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2010.05.01(2018.06.27 更新)

【自然しらべ2010】しらべ方のコツ(探し方)

調べる対象:

しらべ方のコツ(いきものたちの探し方):ムシ編

A.ダンゴムシ類(ワラジムシ類も含む)やハサミムシ類 <初級>


石の下や草の根の際など、物陰にひそんでいますから、物をひっくり返したり、落ち葉などをめくったりして探してみましょう。また、歩行中に側溝に落ちたり、壁にぶつかったりして進めなくなったムシたちが、壁づたいの地表などにいる場合もあるので、こうしたところも狙い目です。
☆ダンゴムシ類は、体に厚みがあって、指などで刺激を与えると丸まります。これに対して、平べったくて丸まらないのがワラジムシ類です。いろいろな種類がいますが、区別するのは難しいです。

【分布】全国

しらべてわかること
くらしている場所は、湿り気が違うような気がします。この点に着目して調べると、河原の微妙な環境の違いが分かるかもしれません。また、ひっくり返した物を、ゴミ・漂流物(人工・自然)・石といった分類に当てはめ、数を比べてみましょう。河原と人の関わりが見えてくると思います。

 

D.ハグロトンボ:<中級>


水ぎわだけでなく、河畔林の林床でも見られます。止まっていると、環境に溶け込んで見つけにくいものです。歩き回って、トンボを飛ばすのが良いでしょう。
☆ハグロトンボは、羽が黒いカワトンボの仲間です。似た種類に、アオハダトンボやミヤマカワトンンボ、カワトンボ類(橙翅型)があります。ミヤマカワトンボは体が明らかに大きいので間違えにくいです。アオハダトンボやカワトンボ類との区別は、羽の色に注目してください。ハグロトンボが、一様に黒色であるのに対し、光の角度によって緑色の光沢に輝く、羽の先に白い点がある(以上、アオハダトンボ)、褐色が混じる(カワトンボ類)などの違いがあります。

【分布】全国

しらべてわかること
卵や幼虫の時に水中で過ごします。産卵や幼虫の居場所として、水際に生える草は重要ですし、肉食の幼虫を支える小水生昆虫の存在、そして、ある程度の水質などが生息条件となります。こうした水中の諸条件を個々に調べるのは大変ですので、成虫を確認することで間接的に知ろうというのが、ハグロトンボ探しです。このように、特定の環境を示す種類のことを、環境指標生物といいます。環境指標生物の生息を確認し、環境の様子を間接的に知るという手法は、特別な機材や実験を必要としないので、市民調査の一つの有用な手段といえます。

 

F.ハンミョウ類:<上級>


ハエのように地表近くを飛び回っている虫がいたらハンミョウ類の可能性があります。座って、飛んでいたところを中心に地表を広範囲に観察してみましょう。長い脚を巧みに操ってすばやく動く虫がいたら、それがハンミョウ類です。シルエットとよく見比べてみましょう(できれば捕獲し、写真を撮って送ってください。撮影後のムシはその場で放しましょう)。
☆河原に生息するハンミョウ類は、大人の小指の爪ほどの長さ以下の種類が多く、これ以上の体長だと、きわめて珍しい種類である可能性があります。とにかくすばしっこい虫ですので、網などで一時的に捕まえるとよいでしょう。ビニール袋などに入れ、撮影してから体をよく観察してください。羽の模様が区別するときの重要なポイントです。また、鋭い牙状の口や結構毛深い体、実は角度によって色が変わったりと、じっくり観察すれば、渋みのある虫だということが分かりますよ。

【分布】全国

しらべてわかること
健全な河原には、ハンミョウ類がすむ砂地があると考えられます。ハンミョウ類の生息の有無は、河原の健康診断に有益と思うのですが、トウキョウヒメハンミョウのように、締まった固い地面にも生息し、環境悪化に強く、河原の自然度には関係ないものもいます。また、近年、車両乗り入れによる河原の荒れ地化が、エリザハンミョウなど、一部の種類の復活を促している現状もありますので、本当であれば種類を特定し、生息数などと河原の様子とすり合わせて考えないといけないことだと思います。今回は、みなさんがハンミョウ類のようなすばしこくて見つけにくい虫をどれだけ見つけることができるかを知り、市民調査としての可能性も探りたいと考えています。

 

しらべ方のコツ(いきものたちの探し方):植物編

しらべてわかること
今回、しらべる対象の植物は、外国からやってきたものです。これらの植物は在来の植物や生きものたちが元気でたくさんくらしている健全な生態系では、そんなに増えることができないと言われています。つまり、対象の植物がたくさんみつかる場所は、生態系が病気になっているような状態だと考えることもできます。
もし複数の場所でしらべることができたら、対象の植物が見つかった場所と見つからなかった場所とで、周辺の環境の違いや植物が侵入した理由を考えてみましょう。外来生物が日本の生物多様性に与えている影響について、より深く実感して考える機会になると思います。

 

B.キクイモ(外来種):<初級>


河川敷の荒れ地のようになっているところによく生えています。遠くからでも花が咲いていれば目立つので、橋の上や土手の上などから、河川敷に背の高い黄色い花を咲かせている草がないか探してみましょう。花は8月頃から11月頃に咲くと言われています。
見つけたら、ちょっと大変ですが1本引き抜いてみるといいでしょう。根っこがお芋のような形になっていれば間違いありません。

【分布】全国に分布していますが、北海道、長野県、群馬県に多いと言われています。

 

C.ボタンウキクサ(外来種):<初級>


川の中でも、水の流れが止まっているように見えるくらい流れの緩やかな場所や、川岸の草や木が生い茂っているところの近くを探してみましょう。水面にきれいな黄緑色の浮き草がたまっていたら、近くに行ってよく見てみましょう。写真のような浮き草だったら間違いありません。ボタンウキクサに似た植物や浮き草は他にはないのです。
水面の上に出ている部分は10cmくらいあります。レタスが水の上に浮いているように見えるため、ウォータ―レタスと呼ばれるようになったと言われています。

【分布】関東・甲信越以南

 

E.ミズヒマワリ(外来種) :<中級>


川沿いの砂や泥などのたまるしめった場所に生えています。草の高さは大きくなると2mくらいになります。
葉っぱは、ほかの草よりも深緑色が濃いので、遠くからでも見つけられます。必ず茎の反対側に2枚向かい合って葉っぱが生えているのがポイントです。名前の由来は葉っぱがひまわりに似ているからとされていますが、あまり似ていません。
もし濃い緑色の切れ込んだ葉っぱの草を見つけたら、花が咲いていないか探してみましょう。小さな白い花びらがたくさん集まって、1cmくらいのボールのような形になっていれば、ミズヒマワリかもしれません。

【分布】関東、東海、関西、九州北部 等

 

解説:写真提供

  • ムシの解説:槐真史(厚木市郷土資料館、自然しらべWG委員)
  • 植物の解説:廣瀬光子(NACS-J 教育普及部長)
  • ムシの写真提供:槐真史、山本厚宏(自然観察指導員)
  • 植物の写真提供:志賀隆(大阪市立自然史博物館)、廣瀬光子

 

参考資料