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2016.12.13(2017.09.13 更新)

【2016年12月更新リスト】IUCNレッドリスト更新。 ~キリンと、鳥類の多くが絶滅の危機に~

解説

 ▲ キリン(Giraffa camelopardalis)/IUCN Photo Library (c)Alicia Wirz

テーマ:絶滅危惧種

IUCN(国際自然保護連合)レッドリスト(The IUCN Red List of Threatened Species)の最新の更新で、キリンの個体数は過去30年間のうちに40%まで減少し、その要因として、生息地の喪失、社会情勢不安、違法捕獲であることも明らかにされました。
また、700種近い鳥類が再評価され、このグループの11%が絶滅の危機にあることがわかりました。

 

問い合わせ先
Goska Bonnaveira, IUCN Media Relations, m +41 79 276 01 85,
e-mail:goska.bonnaveira@iucn.org
Ewa Magiera, IUCN Media Relations, m +41 76 505 33 78,
e-mail ewa.magiera@iucn.org


■IUCN Red List 2016.12 プレスリリース(日本語訳・原文)

※プレスリリーダウンロードはこちらから
*******IUCN Red List 2016.12 プレスリリース抜粋(仮訳)*******

キリンと、鳥類の多くが絶滅の危機に ―IUCNレッドリスト

 

2016年12月8日メキシコ・カンクン

IUCNレッドリスト(The IUCN Red List of Threatened Species)の最新の更新で、700種近い鳥類が再評価され、このグループの11%が絶滅の危機にあると評価された。またこの更新では、キリンが急激に減少しており、その要因として、生息地の喪失、社会情勢不安、違法捕獲であることも明らかにされた。キリンの個体数は過去30年間のうちに40%まで減少し、このため絶滅危惧Ⅱ(*)類と評価された。 *2はローマ数字

本日発表されたIUCNレッドリストでは、野生のカラス麦、大麦、マンゴーや他の穀物の原種となる植物の初めてとなる評価も含まれている。これらの種は、食糧安全保障上その重要性が高まっている。なぜなら、原種の遺伝的多様性が、病気や干ばつ塩害に抵抗力をもつよう穀物を品種改良する際に必要となるからだ。この度の更新は、メキシコ・カンクンで開かれている生物多様性条約第13回締約国会議で発表された。IUCNレッドリストは、今回の更新により24,307種の絶滅危惧種を含む、85,604種を評価したことになる。

「多くの種が、私達が種として認識する前にひっそりと消えているのです」とIUCN事務局長インガー・アンダーセン氏は語る。「今回の発表は、地球規模の絶滅の危機が私たちの思う以上に早く進んでいることを示しています。カンクンで行われている国連生物多様性サミットに集まっている政府の人々には、私たちの住む地球の生物多様性を守るための取り組みを発展させるという大きな責任があります。それは、単に自分たちのためではなく、食料安全保障や持続可能な開発といった人類の課題のために必要なのです」

 

鳥類:新種と認定されたものもすでに絶滅危惧種であった

今回のIUCNレッドリストでは、全鳥類の再評価がなされている。Handbook of the Birds of the Worldの協力のもと、バードライフインターナショナルが行なった包括的な分類学上の検討により、鳥類の全種数は11,121種であるとされた。

新種とされた計742種も評価され、その11%が絶滅危惧種とされている。例えば、近年新種として記載されたミソサザイ科の仲間のThryophilus sernaiは絶滅危惧IB類とされ、その生息地の半数は、たった一つのダム建設によって失われようとしている。他にも、農業のための生息地損失や外来植物の繁茂による生息地の劣化により、オオハシモズ科の仲間のCyanolanius comorensisは絶滅危惧IB類という状況に追いやられている。

新種とされた鳥類のうち13種が絶滅種としてIUCNレッドリストに登録された。ヨシキリ科の仲間のAcrocephalus yamashinae、アトリ科の仲間のLoxops wolstenholmei 、アカハワイミツスイ(Himatione fraithii)、これらのうちのいくつかは過去50年の間で絶滅したと考えられる。これら全ては島嶼固有の鳥類で、外来種の影響を大きく受けた。

「不幸なことに、700種近い新種の発見は、世界の鳥類達の生息が良くなっているということを意味しません。」と、バードライフインターナショナルのグローバルサイエンスコーディネーターであるイアン・ブルフィールド博士は語る。「私たちの知識が深まるにつれて、私たちの心配が現実へと変わっていきます。持続可能ではない農業、違法伐採、外来種や、違法貿易などのその他の脅威は、依然として沢山の種を絶滅の危機に追いやっています。」

IUCNレッドリストの評価で、適切な行動を取らないと世界で最も有名な鳥たちが間も無く自然から消え去ろうとしていることも明らかとなった。人の言葉を真似ることができる能力をもった驚きのペットとして象徴的な鳥であるヨウム(Psittacus erithacus)は非持続可能な罠猟や生息地損失により、野生絶滅になろうとしている。中央アフリカ固有の鳥類のヨウムは絶滅危惧Ⅱ類からIB類へと保全状況が悪化している。バードライフインターナショナルの調査によると99%以上減少した個体群もあることがわかっている。

状況は特にアジアで悪化している。チャビタイガビチョウ (Garrulax rufifrons)・スンバゼイガイインコ(Trichoglossus forsteni)や、キガシラヒヨドリ(Pycnonotus zeylanicus)などこれらの一連の種が更に絶滅の危機が高いとされるカテゴリにアップデートされたのは、野生動物の違法貿易の結果である。
主にジャワ島を中心とした、愛玩鳥のための貿易の非持続可能なレベルでの捕獲が、沢山の種の状況悪化を加速させている。

しかし、私達の地球で最も希少で脆弱な鳥にとっての良いニュースもある。彼らは、小さく、隔絶された島に生息している。島固有のアゾレスウソ(Pyrrhula murina)や、セントヘレナチドリ(Charadrius sanctaehelenae)、セーシェルメジロ(Zosterops modestus)は、今回のIUCNレッドリスト更新を機に、絶滅の危機が低いランクに移行した。これは、根気強い保全活動が実を結び、個体数が絶滅の淵から回復したことによるものである。

▲セントヘレナチドリ(Charadrius sanctaehelenae)/(c)John Perry

キリン
世界の誰もが知る動物であり、陸上の哺乳類で最も背が高い動物であるキリン(Giraffa camelopardalis)は、現在絶滅の危機にある。

当種は、アフリカ南部と東部に広く生息し、小さな下位個体群がアフリカ西部と中部に存在する。1985年の約151,702頭~163,452頭から、2015年には97,562頭となり36~40%の減少が見られたことから、軽度懸念から絶滅危惧Ⅱ類への格上げとなった。

人間の人口増加は、キリンの下位個体群に負の影響を及ぼしている。違法狩猟、農業と鉱業の拡大による生息域の破壊と改変、人間と野生動物の間でのトラブル、社会情勢不安などが当種を絶滅の危機に追いやっている。

キリンの9亜種のうち、3種は個体数が増加しており、5種は減少、1種は定常状態にある。
今年(2016年)9月に実施されたIUCN世界自然保護会議では、キリンの減少を逆転させるためのアクションを求める決議が採択された。

▲ キリン(Giraffa camelopardalis)/IUCN Photo Library (c)Alicia Wirz

 

 

作物の近縁野生種
今回のアップデートにより、カラスムギ・オオムギ・ヒマワリなどの、233種の作物の近縁野生種の初めての評価が行われた。農業の拡大を主要因とした生息域の破壊がこれらの種にとっての最大の危機となっている。

当評価は、トヨタ自動車とIUCNとのパートナーシップによって行われた。このパートナーシップの目的は、IUCNレッドリストの評価範囲を拡大し、世界の人口の大多数の食料のカギとなる多くの種の絶滅のリスクを把握することだ。

作物の野生近縁種は、「新たな」作物にとっての遺伝物質の元となり、病気や干害に対する抵抗性、生産量、栄養価などその他の望ましい形質を増加させることが出来る。人間が栽培化し、現在育てている殆どの植物種は、1つもしくはそれ以上の近縁野生種から改良されたものである。しかし、これらの種は、体系立てられた保全の措置が今日までほとんど取られていない。

マンゴーの4種が絶滅危惧ⅠB類となり、ウルシ科マンゴー属の仲間のMangifera casturiは、野生絶滅とされた。これらの種は、一般的なマンゴー(Mangifera indica)の近縁種であり、生息域の損失によって絶滅の危機にさらされている。南アジア原産のマンゴーは、沢山の熱帯・亜熱帯の国々で栽培されており、これらのエリアにとって商業的に最も重要な種となる。

▲ ウルシ科マンゴー属の仲間のMangifera casturi/(c)TopTropicals.com

 

栽培されているアスパラガスの近縁種であるハマタマボウキは、日本原産である。都市化や農業による生息域の損失により、絶滅危惧ⅠB類とされた。生息地の損失は、キク科ヒマワリ属の仲間のHelianthus anomalusにとっても主要な危機である。当種は絶滅危惧Ⅱ類とされており、ヒマワリ(H. annuus)の近縁種である。イランとトルコ原産のマメ科の仲間のCicer bijugumは、ヒヨコマメ(C. arietinum)の近縁野生種であり、生息地の農地への転換が原因で、絶滅危惧ⅠB類とされた。

「穀物種の野生近縁種が、都市化や生息地の断片化、集約的農業、そして、おそらく気候変動によって危機に晒されています」とKevin Butt氏(General Manager, Regional Environmental Sustainability Director, Toyota Motor North America)は語る。「穀物の品種改良にとって極めて重要な遺伝資源の蓄積を守るために、これらの種についての知見を急ぎ改善していく必要があります。トヨタ自動車は、IUCNレッドリストでのこれらの種の評価に支援を提供しています」

 

淡水の種 ― ビクトリア湖

中央アフリカにあるビクトリア湖原産の、全ての淡水の軟体動物・カニ・トンボと淡水魚の評価が当アップデートによって含まれることになった。生物多様性の高さにより、ダーウィンの夢の池※として知られるビクトリア湖の主な危機は、ナイルパーチ(Lates niloticus)のような侵略的外来種、過剰漁獲、伐採と農業に起因する湖への土砂の堆積、農薬と除草剤による水の汚染などである。

※訳注:”Darwin’s dream pond”。日本では「ダーウィンの箱庭」と訳されることが多い


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Goska Bonnaveira, IUCN Media Relations, m +41 79 276 01 85,
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■プレスリリースの原文は、IUCN Red List 2016.12 プレスリリース(日本語訳・原文) をご覧ください。

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