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2018.02.23(2019.07.08 更新)

絶滅危惧種二ホンイヌワシの生息地と風力発電事業計画の関係の現在

解説

専門度:専門度3

バードストライクで死亡したイヌワシ (写真:須藤明子(日本イヌワシ研究会))

テーマ:生息環境保全森林保全自然環境調査絶滅危惧種

フィールド:森林

1980年代から繁殖成功率の低下が続き、ここ10年程の間にはそれ以上に各地でペアの姿が消えてしまうという現象が起きている日本のイヌワシ(亜種名二ホンイヌワシ)。最も危険度が高い絶滅危惧種とされながら、生息地の保護保全対策は赤谷プロジェクトなどで進めているものの、日本全体としてみた場合、極めてわずかしか進んでいません。

一方、再生可能エネルギー生産のための風力発電所建設計画が各地で進んでいますが、この中に既知のイヌワシの繁殖地・生息地に近く、計画地が行動圏に含まれ、衝突死で個体が失われる恐れがあるものが多く含まれています。事前に環境への影響を掴み、計画地の移転や取りやめも含めた保全対策を考慮するための環境アセスメント手続きが進行中のものだけでも19カ所に及び(日本イヌワシ研究会調べのものを一部追加変更。一覧表参照)、ほとんどが岩手県というのが現状です。

イヌワシの繁殖・生息に危険を及ぼす可能性があると考えられる、環境影響評価手続き中の風力発電計画進行状況 (環境省「アセス支援ネット」データベース※から引用。日本イヌワシ研究会資料を一部改変・追加。風力発電名はすべてWF事業と表記) ※アセス支援ネットhttp://www.env.go.jp/policy/assess/3-1procedure/about_table.html (2018.1.30現在)

★環境影響評価手続きの流れ→ http://www.env.go.jp/policy/assess/1-3outline/3_4.html
配慮書→方法書→準備書の段階を経て評価書(最終報告書)となり、事業が始められるもの。

手続きでは、文献などから作る「配慮書」、調べる内容と方法を決める「方法書」、事業の実行を前提に時間をかけて現地調査を行う「準備書」の段階を経て、「評価書」にすることが求められます。中でも、配慮書は本来、計画地の移転や取りやめを調査コストをかける前の段階で判断できるようにと作られた段階。次の準備書段階でも、コストが膨らむ追加調査の必要性などが意見としてつけられた場合、変更が求められるもの。

日本自然保護協会は、このように同時進行で進む多くの案件の進捗を関係地域の自然観察者に伝え、計画変更に結びつけられる生息の事実情報をアセスメントの手続きに反映させ、見直しが行われる状況をつくっています。会員のみなさまのホームグラウンド近くの案件には、ぜひご注目ください。

 

担当者から一言

参事 横山隆一

皆様のホームグラウンド近くの案件には、ぜひご注目ください。

 

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