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2019.04.24(2019.05.03 更新)

地域の都市計画を知ろう

解説

専門度:専門度2

工事が開始されて驚く男性の画像

テーマ:自然資源

ある日突然、自然観察会のフィールドが開発でなくなってしまった……。このような悲しい話をよく耳にします。こうしたことが起きないように、私たちができることの一つをご紹介します。

※会報『自然保護』2019年5・6月号 話題の環境トッピクス「地域の都市計画を知ろう」より転載

 


自分の街の都市計画を知ろう

現在、多くの市町村で都市計画マスタープラン(以下、「都市マス」)の改定が進められています。都市マスは、自治体が地域の将来像や都市開発の具体的方針を示す計画書です。どこに道路や市街地をつくるかの構想が示されたり、市街化を促進すべき区域の線引きが新たにされることもあります。

都市マスや、決定された都市計画を地図で記した「都市計画図」は、自治体のウェブサイトで見ることができます。自然観察会が行われているような地域の大切な場所が現在の都市計画でどのような位置付けとなっているかを、都市マスに掲載されているさまざまな地図に照らし合わせて知ることができます。

市民による保全活動が行われている場所であっても、開発計画の構想があることも少なくありません。例えばある市では、NACS­Jが進めるモニタリングサイト1000里地調査の調査地付近が「生活支援拠点」という位置付けになっており、ショッピングモールや物流拠点を誘致する構想があるようです。

別の市では、水鳥にとって重要な農耕地が都市マスの改訂時に「自然環境の保全を図る」エリアから「自然環境の保全との調和を図る」エリアに変更されました。数年後、緑地保全にも配慮した大型物流拠点の建設が決定し、苦い思いをしたという事例もあります。

 

都市マスの改定にかかわろう

都市マスの改定は、皆さんが観察会や保全活動などでかかわっている場所の自然の重要性を表明し、まちづくりの行政計画に自然環境保全の場として位置付ける機会です。

改定作業は1~3年ほどかけて行われるのが普通で、市民の意見を反映させることが法律で義務付けられています。計画決定直前には意見を提出できる「パブリックコメント」の機会が設けられていますが、この段階では大きな計画変更につながることはほとんどありません。

できる限り早い段階で市町村の自然環境部局や都市計画部局と情報交換を行い、観察会などを行っている場所の自然環境や環境教育の場としての大切さを伝えてください。自治体によっては市民会議の設置やワークショップを開催していますので、ぜひこれに参加しましょう。

 

行政計画にかかわれる機会

都市マスのほかに地域の自然の価値を行政計画に反映できる機会としては、「生物多様性地域戦略」や「緑の基本計画」があります。前者は、生物多様性基本法に基づき市町村で策定することが2008年から努力義務となっています。後者の緑の基本計画は、生物多様性の確保についても計画に盛り込むことが2011年から求められることとなりました。

これらの計画の策定には、それぞれの地域の自然観察指導員が既に多くかかわられており、中には市町村の委員会・審議会のメンバーとなっている方もおられます。地域の自然の価値を知る市民として、街づくりの行政計画に積極的にかかわりましょう。

 

高川晋一(NACS-J市民活動推進部)

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