2025.05.01(2025.05.21 更新)
福島県只見町にネイチャーポジティブ自治体認証を授与。授与式を開催しました
報告
専門度:
テーマ:生物多様性地域戦略環境教育ユネスコエコパーク
フィールド:日本版ネイチャーポジティブアプローチ
2025年4月24日(木)に、只見町役場で「ネイチャーポジティブ自治体認証制度」の認証授与式を開催しました。
ネイチャーポジティブ自治体認証制度は、市町村が、生物多様性の重要地域と保全上の課題を特定した上で、保全・再生に向けた計画等を策定し、ネイチャーポジティブを実現するための施策を適切に推進していることを日本自然保護協会(NACS-J)が認証する制度です。この度、みなかみ町(群馬県)、只見町(福島県)、秦野市(神奈川県)の3つの自治体が新たにネイチャーポジティブ認証自治体となり、みなかみ町への認証書授与式 に続いて、只見町にて授与式を行いました。
認証の審査において只見町は、特に以下の点が高く評価されました。
- 「自然首都 只見」を町の基本理念に掲げ、2014年にユネスコエコパークに認定されて以降も着実な取組を進めていること。
- 只見町ブナセンターを設置して専門性の高い職員を配置し、センターが中心となって様々な活動を展開していること。
- 学術調査の推進と、地域の自然と文化を活かしたESD(持続可能な開発のための教育)の推進を特に重視して取り組んでいること。
- 独自性が非常に高い「学術調査研究助成制度」を設け、様々な大学等の研究機関との連携を通じて、学術調査による地域の価値向上と交流人口増加を両立させていること。
只見町の渡部勇夫町長からは、「豊かな自然と多様な生物は只見町の宝物であり、未来に引き継ぐべき財産。これまで多くの先人たちが引き継いできてくださったからこその認証だ。それを大切にしながら地域のみんなと一緒に取り組んでいくことが基礎自治体としての役割だ。」とご挨拶いただきました。
NACS-Jは、生物多様性の損失を止め、自然を回復させる「ネイチャーポジティブ」の実現に向けて取り組んでいます。生物多様性は、地域の自然的・社会的条件によって異なり、ネイチャーポジティブの実現のためには、地域の生物多様性の特性と、保全のための行政施策の必要性の二つの側面から、地域(市町村)ごとに進めていくランドスケープアプローチ※が重要です。
NACS-Jは、自治体と企業・市民等とのパートナーシップ構築を通じて市町村を基にしたネイチャーポジティブの実現を目指す「日本版ネイチャーポジティブアプローチ」を全国各地で進めており、「ネイチャーポジティブ自治体認証制度」もその具体的な取組の一環です。
今後NACS-Jは、只見町との連携を深め、地域の人たちや企業の皆さまと一緒に、ランドスケープアプローチによるネイチャーポジティブに向けた取組を進めていきます。
※ランドスケープアプローチとは
一定の広がりのある地域において、土地・空間計画をベースに多様な人間活動と自然環境を総合的に取り扱い、課題解決を導き出す手法。
参考
現在、市町村では、認証を取得した埼玉県所沢市、神奈川県秦野市、群馬県みなかみ町、福島県只見町の他、滋賀県甲賀市、三重県尾鷲市、佐賀県唐津市、神奈川県横須賀市の計8市町村がネイチャーポジティブに向けた活動にNACS-Jと取り組んでいます。
ネイチャーポジティブ自治体認証の4つの基準
基準Ⅰ | 首長がネイチャーポジティブ宣言を行っている。 |
---|---|
基準Ⅱ | 生物多様性保全上の重要地域と課題が適切な手法で特定されている。 |
基準Ⅲ | 特特定された重要地域において、生物多様性の維持回復に資する実効性と持続性がある保全担保措置が計画されている。 |
基準Ⅳ | ①保全と両立する土地利用、②生態系サービスの発揮に資する取組、③保全に資する教育・人材育成の機会につながる取組がそれぞれ増加する見込みがある。 |
NACS-Jでは、ネイチャーポジティブ自治体認証の取得を目指したい市町村の皆様及び、自治体やNGOと一緒に生物多様性保全に取り組みたい企業の皆様を募集しています。ぜひ、お問合せください。
担当:高川・三好・出島
TEL:03-3553-4101 Mail:naturepositive@nacsj.or.jp
※日本自然保護協会の活動は皆様からの会費やご寄付で支えられています。日本自然保護協会の活動にご支援をよろしくお願いいたします。