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2022.06.27(2022.07.01 更新)

新たな保全地域「OECM」を広めるプロジェクトを開始!

ワークショップ参加者の画像

▲2013年に千葉県で実施した、市内の保全重要地域を調べるワークショップ。自然環境の情報が不足する中で、地域の市民や自然観察指導員が果たす役割は大きい。

フィールド:生物多様性保全

2030年までに陸と海それぞれ30%を生物多様性保全の場にするという国際目標ができそうです。その中で、「OECM」という新たな保全地域に国際的な注目が集まっています。日本国内でもその制度設計が進む中、NACS-Jも会員などのネットワークを活かしてこの新たな保全地域を広めていくためのプロジェクトを開始しました。

これまでNACS-Jが各地の市民と進めてきた全国の里山での調査結果からは、カエルやホタルなど多くの身近な生きものが姿を消している危機的状況が明らかとなりました。里山や都市緑地などにおける生物多様性の保全には、開発行為を法的に制限する保護区を設置しにくい、人による適切な管理の継続が必要だが人手・費用が足りない、といった問題があります。

そのような身近な自然を保全する新たな仕組みとして注目されているのがOECMです。これは、国立公園など国が設置する保護区ではないものの「他の効果的な手段により生物多様性が保全されている地域」を意味し、市民や企業が保全活動をしてきた場所や、意図に関わらず保全に寄与する管理が行われている農地や社寺林なども対象となります。日本でもこのOECMを「自然共生サイト」として登録認定する制度の準備が環境省により進められています。しかし、「保全上重要な場所の登録をどう促すか」「保全管理の効果をどう高め、費用を補っていくか」といった課題への対策が十分でない状況です。

OECM(Other Effective area-based Conservation Measure)

モデル事例をつくる

NACS-Jでは、これらの課題を解決し、新たな形の保全地域を全国に広め、各地域での生態系回復を実現していくプロジェクトを開始しました。まずはいくつかの自治体をモデル地域として、どのようにすれば、保全上大切な場所を特定し、地域社会も自然もポジティブにする取り組みを広められるかの実例づくりにさまざまな主体と協力して取り組みます。また、保全・普及活動の核になれるような場所に対する活動支援を強化していく予定です。支援策の柱として、企業などからの資金供給を増やす枠組み作りも現在検討しています。

保全地域のネットワークを広げていくためには、会員・自然観察指導員・法人会員の皆様が活動を続けてこられた場所をつないでいくことが重要ですが、現況把握が十分にできていません。そこで、まずは皆様が関わり豊かな自然環境が残っている場所がどの程度あるかを把握するためのアンケート調査を行います。ぜひ、情報をお寄せください。

さまざまなパターンのOECM

▲宍塚の里山(茨城県)。市民団体が保全を続けるこのような里山は代表的なOECMだ。

▲多摩動物公園(東京都)。NACS-Jの調査では、動物園や青少年施設、都市公園のような全国の公有緑地にも、生物多様性の保全地域となっている場所が150カ所以上確認できている。

▲長池公園(東京都)。都市公園でありながら、積極的な保全活動と、さまざまな「自然に根差した社会課題解決活動」が行われている。

潜在的なOECMに関するアンケート調査のお願い

皆様の身近にある、自然が「意図して保全されている場所」や「結果的に残されている場所」の情報をお寄せください。また、本アンケートではその場所がOECMへの登録要件をどの程度満たしているかの簡単な自己診断チェックもできるようになっています。

アンケート調査

新たな保全地域「OECM」の潜在候補地の情報をお寄せください

一次締め切り:8月17日(水)

担当者から一言

高川さんの顔写真

リポーター
OECM担当 高川晋一
4月から新プロジェクトチームが始動! 大きな課題ばかりですが、全国の皆さんと力を合わせて取り組みます。

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