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2022.12.19(2022.12.20 更新)

【気になるキーワードを解説】世界が注目している「NbS(Nature based Solutions)」ってなんだろう!?

対象:一般市民従業員学生

貢献:自然を活かした地域づくりSDGs愛知ターゲットNbS(Nature based Solutions)ネイチャーポジティブ

日本自然保護協会(以下、NACS-J)は「自然のちからで、明日をひらく。」をスローガンに掲げ、豊かな日本の自然を守り、人と自然が共に生きる社会の構築を目指し活動しています。Nature based Solutions(以下、NbS)は、NACS-Jが日本の事務局を務める国際自然保護連合(以下、IUCN)が提唱し、世界的に注目を集めている概念です。

この概念は企業が生物多様性の保全を行う上でも重要になるキーワードとして注目されています。ぜひこの機会にNbSについて理解を深め、NACS-Jと共に生物多様性の取り組みを推進していきましょう。


自然環境は社会の基盤です。持続可能な社会を築くためには、ネイチャーポジティブな社会を実現することの重要性が世界の共通認識になりつつあります。2022年12月にはカナダのモントリオールでCOP15が開催され、今後ますます生物多様性への関心は高まっていくと予想されます。それに伴い、企業にも生物多様性の保全に向けた取り組みが強く求められるようになってきました。

そんな中、自社の取り組み状況はいかがでしょうか。「すでに力を入れている」と答える企業の皆さまもいる一方で、「これからやろうと思っているが、正直どこから手を付けたらよいかわからない」、「気候変動対策や他のCSR活動に追われて手が回らない」と、まだまだ注力できていない企業の皆さまも多くいるのではないでしょうか。NbSについて知ることは、そんな社会の流れに合わせ活動していくヒントにもなります。また、NbSに沿って活動することで、年々、世界での注目度も増し、投資活動にも強い影響を与えるようになってきています。それでは、NbSとはどのようなものなのか、解説していきます。

NbSとは、「自然に根差した解決策」と直訳されます。この、自然に根差して解決を目指す課題こそ、我々が直面しているさまざまな社会課題です。例えば、気候変動や自然災害、人の健康など、社会を取り巻く課題は、しっかりと自然に根差して解決を目指しましょう、というのがNbSです。

7つの社会課題

では、「自然に根差す」とは具体的にどういうことを言っているのか。IUCNの定義では、「社会課題に効果的かつ順応的に対処し、人間の幸福および生物多様性による恩恵を同時にもたらす、自然の、そして、人為的に改変された生態系の保護、持続可能な管理、回復のための行動」とされています。簡単に言えば、自然を守ることが社会課題の解決につながり、私たちの暮らしを守ることにもつながる、と言っているのです。

NbSの概念は、2‌0‌0‌9年にIUCNが提唱。その後、気候変動や自然保護関連の国際会議などで注目を浴び、10年ほどで社会課題解決におけるアプローチの主流として全世界に知られるようになりました。2‌0‌2‌0年には、IUCNがNbSの世界標準を公表しています。

世界標準では、他分野にわたる多様性に富んだ意見を元に議論を交わし、NbSの正しい方向性と実用性を高めるため8つの基準が設けられました。また、8つの基準に加え28項目の質問からなる自己診断シートも用意されています。自分たちがすでに実施している活動や、これから検討しようとしている活動が、NbSに適合しているかどうか診断することもできるようになっています。自己診断を行うことで自分たちの取り組みに不足している点を洗い出して、より良いものへと改善していくことができるわけです。現在、生物多様性の政策に関する重要な考え方として将来の生物多様性国家戦略にも反映させるべきとする専門家報告書が環境省に提出されました。

NbSの実用性を高める8つの基準

ちなみに、メガソーラーや風力発電などの再生エネルギー事業はNbSとは異なるものです。風、波、太陽エネルギーは自然由来のエネルギー資源ではありますが、NbSが根拠とする「機能する生態系の力を利用」したものではありません。例えば太陽光エネルギーを得るために山の自然を開発してメガソーラーを設置するなど、生態系の機能を損なうものはNbSとは異なります。また、例えば壁登りに長けたヤモリの手を模倣した粘着性の高い手袋などバイオミミクリーと呼ばれる自然から着想を得た解決策もNbSとは異なるものです。

NbSは、今、世界で最も重視されている社会解決のためのキーワードと言っても過言ではありません。持続可能な社会を構築するべく、ネイチャーポジティブな社会の実現を目指し、企業の皆さまのNbSに即した活動が求められています。

NbSについてもっと詳しく知りたい、NbSに即した活動をしていきたいという企業の皆さまは、ぜひNACS-Jにお問い合わせください。NACS-Jには企業連携専門チームがあり、多くの企業の皆さまとの実績もございます。また、会員や寄付サポーターの皆さまにお送りしている会報誌『自然保護』2021年9月、10月号では、NbSについて事例も交えながらわかりやすく紹介しています。


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