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2019.01.07(2019.07.08 更新)

南三陸でイヌワシを保全する新たな森林管理開始

報告

専門度:専門度4

テーマ:森林保全絶滅危惧種生息環境創出

フィールド:森林

絶滅の危機にあるイヌワシの生息環境を改善するために、皆様のご支援をいただきながら、2014年から群馬県みなかみ町「赤谷の森」でイヌワシが狩りをする場所の創出試験を進めるとともに、2015年から宮城県南三陸地域でイヌワシ生息環境再生プロジェクトに取り組んできました。

南三陸地域は古くからイヌワシの生息地として知られており、60年以上に渡って地元の方々によって調査が進められてきました。そのため、イヌワシの繁殖地として国の天然記念物に指定され、南三陸町の“町の鳥”はイヌワシです。イヌワシは南三陸地域の人々にとって古くから親しまれてきました。しかし、南三陸地域で生息が確認されていた4つがいのうち、3つがいが2012年までに消滅してしまいました。

▲1970年代イヌワシが毎年のように繁殖していたころの南三陸地域の生息環境。林業などによって樹木が少なく、イヌワシが狩りのできる空間が見られる。

 

国有林・町有林・民有林が連携した日本初の取り組み

今回、イヌワシの生息場所である森林を管理する、林野庁東北森林管理局、南三陸町、佐久株式会社が連携して、イヌワシの生息環境の再生を目指す5年間の森林計画を策定することで合意し、12月7日に記者会見を行いました。

国有林・町有林・民有林が連携したこのような取り組みは日本初のことです。イヌワシの行動範囲はひとつがいあたり6000haにも及びます。赤谷の森で、生息環境の改善を進めてこられた要因のひとつは、イヌワシの行動範囲のほぼ全てが国有林であることです。一方で、日本各地のイヌワシの生息地においては、行動範囲の森にさまざまな所有者がいる方が普通です。日本各地で、森林にかかわる多様な主体が連携して、イヌワシの保全と林業振興の両立を目指す取り組みを進めることができれば、イヌワシを絶滅の危機から救うことができるものと期待します。

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