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2022.04.27(2022.05.12 更新)

【配布資料】今日から始める自然観察「あれってトカゲ?」

観察ノウハウ

専門度:専門度1

今日からはじめる自然観察ページの画像

テーマ:環境教育自然観察ツール里山の保全

フィールド:草むら庭先山地

【今日から始める自然観察】あれってトカゲ?(PDF/1.2MB)
<会報『自然保護』No.587より転載>
このページは、筆者の方に教育用のコピー配布をご了解いただいております(商用利用不可)。ダウンロードして、自然観察などでご活用ください。

素早く庭先を動く生きものが、トカゲなのかカナヘビなのか迷ったことはありませんか? ヤモリは夜行性なので見間違えることはありませんが、よく似た名前で両生類のイモリと間違われます。混同されがちな生きものたちですが、違いがいくつも見分けられるようになり始めると楽しくなってきます。

関 慎太郎 自然写真家)


ニホントカゲ(以下トカゲ)とニホンカナヘビ(以下カナヘビ)は、姿が似ていて、混同している方もいるかもしれません。すんでいる場所もよく似ているのですが、空間利用法が少し異なります。

トカゲは平面を利用するのに対しカナヘビは立体的に移動します。カナヘビはトカゲに比べるとしっぽが長いため、そのしっぽを草にからませうまく移動することができます。

どちらも警戒心が強く、危険を感じると素早い動きでその場を去りますが、見つけた場所でじっとしているとすぐに戻ってきます。

トカゲは卵を保護する

5月末から6月初めにかけて、メスは石や倒木の下に潜り込み、巣穴を作り産卵します。そこに5~16個の卵を産み、孵化が終わる7月末まで巣穴に留まります。卵をなめてカビが生えるのを防いだり動かしたりして、抱えるように付きっ切りで守ります。産卵後、卵を放置するニホンカナヘビやニホンヤモリに比べると、卵の殻はやわらかいです。

トカゲのしっぽ

青いしっぽは敵の目をそらすために色付いています。尾の骨には切れやすい部分があり、切れてもほとんど出血しません。切れた尾は、しばらく激しく動き、その隙に逃げます。1カ月ほどで伸びてくる尾は骨ではなく軟骨で形成されます。オスの尾は2年ほどで青くなくなりますが、メスは薄くはなるものの青色が残ります。写真は日光浴をする幼体で、あしをピンッと伸ばし体を平たくします。これはより多くの日光を浴びるための工夫です。

日光浴をするニホントカゲ幼体

トカゲの一年

春、トカゲは冬眠から目覚めると忙しい日々を過ごしています。日光浴と捕食以外に、オスはなわばりを持ち、メスを求めて激しい闘争を繰り広げます。かみ付き、追いかけを繰り返し、まるで小さな恐竜が戦っているようです。

勝利したオスはメスを迎えて交尾し、その後、メスは産卵をして孵化まで巣穴で卵を見守ります。孵化をすると、体に5本のラインのある青い尾をした子トカゲが巣穴から飛び出します。主に地上を這う昆虫やクモなどの虫を食べ、大食漢で獲物を見つけるとかみ付いて丸のみ! 糞は、黒っぽく長細い形で、鳥の糞のように白い尿酸がくっ付いています。

子トカゲは脱皮を繰り返し成長します。10月を過ぎると活動も鈍くなり、日当たりの良い斜面の土中などに潜って冬眠へ。長いしっぽをうまく丸めて小さな穴の中で春を待ちます。

2012年、福井県の若狭湾から琵琶湖を通って、三重県、和歌山県を結ぶラインの西と東で種が異なることが分かりました。西側にニホントカゲ、東側にヒガシニホントカゲ、加えて伊豆半島や初島、伊豆大島から青ヶ島にかけてはオカダトカゲがすみ分けをして暮らしています。

ニホントカゲオスの顔の画像4~5月の繁殖期を迎えると、オスはのど元から腹面にかけオレンジ色に染まり、顔つきも角張ってきます。これはオス同士の闘争に勝つためで、勝利したオスはメスと交尾ができます。

似た生きものたち、見分けられるかな?

参考になるおすすめ本

  • 『うまれたよ! トカゲ』写真・文:関 慎太郎 発行:岩崎書店
  • 『日本のいきものビジュアルガイド はっけん!ニホンヤモリ』編著:AZ Relief、小泉 有希 写真:関 慎太郎 発行:緑書房
  • 『トカゲ・ヘビ・カメ大図鑑』文:疋田 努、写真:関 慎太郎 発行:PHP研究所

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