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2021.01.01(2020.12.25 更新)

第7回 会報表紙フォトコンテスト 結果発表

報告

専門度:専門度1

会報No579表紙の画像

テーマ:フォトコンテスト

第7回 会報『自然保護』表紙フォトコンテスト結果発表!!

第7回目の今回は、312名の方から合計910作品を送っていただきました。コロナ禍で、応募数も減るのではないかと心配しましたが、応募人数、作品数ともに過去最高となり、たくさんの作品が届きました。今年も多くの方がNACS-Jの広報・普及啓発活動に無償で使用してもよいとして作品を送ってくださいました。ご応募・ご協力、誠にありがとうございます。2021年はこれらの受賞作品で会報を皆様にお届けします。

<審査員>
尾園 暁(昆虫・自然写真家)、秋山幸也(NACS-J自然観察指導員講習会講師、相模原市立博物館学芸員)、美柑和俊、田中未来(MIKAN-DESIGN)、鶴田由美子 (NACS-J事務局長)、道家哲平、渡辺聡子、田口裕美子(NACS-J広報会員連携部)

尾園 暁さん顔写真

講評者:尾園 暁
昆虫・自然写真家。幼少から生きもの好きで、小学生のころトンボのかっこよさに魅かれて以来、筋金入りのトンボ好き。著書には『ぜんぶ分かる!トンボ』(ポプラ社)や、『ハムシハンドブック』(文一総合出版)などがある。
ブログ『湘南むし日記』で出合った昆虫たちを毎日紹介している。

 


■優秀賞(会報表紙賞)

服部将也【キアンコウ】

【撮影者コメント】
日本一の深い湾を誇る駿河湾では、冬になると、普段は深海にすむキアンコウを見ることができます。深場との水温差が小さいこの時期に、浅場へ産卵しに来るのです。深海からの大冒険は決して楽ではないと思います。それでも必死に泳いでようやく産卵できた喜びは大きなことでしょう。

【講評】
怪獣のような顔面がこちらに迫ってくるような、迫力あふれる作品です。アンコウというと深海のイメージでしたが、産卵のために浅場にやってくるということなので、このように明るい写真が撮れるのですね。
魚眼レンズによると思われる強いパースも、この魚の奇怪な造形を生かす上で非常に効果的に働いています。被写体の生態を熟知し、こういう作品にするという作者の明確なイメージ、それを具現化する撮影技術までもが伝わってくる秀作です。

 

林 昌尚【スズメ】

【撮影者コメント】
福井県にあるこの地区では菜の花を栽培し、田植えが始まる直前にトラクターで土に鋤き込んで肥料にするという方法を行っています。この日は一面に菜の花が咲き誇る中で一番背の高い茎に1羽のスズメがとまりました。あたりをキョロキョロと見回しています。その瞬間を撮りました。

【講評】
実に春らしい、優しい雰囲気に包まれた一枚です。被写体自体はどこでも見られる菜の花とスズメなのですが、それだけにうまく作品としてまとめ上げた作者のセンスが光ります。望遠レンズの圧縮効果を生かした画面作りがとても上手く、そこへ前景の高く伸びた菜の花がバランスのよい構図を生み出しているのですが、何と言ってもスズメがよく止まってくれましたね。技量の高さはもちろんのこと、最高のシャッターチャンスをも引き寄せるそのパワーに脱帽です。

 

殿川いづみ【小さな命、みつけた!】

【撮影者コメント】
人口約1500人の過疎高齢化の進む山間地に住んでいます。息子は小さい時から生き物探しが大好きで、春夏はもっぱら田んぼや川で生き物を探します。捕まえた生き物は限りある命なので、必ず自然にかえします。自然の大切さや生き物の大切さを肌で感じながら育っています。

【講評】
小さなハサミで親指にぶらさがるサワガニの子どもの一生懸命さと、それを嬉しそうに見つめる少年の笑顔が胸を打ちます。そしてカニが落ちても平気なように、そっと添えられた手に優しさを感じる作品です。子どもたちの自然離れが指摘される昨今ですが、モデルになっている作者の息子さんは、小さな頃から大の生き物好きとのこと。いつまでもその気持ちを忘れずにいてほしいものです。

 

綿雲まもる【夏の里山】

【撮影者コメント】
暑い夏、里山を歩いていると切り出した木材の上でルリボシカミキリが忙しく動き回っていました。私も近くに座って一休み。辺りに人影は無くセミの声がたくさん聞こえます。ふと遠い昔の夏休みのことなどが思い出され、なんだかとても懐かしい気分になりました。

【講評】
美しいルリボシカミキリと、その生息環境までしっかりと収められている優れた写真です。小さな昆虫の形や色彩をしっかりと見せながら画面に奥行きを出すという難しいテーマを、広角レンズを使い縦の構図で接写することで見事に実現しています。撮影チャンスをしっかりと捉えたことで、夏の日差しやセミの声まで感じられるような素敵な作品になりました。

 

村田浩之【母なる海へ】

【撮影者コメント】
7月に朝日の写真を撮りに出かけた宮崎県の富田浜でアカウミガメの産卵に遭遇。産卵を終えて海にかえっていく母ガメの後ろ姿にとても感動しました。卵からかえった子ガメの旅立ちも見たいと思い、早起きして何度か通いましたが、ようやく出合えた子ガメたちです。元気いっぱいに海を目指していきました。

【講評】
一見すると何だろう?と思いますが、背景が海であることと足跡によってすぐにウミガメの子どもだと分かりました。画面全体を包む朝焼けの色味に加え、太陽が作り出す道のような水面の反射がいいアクセントになっています。早起きして何度も通ったとのコメントがありましたが、こんな場面に出合えたらその苦労も吹き飛びますね。作者がウミガメに向ける眼差しの優しさが伝わってきました。

 

高橋怜央【ニホンカモシカ】

【撮影者コメント】
北風を受けながら、崖の上に立っていた一頭のニホンカモシカ。調査を終え帰ろうとする私たちの前に、悠々と現れたのを覚えています。さほどこちらを気にするそぶりもなくただ海を見つめる姿に心揺さぶられ、見上げるようにシャッターを切りました。

【講評】
撮影現場の北風や、シャッターを切る作者の緊張感まで伝わってくるような秀作です。画面の切り取り方が大胆でありながら非常に計算されていてバランスがよく、全体に冬らしいトーンなのです陽射しの暖かみも感じられます。そして何より堂々としたカモシカの姿は威厳に満ちています。素晴らしいシャッターチャンスを逃さない作者の冷静さと観察眼、そして表現力の高さが光る一枚です。

 


■入賞(ポストカード賞)※50音順

飯田貢【セマダラコガネ】

【撮影者コメント】
何処にでもいる普通種で、どちらかというと害虫扱いされてしまう虫。そんなセマダラコガネをどれだけ可愛らしく撮れるか?をテーマに撮影してみました。注意したポイントとしてつるが奥行き感の出る構図にした事と左右の触角の開き具合、葉に掛けた爪等です。

【講評】
ピンと広げた触角と大きな複眼がどこかユーモラスで、なんとも愛らしいセマダラコガネ。植物のつると画面全体の色合いやボケ具合がこのキュートなモデルをいっそう魅力的に見せています。作者が虫に向ける眼差しの優しさが伝わる癒しの一枚です。

 

伊藤 孝【コミミズク】

【撮影者コメント】
冬の渡りの途中に日本にたち寄るコミミズク。この日は雪が深々と降る中、なかなか狩りが上手くいきません。何かを思い……顔に雪を付け何ともいえない表情です。

【講評】
一服の日本画を見ているようで、荘厳な美しささえ感じます。モデルやシチュエーションの素晴らしさは言うまでもありませんが、この写真からは画面の隅々にまで気配りを忘れない、作者のこだわりと意識の高さが読み取れます。これはすごい。

 

大林圭司【エゾシマリス】

【撮影者コメント】
「今年は例年より紅葉が優れないなー」と思いつつ黒岳(北海道)の山頂に着いたら、冬ごもり前のエゾシマリスが素晴らしいシチュエーションで食事をしていました。食事に夢中な姿が撮れたかなと思います。

【講評】
一見しただけで強い印象を残す作品です。愛らしいシマリスの食事シーンだけでもいいモチーフになるのに、この鮮烈な背景はなんとも表現しがたい素晴らしさ。山頂まで登った甲斐がありましたね。

 

久保統生【モリアオガエル】

【撮影者コメント】
午後9時ごろ、モリアオガエルの大合唱が始まりました。下の方からも鳴き声が聞こえるなと思い見ると、側溝の苔の中から顔をのぞかせている子がいました。あまりの可愛さに、めちゃくちゃテンションが上がったのを覚えています。

【講評】
面白さと可愛らしさがあふれる一枚ですね。側溝の苔の中ということですが、モリアオガエルは穴を掘ってその中から外を覗いているのでしょうか。作者のコメントに「めちゃくちゃテンションが上がった」とありましたが、この写真からもその気持ちがよく伝わってきました。

 

中西啓貴【キノコとカタツムリ】

【撮影者コメント】
ウスキキヌガサタケの撮影をしていると、黄色のレースにゴミが付いていました。しかしよく見るとそれはカタツムリの赤ちゃんでした。あっという間に網目をすり抜けツカに移動。レース越しのカタツムリを撮影できました。半日ほどでしおれてしまうキノコですが、カタツムリをはじめ、いろいろな生き物の餌となっています。それにしても足(?)の速い赤ちゃんでした。

【講評】
幻想的な世界を覗き込むような気分になりました。繊細なレースのような模様はウスキキヌガサタケというキノコの傘なのだそう。そのレースの網目の間からカタツムリの姿を捉えることで、この不思議な世界を表現されています。作者のテクニックによって被写体の良さがあますことなく引き出された秀作です。

 


■佳作 ※50音順

有本 実【ハクガン】

【撮影者コメント】
毎年秋、シベリア方面から十数万羽の雁の仲間が越冬のため八郎潟(秋田県大潟村)にやってきます。ロシアでの復元計画が実を結び、近年個体数が回復してきたハクガンも千羽以上飛来するようになりました。白神山地の主稜線を背景に撮影しようと構図を決めて待機していると、夕日を浴びたハクガンたちが導かれるように手前の休耕地に降り立ってくれました。

 

石井崚太【自然と人工物】

【撮影者コメント】
5月、佐賀県にて、散歩中に見つけたお地蔵樣と伸びた小高い木を共に撮影しました。日が上空に君臨しており、緑の青々しさが際立っていれば嬉しいです。

 

瓜田英司【砂浜のゴミとたたずむ野鳥たち】

【撮影者コメント】
海岸にはたくさんのゴミがあります……野鳥撮影にゴミは写らないほうがいいのですが、あえてゴミと一緒に写してみました。野鳥たちにとってゴミは危険です。それでもゴミの周りを歩いて、飛び回って羽を休めています。ゴミで怪我しないでほしいですね。

 

加藤淑恵【森のオブジェ】

【撮影者コメント】
素敵な形の木と出合い、この木の空間に鹿を入れて撮りたいと思い願いが叶い撮ることができました。ドキドキしながらピントを合わせた瞬間でした。白いキノコがフレームの飾りになりました。

 

田中義和【ホソミイトトンボ(越冬型)】

【撮影者コメント】
ホソミイトトンボの越冬型は、冬の枯葉色から春になると鮮青色に変身します。5月、千葉県市原市の小さな谷津田の早苗で、生命をつないでいました。水ぬるむ頃の里山の象徴的存在。しかし、現実は本種も谷津田も危機的状況です。 

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