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2019.06.26(2019.07.03 更新)

【配布資料】今日から始める自然観察「天の川に生きる私たち」

観察ノウハウ

専門度:専門度1

今日から始める自然観察No570

フィールド:天体観測

【今日から始める自然観察】天の川に生きる私たち(PDF/2.3MB)<会報『自然保護』No.570より転載>
このページは、筆者の方に教育用のコピー配布をご了解いただいております(商用利用不可)。ダウンロードして、自然観察などでご活用ください。

天候が安定する夏は、夜空の天体を観察するのにも絶好の季節。古来親しまれてきた七夕の星々を見上げてみましょう。

織姫と彦星の間を流れる天の川の、淡い光を見たことはありますか。私たちが生きる世界は、どれだけ広く豊かなのでしょうか。


夏の大三角と天の川

「夏は夜」こそ魅力的――。そうつづったのは清少納言。太平洋高気圧に覆われた日本列島は天候が安定し、気流も穏やかになります。

7月ごろの深夜、真上を見上げれば三つの輝星が目に入ります。ひときわ明るいこと座のベガは、七夕の織女(織姫)として知られます。対となる牽牛(彦星)は、南に離れたわし座のアルタイル。そしてはくちょう座のデネブを結ぶ夏の大三角は、東京の街中からでさえ見つけられるものだから、必ず探して欲しいもの。

もしそれが、月の出ていない夜、街明かりを離れた真っ暗な空であったなら、この大三角を貫いてさそり座の心臓アンタレスが輝く南の空へと続く、淡い光の帯に気付くことができるでしょう。それが天の川です。

「ではみなさんは、さういふふうに川だと云はれたり、乳の流れたあとだと云はれたりしてゐたこのぼんやりと白いものがほんたうは何かご承知ですか。」宮沢賢治の名作『銀河鉄道の夜』は、理科の授業でのこんな問いから始まります。その答えを皆さんはご存知ですよね。それはもうたくさんの小さな星に見えるのです。実は紀元前のデモクリトスがその考えに至っていました。天体望遠鏡で初めて実態を確認したのは、ガリレイです。


▲私たちの住む地球がある「天の川銀河」(銀河系)は、2000億個の恒星、惑星とガスやちり、質量はあるが直接観測できないダークマターなどから成り立つ。宇宙には多くの銀河があり、その形はいくつか種類がある。天の川銀河は、中心部が膨らみ、渦状腕を持つ直径10万光年の「棒渦巻銀河」である。(国立天文台4次元デジタル宇宙プロジェクト Mitaka を基に作成)

太陽系は天の川銀河の中心から、遠く2万6000光年離れている。円盤の中に埋もれている太陽系から周囲の恒星を見ると、帯状に取り巻かれているように見える。これが天の川だ。銀河の中心は「いて座」の方向にあり、この方向で天の川は最も太く濃く見える。肉眼で見えているほとんどの星は、天の川銀河の中でも太陽系に近い恒星。

天の川銀河を横から見た模式図に、太陽系、ベガ、アルタル、デネブの位置を示したイメージ画像
▲天の川銀河を横から見た模式図。(国立天文台4次元デジタル宇宙プロジェクト Mitaka を基に作成)

天の川の流れは、私たちが生きている銀河の姿そのもの。そこに浮かぶのは2000億個もの恒星、そしてその周りを巡る数知れぬ惑星。そうした恒星や惑星の起源となるガスやちりには、生命に関連する有機分子が含まれています。

改めて、この夏は天の川の淡い光を探してください。その中には、地球によく似た惑星も存在し、豊かな生態系をはぐくんでいても不思議はありません。少なくとも、私たちがそうした惑星に生きているのです。

天の川写真
▲岩手県奥州市の空。魚眼レンズで撮影した写真をつないでパノラマにしたもの。夏の大三角形が頭上に輝いていれば、およそ北東から南西にかけて天の川が流れる。(写真:国立天文台/撮影者 清水上誠)

内藤誠一郎国立天文台天文情報 センター広報普及員


 

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