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2023.01.18(2023.01.23 更新)

NACS-J市民カレッジ108「掘れば掘るほど面白い! 土の世界」を開催しました

三菱商事株式会社

対象:一般市民学生

貢献:自然の守り手拡大壊れそうな自然を守るSDGs愛知ターゲット

NACS-J市民カレッジ108 ほればほるほど面白い土の世界

日本自然保護協会(以下、NACS-J)は、一人でも多くの方に日本の自然の美しさや大切さ、尊さ、守ることの大切さを伝えたいという思いから、NACS-Jに集う各分野のスペシャリストが講師を務めるオープンカレッジ「NACS-J市民カレッジ」(以下、Nカレ)を開催しています。

108回目のNカレは、「掘れば掘るほど面白い!土の世界」というテーマで筑波大学の田村憲司さんにお話いただきました。

田村憲司先生の写真▲土壌学のスペシャリストであり、NACS-J自然観察指導員でもある田村憲司さん

先生は土壌がどう作られるかを研究されており、また土壌の魅力や面白さを普及するため自ら観察会の講師として活躍されています。

「そもそも土壌とは何なのか?」「どうやって土壌ができるのか?」という基礎からお話頂き、まずは土壌の概念や用語を共有頂きました。

みなさま、1センチの土壌ができるまでどれくらいの時間が必要かご存知でしょうか?

なんと、最低でも100年から数百年という人間の寿命を超えた時間スケールで作られることが知られているとのこと。
そして食べ物を育んだり、環境を調整する機能があったり、我々の人間を含めたあらゆる生物の生存に欠かせない偉大な自然体であることを知りました。

先生が強調されていたのは、土壌をただの物質としてみるのか、長年の歴史で積み重なった自然体として見るのかによって、世の中を見る目が変わってくるということでした。

例えば、全国各地で客土(よそから運び入れた土)の土壌流失が問題になることがありますが、それはその土地の「土壌」のもつ機能や歴史を考慮せず、「どこの土を入れても同じ土だから」と単なる物質として見た結果でもあるとのこと。

生物多様性の保全において地域固有の生態系や遺伝子を無視した移植・放流などが問題になるのと同じで、土壌に手を加える際もその地域の歴史や特徴を知ることが重要だと学びました。

日本のいろいろな土壌の写真▲日本の中でも様々な見た目の土壌を観察することができる。

その土地の歴史や気候によっても観察できる土壌というのは多種多様です。
例えば火山島である三宅島では度々起こる噴火によって、全く土壌の無い裸地から、樹木を支えられるほど深く堆積した土壌まで、様々な歴史の土壌が狭い島の中にあるとのこと。

また気候の違いが土壌を生成する作用の違いを生み、東南アジアなどの熱帯地域では日本で見られないような真っ赤な土壌があることなど、ひと目見て大きな違いがあるほど幅広い世界というのがわかりました。

そして、土壌から見る環境問題ということで、黄砂飛来についてご紹介頂きました。黄砂の生成には現地でのヤギの放牧が関わっていることや、砂漠からは黄砂が飛んでこないことなど、日本にいては見えてこない現状を教えて頂きました。

自分たち日本人も一方的な被害者ではなく、カシミア製品の原料となるカシミア山羊の毛を日本企業が調達していて、知らずに黄砂の原因発生に関わっている場合があることを教えて頂き、衝撃を受けた方も少なくなかったのではないかと思います。

土壌学の世界は、土壌生成にかかる壮大な年月のようにあまりに奥が深く、1時間という短い時間ではとても語り尽くせない面白さを垣間見ることができました。

なお、今回のテーマは会報「自然保護」2022年11/12月号との連動企画です。
土の世界を更に深掘りしたい方はこちらもどうぞ。

会報「自然保護」2022年11/12月号を見る

感想の一部をご紹介

  • 専門的な話を聞くことができ、本当に興味深かったです。これから土を見る目が変わりそうです。
  • 田村先生の講義により土壌の大切さを初めて知りました。生成までのタイムスケールは動植物の10倍!環境要素として無視できない重要性はありますが、スケール的に地球上に人類が存在する時間を超越してしまうのですね。
  • 「土壌」が自然界で担う役割を改めて認識し、またその恩恵に就いても理解できました。何気なくそこにあるものに色々な生命が連鎖して行かされている事や、土壌も無限ではない事、生成にはとても長い年月がかかる事、等、とても新鮮に伺ました。
  • 土壌は岩石、植物、微生物、気候風土など様々な要素によってできあがり、同じ土壌はひとつとしてなく、それぞれかけがえのないものであることを認識しました。

ご参加くださった皆さま、本当にありがとうございました。次回のNACS-J市民カレッジもお楽しみに!

Nカレは、会員、寄付サポーターとしてNACS-Jの活動を支えてくださっている三菱商事株式会社と一緒に開催しています。

次回予告

NACS-J市民カレッジ109「生きものは世界をどうみている ~自然保護と動物観~
2023年1月31日(火)18:30-20:00 オンラインセミナーにて開催予定です。
▼詳細は>>こちら<<から

お問い合わせ

03-3553-4101  n-college@nacsj.or.j
日本自然保護協会(NACS-J) Nカレ担当

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