への参加や寄付を通して支援してくださるNACS-J会員の皆様など、多くの人の参加と協力でネットワークがつくられつつあります。

北アルプスを背景に飛び交うオオルリシジミの姿を再現するためにぜひ皆様のご協力とご参加をお願いいたします。

中村寛志(信州大学名誉教授・安曇野オオルリシジミ保護対策会議)

クララの分布図の画像図1:クララの分布図(2019年以前にNACS-Jが把握していた分布)

クララの分布図の画像図2:2020-2021年の活動で増えたクララの分布図

▲アリと共生しているオオルリシジミの4齢幼虫(2021年6月24日)

▲国営アルプスあづみの公園保護区での野焼き。野焼きにより、オオルリシジミの幼虫への寄生バチの被害を減らすことができる。(2021年3月17日)

参加者の集合写真▲クララ植栽イベント(2020年10月3日)

 

ご寄付のお願い

絶滅危惧の草原のチョウ、オオルリシジミの絶滅回避のため、ご寄付によるご支援をお願い致します。

 

担当者から一言

担当者顔写真

リポーター
生物多様性保全部 萩原正朗
食草クララを植栽した市民一人一人のお庭が「小さな民間保護区のつながり」としての機能を果たし、この絶滅危惧種のチョウの生息域の回復を支える力になり始めています。ぜひ、5~6月の成虫が舞う時期に安曇野に見にいらっしゃいませんか?

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