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<ツキノワグマ>絶滅危惧種を守る

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2021.03.01(2023.09.22 更新)

四国のツキノワグマを絶滅させない! 地域の理解や協力を得る活動を展開中

報告

専門度:専門度3

▲急峻な斜面で、ニホンミツバチの養蜂箱の周囲に電気柵を設置。今年は被害ゼロだった。

テーマ:絶滅危惧種

フィールド:森林

わずか二十数頭の四国のツキノワグマを絶滅させないために、多くの皆様のご支援を活用して、地域に密着した活動を進めています。

NACS-Jとタッグを組み、地元で幅広い活動に奮闘している四国自然史科学研究センターの安藤さんと山田さんに今年度の活動状況を報告していただきます。


世界で最も小さな個体群となってしまった、四国のツキノワグマ。彼らの持続的な保全を考えた時、地域に住む方々からの理解や協力は、最も欠かせない要素です。しかし現状では、対策の不十分さやクマを正しく知らないことにより、地域がクマの生息に不安を感じたり、保全する価値が認知されないといった課題があります。

そこで2020年からの3年間では、NACS-J会員の皆様のご支援と環境再生保全機構地球環境基金も活用し、①これまでの分布外縁部での生息実態調査を継続②情報発信によりクマの生息に対する不安を軽減③クマが生息できる森が地域のプラスとなる新たな社会的価値の創出など、四国のクマ保全の土台作りを進めています。

20年度の調査では、17~19年の調査で確認された新たな生息地域を主な対象としました。4~11月にカメラを設置した42地点のうち、13地点でクマの生息を確認しました。当該地域の生息の安定性を把握し、必要に応じて保護区の拡大や生息地整備といった取り組みにつなげます。

 

調査ステーションを設置

地域への情報発信や、地元企業の社有林などで予定していた広葉樹を増やす活動では、新型コロナの影響から参加者を募る活動がなかなかできず、とても歯痒い一年目となりました。しかし、中心的な生息地である徳島県那賀町木頭地区に活動拠点となる調査ステーションを構えたことで、地元のさまざまな方と協力関係を構築でき、普及啓発ブースの出展や座談会の実施、生息地域の紹介映像の作成など、限られた範囲ではありますが、地域に根付いた活動を進めることができました。

また、人とクマの軋轢防止の活動も進めています。当センターでは、度々発生する養蜂被害の対策として、地域住民向けに電気柵の貸し出しを行ってきました。今年は貸し出しの電気柵を増やすことができ、3名の方々と被害対策を実施できました。この電気柵を多くの方々に活用していただき、人とクマが適切な距離を保つサポートしていきます。

四国自然史科学研究センター山田孝樹・安藤喬平

【写真1】2020年の生息調査結果図。外縁部の地点では既知個体3頭、未知個体2頭の計5頭が確認された。

【写真2】四国自然史科学研究センターの山田さん(左)、安藤さん(右)。【写真3】剣山南麓にある山小屋「奥槍戸山の家」でクマブース出展。

【写真4】地元の木頭杉の間伐材を活用した木工製品の製造販売会社(株)Wood Headに依頼し「ISLAND BEAR Friendly 五稜箸」を製作。【写真5】推定4才のメス個体(愛称:サクラ)。四国地域個体群の分布回復を担う期待の若手。

寄付のお願いと特設サイト・動画のご紹介

NACS-Jでは、四国自然史科学研究センター、日本クマネットワークと協力して、四国のツキノワグマを絶滅させないための取り組みを進めています。
世界で最も小さい島・四国に生息するツキノワグマを守り続けるために、皆さまからのご支援をよろしくお願い致します。

今回、本取り組みについて特設サイトを開設し、動画でも詳しく紹介しました。ぜひご覧ください。

▲Save The Island Bear|四国のツキノワグマを絶滅の危機から救いたい
(画像をクリックすると特設サイトに移動します。)

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担当者から一言

出島誠一

リポーター
生物多様性保全部 出島誠一
皆様のご支援で、木頭に地域拠点を構えた活動がスタートしました。寝泊りできるだけの山小屋のような古い家ではありますが、ここから着実に活動を進めています。引き続きのご支援よろしくお願いいたします。

 

ご参考

四国のツキノワグマの絶滅を回避するための提言書を提出しました(2020年5月)

絶滅寸前!四国のツキノワグマを守る活動の現場視察に行ってきました(2020年12月)

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