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日本の絶滅危惧種を守る

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2020.05.01(2020.05.07 更新)

オオルリシジミが安曇野で分布拡大傾向に

報告

専門度:専門度2

オオルリシジミの写真

▲2019年の調査でマーキングされた個体

テーマ:生息環境創出絶滅危惧種

フィールド:草原

長野県と九州の一部でのみ生息が確認されている、絶滅危惧種のオオルリシジミ。NACS-Jは、2016年より安曇野オオルリシジミ保護対策会議に参加して保全に取り組んでいます。

オオルリシジミの幼虫はクララを唯一の食草としています。2017年に長野県の安曇野市内の近隣地区の圃場整備で撤去予定になっていたクララの株を、会員の皆様や地域の方の参加を得て、国営アルプスあづみの公園内に移植しました。

中村寛志先生の指導のもと、保護区から500mほど離れた園内のもう一つの自然発生地を結ぶように線状に植栽。この植栽により保護区との間での成虫の行き来が増え、それまで保護区と自然発生地の間の場所ではほとんど見られなかった成虫が確認されるようになりました。昨年の秋にもこの植栽を補強する形でクララの移植を行いました。

成虫確認数の年次変化(個体数/調査)(江田ら2019)

2017 2018 2019
保護区 10 12.7 29.9
植栽地点a 0.5 2.7
自然発生地点b 0.4 0.3 6.3

分布域拡大に備えて、皆様からいただいた「草原のチョウ」へのご寄付を活用して、安曇野市内の岩原地区で下記の取り組みを行いました。

  • ①地区内のクララの分布状況調査
    食草の分布状態を知ることで、的確な場所への植栽計画を立てることができるため、面として安定した生息場所を広げることができます。
  • ②オオルリシジミの成虫の地区内目撃調査
    地域の皆様に協力を呼びかけ、成虫の目撃情報を集めています。3年目の昨年は、はじめて3個体の写真付きの情報が得られました。1個体はマーキングされた個体で、移動状況を知るための貴重な資料になりました。
  • ③地域での啓発看板の設置
    岩原公民館、県道わき、公園内の3カ所に設置しました。
  • ④違法な採集防止活動
    岩原の自然と文化を守り育てる会と地元の警察署に、違法な捕獲・採集対策への協力をお願いしました。

黄色いステッカーを貼った軽トラック3台の写真▲岩原の自然と文化を守り育てる会の皆様に、ステッカーやハガキ大の大きさの「イエローカード」を配布して、地域一体となって違法な採集防止対策への協力を得ました。

 

2020株の食草クララの苗の配布

岩原の自然と文化を守り育てる会が、2020株のクララの苗を作り、6月27日、28日に地域の皆様に配布を予定しています。クララはオオルリシジミが利用できるようになるまで育つのに5年程度かかるため、数年後を見通した活動でもあります。安曇野市内の会員の皆様もご自宅にクララを植えて、オオルリシジミの分布拡大に関わってみませんか。

5月24日に、オオルリシジミの成虫観察と卵塊調査をします。詳細は別途案内致します。

2018オオルリシジミ自然観察会集合写真▲2018オオルリシジミ自然観察会・調査会

担当者から一言

担当者顔写真

生物多様性保全部 萩原正朗
オオルリシジミの絶滅回避まであと一歩です。皆様からのご支援をどうぞよろしくお願いします!

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