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2019.01.07(2019.01.07 更新)

第5回 会報表紙フォトコンテスト 結果発表

報告

専門度:専門度1

テーマ:フォトコンテスト環境教育

第5回 会報『自然保護』表紙フォトコンテスト結果発表!!

第5回会報表紙フォトコンテストには、293名の方から合計897作品を送っていただきました。今年も前回の応募総数を超える、自然の魅力を伝えるたくさんの作品が届き、スタッフ一同喜んでおります。また、たくさんの方がNACS-Jの広報・普及啓発活動に無償で使用してもよいとして作品を送ってくださいました。ご応募・ご協力ありがとうございます。

<審査員>

尾園 暁(昆虫・自然写真家)、秋山幸也(NACS-J自然観察指導員講習会講師、 相模原市立博物館学芸員)、美柑和俊、田中未来(MIKAN-DESIGN)、鶴田由美子(NACS-J事務局長)、道家哲平、増沢有葉、田口裕美子(NACS-J広報会員連携室)

尾園 暁さん顔写真

講評者:尾園 暁
昆虫・自然写真家。幼少から生きもの好きで、小学生のころトンボのかっこよさに魅かれて以来、筋金入りのトンボ好き。著書には『ぜんぶ分かる!トンボ』(ポプラ社)や、『ハムシハンドブック』(文一総合出版)などがある。
ブログ『湘南むし日記』で出合った昆虫たちを毎日紹介している。

 


■優秀賞(会報表紙賞)

伊藤 孝【シマエナガ】

シマエナガ

【撮影者コメント】
日本の北海道に分布するシマエナガ。雪の妖精とも言われるようになったので、寒さを表現したく、樹霜の中で、朝日が差し雪が反射して青色の背景になるのを待ちました。最高のステージが整ってシマエナガがひょっこり。自然の宝物がすべて整った瞬間でした!

【講評】
樹霜で白くなった枝に、これまた真っ白なシマエナガが止まっている様は実に愛らしく、まさに妖精のよう。構図はもちろんのこと、光線状態や背景の選択が実に素晴らしく、撮影者の狙いがはっきり伝わってくる秀作です。

 

清水美和【春の畑で大忙し】

飛び交う蜂の写真

【撮影者コメント】
GWに実家に帰った日、畑には小さな紫の花と忙しそうに飛び交う蜂がたくさん来ていました。3年前にカメラを始めた私はこの日も夢中で撮っていると、おじさんから「この花は雑草やけど何撮ってるんや?」と笑いながら言われました。どうやらお隣の畑だったようです。私は「蜂が来てるんで雑草でもありがたいです」と笑って答えました。

【講評】
撮影者の優しい眼差しが感じられる一枚です。ハナバチの一種がホトケノザから吸蜜する場面を低い位置から狙い、奥行きを感じる印象的な写真にしています。
シャッターチャンスを捉える技術と光を生かす感性に脱帽です。

 

松園雄介【岳の棚田】

岳の棚田の写真

【撮影者コメント】
佐賀県の国見岳の山頂付近にある「岳の棚田」です。急な勾配のため棚田を保護していく農家の方が減っています。この日は隣で撮影していた高齢の方がこの棚田を昔から見ていらっしゃる方で、年々棚田に水が入る数が少なくなっているということをお聞きすることができました。

【講評】
刻々と変わりゆく空と映り込みの美しさに、感激しながらシャッターを切る撮影者の気持ちが伝わってくるようです。画面の上と下ではっきりと異なる世界を表現した、奥行きを感じる構図も素晴らしい。この風景を末長く伝えていきたいものですね。

 

飯田 貢【王者の貫禄】

カブトムシの写真

【撮影者コメント】
猛暑日の昼間に小休憩を取りに入った林で偶然にも大きめのカブトムシに出合いました。角は欠けて、胸部にはクワガタの大顎で開けられたであろう穴があり脚も失ってる個体……それでも木をつかむ力は強く「昆虫の王」の風格にあふれていました。

【講評】
角が欠け、胸部には穴も空いた百戦錬磨の立派なカブトムシを、ダイナミックな構図で捉えた一枚です。逆光の難しい条件ですが、ストロボワークや太陽の入れ方に工夫が見られ、タイトルの通り、王者の貫禄が光る一枚となりました。

 

牧野和夫【アオウミガメ】

アオウミガメの写真

【撮影者コメント】
沖縄県渡嘉敷島のとかしくビーチ。ウミガメ、いつもいます。むかーしサンゴのお花畑でしたが、今は……。シュノーケリングで撮らせてもらいました。太陽の光キラキラで砂紋がきれいでした。

【講評】
ビーチで休んでいるアオウミガメでしょうか、シンプルに真上から撮っているのが、かえって新鮮に映ります。砂とウミガメの色の対比も印象的ですが、なによりも美しくきらめく波紋がこの写真を幻想的なものにしています。いい瞬間を捉えましたね。

 

千葉壮紘【サンショウウオ】

オオイタサンショウウオの写真

【撮影者コメント】
真冬に、落ち葉の海を泳いで繁殖地へ向かうオオイタサンショウウオがいました。生息環境の悪化や減少、心無い人々の乱獲によって数を減らしていますが、このサンショウウオのことを知っている人はまれでしょう。知名度の低い生きものは、守られることもなく、人知れず絶滅の時を迎えることもあるのかと考えると切ないです。

【講評】
落葉の中から覗く顔がユーモラスですね。説明的ではないのに、生息環境や季節感が伝わる優れた生態写真です。近年開発や乱獲によって数を減らしているようですが、この愛らしい生き物がいつまでも生きていける環境を守りたいものです。

 


■入賞(ポストカード賞)※50音順

荒牧敬太郎【子ガエル】

アオガエルの写真

【撮影者コメント】
休耕田に生い茂ったススキの葉に上陸間もないシュレーゲルアオガエルの幼体がじっとしていました。こんな所で外敵に襲われないか心配でした。

【講評】
上陸したばかりの子ガエルの、あどけなくもどこか不安げな表情に惹かれました。シンプルな画面構成ですが、被写体の配置や背景の選択がよく、この子ガエルの存在感が際立っています。葉やカエルの透明感が出る、逆光気味の光を選んだのも正解ですね。

 

関 欽一【ナツアカネ】

ナツアカネの写真

【撮影者コメント】
稲刈りが終わり、しばらく経ったころ、少しまた稲の穂が伸び始めた田んぼの上には素晴らしい秋空が広がっていました。そんな青空のもと、産卵するナツアカネのペア。日本らしい良い場面に出会えました。

【講評】
臨場感あふれる作品です。青空と白い雲、そして真っ赤なアカトンボ。木々や田んぼの緑もまたそれを引き立てていますね。高解像度の写真には、よく見るとトンボの産み落とした卵まで写っていました。秀逸な画面構成とシャッターチャンスを両立した技術とセンスはお見事です。

 

田中和之(ハンドルネーム:三重のN局)【可愛いキノコ】

キノコの写真

【撮影者コメント】
三重県の御在所岳の裏道登山道で見つけた可愛いキノコ、秋の気配を感じさせてくれる姿にほっこりしました。

【講評】
可愛らしいキノコを広角接写したことで環境もよく分かります。苔むした周囲とキノコとの対比が面白いですね。下から見上げるようなアングルを選んだのもよく、自分が昆虫や小動物になったかのような気分を味わえます。

 

中島由布子【シジュウカラ】

シジュウカラの写真

【撮影者コメント】
スズメの盗蜜は良く見かけますが、シジュウカラは初めてでした。花をくわえているところが可愛かったです。

【講評】
シジュウカラが花を千切っては蜜を吸う様子です。構図や光の扱いなどから、一瞬のシャッターチャンスにも慌てることなく冷静に対応されていることが分かります。花をくわえた愛らしいシジュウカラの、凛とした表情がよく捉えられていますね。

 

増田恵【芸術の罠】

蜘蛛の巣の写真

【撮影者コメント】
ダリア畑に綺麗につくられた蜘蛛の巣に露がついていて綺麗でした。蜘蛛のお尻も顔みたいで面白いです。

【講評】
まさに罠というべきか、画面の中に引き込まれるような錯覚に陥る、不思議な魅力のある作品です。ダリアの花と露のついた蜘蛛の巣の配置、ピントとボケがよく考えられていて「上手い」の一言です。色彩感覚も抜群ですね。

 


■佳作 ※50音順

目の付けどころがすてきな作品やおもしろい瞬間をとらえた作品を選びました。

斎藤正子【つくし】

つくしの写真

【撮影者コメント】
強い春風が吹いて タンポポの綿毛がつくしの上に舞い下りました。 まるで春を喜んでいるような風景に慌ててシャッターを切りました。

 

馬場昌鷹【スズメとメジロ】

スズメとメジロの写真

【撮影者コメント】
通勤路にある民家の門に植えられたピラカンサが赤く色付いてきて、今年もメジロがやってきました。
メジロよりスズメの方が少しふてぶてしく居座っていて、遠慮がちについばむメジロが可愛く見えました。
残念なことに、この木は9月の台風21号の暴風により根元から折れてしまいました。

 

吉村 剛【そろそろいこか】

ジョウカイボンの写真

【撮影者コメント
大学の研究室の仲間と毎年恒例の京都大学芦生研究林ゼミに行きました。前日からの大雨も上がって、ふと近くのマムシグサを覗いたところ、中でジョウカイボンの一種が雨宿りしているのに気付きました。あまりにかわいくて思わず撮影してしまいました。

 

米本桂子【川ガキ】

川で遊ぶ子どもの写真

【撮影者コメント】
今日は川ガキになろう!と、京都府にある由良川上流で川探検。「冷たい!」と言いながら川に入って石をめくると、子どもは「いたっ!」と目を輝かせて生きものを追いかけます。自分の手の中にある生きものの命に終始興奮する子どもたちの姿がありました。

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