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2017.03.29(2019.07.08 更新)

フィリピンから緊急レポートサシバ密猟の実態にせまる!

読み物

専門度:専門度3

銃撃されたサシバ

テーマ:生息環境保全

フィールド:里やま

山﨑 亨(アジア猛禽類ネットワーク会長、獣医師)

2006年に環境省の絶滅危惧種に指定されたサシバは、日本では保護の意識も高まり、多くのバードウォッチャーに支えられたモニタリングや、繁殖地である里やま再生の取り組みが各地で進められています。しかし、越冬地や渡りの中継地となるフィリピンではいまだに密猟が行われ、サシバ減少の大きな要因となっていたのです。その実態をレポートします。

 

2016年3月、私たちは南方から日本などに渡るサシバが集結するフィリピン・ルソン島最北端に行ってきました。サシバの春の渡りと、事前に情報を得ていた「サシバ密猟」の実態を現地で確認し、保全対策を推進するためです。

ちょうど渡りの時期にあたっており、群れるサシバの数は想像以上に多く、長年サシバを観察してきた私にとっても感動的なものでした。水田とココヤシ林が広がる農村地帯のあちこちにサシバの群れが現れ、あるものは北~北西方向に、あるものは逆に南~南東方向へ流れます。しかも午後になるとココヤシ林に降下する個体が多く見られました。この時期はココヤシの新芽を食べるために大型のコガネムシが大発生するため、これを狙って渡り前のサシバが集結していたのです。

渡りのためココヤシ林から舞い上がるサシバ。

 

しかし、この集結したサシバの群れが地元ハンターの格好の標的となっていたのです。私たちも観察中にサシバを狙うハンターに出会いました。

現地で実施したサシバ保護セミナーでは、会場に2羽の銃撃されたサシバが搬送され、1羽は応急処置をして放鳥しました。また、追跡調査のために九州北部で標識された1羽のサシバが、3月5日に近隣の林で銃殺されていたというショッキングな情報も入りました。

 

大学での猛禽類セミナー

 

サシバはフィリピンでも禁猟ですが、フィリピン北端部では、この時期に集結するサシバの捕獲は伝統的な慣習であり、一部は食用やペットにされていたのです。ハンターの数は100名以上とのことで、密猟根絶は想像以上に難しいと感じました。しかし、地元大学生や関係機関の職員は自主的に密猟根絶のための行動を開始しており、一部のハンターもこの動きに同調し始めました。

私たちは、彼らと共に、密猟根絶の取り組みを進めていきます。

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