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2010.05.01(2018.06.27 更新)

【自然しらべ2010】みえてきたこと

調べる対象:

見えてきたこと

「自然しらべ」は自然の健康診断で、全国を俯瞰しようと続けてきたものです。自然は、国によって思い浮かぶものは違い、乾燥しすぎた国でも寒すぎたり暑すぎたりする国でもない日本では、生き物を思い浮かべるのが普通。今回は夏の川が対象で、森と海をつなぐ水の通り道で、水中や水辺の生物の宿りの場で、身近にない人はいない環境でした。同じ川でも、どの場所を見たかによっていい悪いが少し違ってくる対象でしたが、以前と比べ、汚れた川は減っていることがわかり、ハグロトンボのような繊細なトンボも戻ってきつつあることがわかりました。簡単な調査項目でも、「みんなで見ると見えてくる」ものはあります。自然の中で楽しみながら、身近な自然の変化に気づいていただける機会をこれからも作っていきたいと思います。
横山隆一(日本自然保護協会 常勤理事)

過去の自然しらべのデータ等は、SISPAで閲覧いただけます。SISPAへの閲覧用ログインパスワードは、最新号の会報『自然保護』の奥付に記載しています。 (2010みんなで夏の川さんぽ結果レポートは下記よりダウンロードいただけます。)

2010 みんなで夏の川さんぽ結果レポート(PDF/859KB)

 

結果レポートに掲載したトピックス以外でも、こんなことが見えてきました。

ダンゴムシ類(ワラジムシ類も含む)やハサミムシ類 <初級>

今回、ダンゴムシ類は108か所の調査地点からの報告がありました。しかし思ったほど情報が集まらず、また参加者の皆さんから送っていただく写真の中に、他のいきものと違ってダンゴムシ類の写真がほとんどありませんでした。
今年の自然しらべに参加してくださった方の多くが川の中に入って生きものを探してくださったので、かえってダンゴムシ類は見つけにくかったのかもしれません。

 

キクイモとボタンウキクサ(外来生物) <中級>

キクイモ(写真左)は、北は青森から南は鹿児島まで、報告数は少ないものの、満遍なく報告が寄せられました。夏の川では黄色い花の植物は少なく目立ちますが、同じく黄色い花を咲かすオオハンゴンソウなどと見間違えて報告している例もありましたオオハンゴンソウは今回注目して欲しい生きものとして取りあげたミズヒマワリやボタンウキクサなどと同じく特定外来生物*で、寒さに強いため北海道や東北などから今では九州まで分布を広げ、日光の戦場ヶ原や北海道の湿原などで問題になっている植物です。
ボタンウキクサは、埼玉、千葉、神奈川、兵庫、熊本、大分からの情報が寄せられましたが、こちらは報告件数が思ったより少なく、今回皆さんがしらべてくださった川には、目立って生育している様子はないようでした。ボタンウキクサはもともとはアフリカに生えていた水草で、金魚や池に浮かべる水草として以前はペットショップやホームセンターなどでも販売され、余ったものが捨てられて増えてしまったようです。冬の水温が低くなると枯れてしまうと言われてしますが、今後温暖化によって水温が高くなると、分布がさらに広がる可能性もあります。

 

ハンミョウ類 <上級>

ハンミョウ類は、23か所の調査地点からの報告がありました。とってもってすばやく動く虫なので、見つけるだけでも大変だろうと思っていたのですが、ハンミョウとトウキョウヒメハンミョウを見つけて写真を送ってくださった方がいらっしゃいました。川以外でも、家の庭でみつけたハンミョウのお写真を送ってくださる方がいたり、マニュアルでお知らせしたシルエットの画像に似たゴミムシの仲間などを写真にとって送ってくださる方がいたり、注目度はとっても高かったです。
河原にはこのほかにも、アイヌハンミョウ、コニワハンミョウ、ニワハンミョウ、カワラハンミョウなど、たくさんのハンミョウの仲間が生息しています。川を訪れる機会にはまた、いろいろなハンミョウたちを探してみてください。

広い視点で川のいきものを発見

参加してくださった皆さんは、調査の対象にしたいきものだけでなく、広い視点を持って自然に目を向け、各地の川の情報を寄せて下さいました。その結果、絶滅危惧種を含む、水辺でくらすいきものたちの情報も、たくさん寄せられました。下記は見つかったいきもののほんの一部です。

見つかったいきものの一部(昆虫類)

○チョウ仲間

アゲハチョウ,アオスジアゲハ,カラスアゲハ,キアゲハ,ミヤマカラスアゲハ,アサギマダラ,イチモンジチョウ,キタキチョウ,キタテハ,コミスジ,ジャノメチョウ,ツマグロヒョウモン,ナガサキアゲハ,ベニシジミ,モンキチョウ,ヤマトシジミ


○半翅仲間

セミの仲間
アブラゼミ,クマゼミ


○カメムシの仲間

(主に陸上にいるもの)ホオズキカメムシ,マルカメムシ
(主に水辺にいるもの)アメンボ,タイコウチ,ミズカマキリ


○トンボ仲間

ウスバキトンボ,ウチワヤンマ,オオシオカラトンボ,オナガサナエ,オニヤンマ,コオニヤンマ,コヤマトンボ,シオカラトンボ,ショウジョウトンボ,チョウトンボ,ハグロトンボ,ベニトンボ,マイコアカネ,マユタテアカネ,ミヤマカワトンボ,ミヤマアカネ,ミヤマアカネ


○甲虫の仲間

(陸上にいるもの)トウキョウヒメハンミョウ,ハンミョウ,ミヤマクワガタ,マメコガネ
(水の中にいるもの)コシマゲンゴロウ,ハイイロゲンゴロウ


○カゲロウの仲間

ヘビトンボ

 

見つかったいきものの一部(両生類)

アズマヒキガエル,アマガエル,オオサンショウウオ,カスミサンショウウオ,シュレーゲルアオガエル,トノサマガエル,トウキョウダルマガエル,ニホンアカガエル

見つかったいきものの一部(は虫類)

ニホントカゲ,カナヘビ,スッポン,ミシシッピアカミミガメ

見つかったいきものの一部(魚類)

アユ,カマツカ,サクラマス,タイリクバラタナゴ,ヨシノボリの仲間

見つかったいきものの一部(甲殻類)

アメリカザリガニ,サワガニ

*特定外来生物:外来生物(海外起源の外来種)であって、生態系、人の生命・身体、農林水産業へ被害を及ぼすもの、又は及ぼすおそれがあるものの中から指定されます。特定外来生物は、生きているものに限られ、個体だけではなく、卵、種子、器官なども含まれます。 詳しくは環境省のWebsiteをご覧ください。

環境省:http://www.env.go.jp/nature/intro/1outline/index.html