2021.09.02(2021.09.06 更新)
【NACS-J創立70周年記念】イルカさんからのスペシャルメッセージ
読み物
専門度:
テーマ:環境教育子育て
NACS-Jの参与、「日本自然保護大賞」の審査員としても当会の活動をご支援くださるシンガーソングライターのイルカさんに、NACS-J創立70周年に向けたメッセージをいただきました。
幼い頃の私は、自分の思っていることを口に出して言えないおとなしい子でした。なので一緒に遊んでいたのは言葉のいらない虫や鳥や石たちでした。そんな彼らといる時が一番自分らしいな、と思っていたので、「将来は生きものを救う仕事をするんだ!」と恩返しを決めていました。しかし気が付いたら歌っていたのです。
私が生まれたのは東京の中野区で、祖母の家は吉祥寺でしたが、昭和の頃はまだ東京にも緑が多くカナブンやヤモリもたくさんいました。私は祖母が大好きで、学校が休みになると泊まりに行きました。朝はカナリアの歌声で目を覚まし、祖父はメダカを孵化させたり小さな庭で朝顔や木瓜の花を育てていました。野草も好きで育てていましたが、その中のオリズルランはなんと今は私が育てています。祖父に身守られているような気がしています。「お米一粒に神様が居る」とお茶碗の最後まで綺麗にいただくことを教わり、気が付いたら今は私が孫たちに伝えています。
2004年、外務省を通じてIUCN(国際自然保護連合)親善大使へ任命されました。野生生物を守る仕事はできませんでしたが、生きものの歌を多く作り歌ってきたからこそのご縁だと感謝しています。「地球は大きな生きもの。私たちは皆その細胞同士」という幼い頃からの変わらぬ思いを歌や絵本や着物の手描きに代えて伝えることができ、私の幸せになっています。母になり孫も生まれ、そんな日常生活の中で私は地球のことを学んできました。息子を家事に巻き込みながら「キッチンから地球が見える」ということも実感できたのです。日常生活と地球環境との大きな関わりは主婦業から見えたこと。環境省の会議においてもその目線は変えません。
IUCNの活動を始めてからはNACS-Jから多くのご協力をいただいています。IUCNの活動を広く知っていただくくために始めた河口湖での野外コンサートや「日本自然保護大賞」の選考委員、参与としても活動を共にさせていただくことで自然保護を熱心に続けている方々の活動と熱意に直接触れることができました。思い返せば幼い頃に憧れた皆さんと活動を共にさせていただいているのですね。このたびは70周年おめでとうございます。NACS-J役職員や全国の自然観察指導員・会員の皆さんのますますのご活躍を期待しています。
私は今年50周年を迎えました。新型コロナウイルス感染拡大により活動は制限されていますが、災害やウイルスからのメッセージにも耳を傾け、「丁寧に暮らそ!」を掲げ、これからも自然との共生を目指す活動を続けていきたいと思っています。
▲河口湖での野外コンサートの様子
★プロフィール
女子美術大学在学中からフォークグループを結成、シュリークスを経て、74年ソロデビュー。翌年『なごり雪』が大ヒットし、シンガーとしての地位を確立。50周年を迎えた現在も毎年全国ツアーを続けている。2012年より「環境と伝統的物作りは密接な繋がりがある!」と「生物多様性」などをテーマに着物のデザイン・手描き・染めを手掛けるなど活動の幅を広げている。IUCN(国際自然保護連合)親善大使。NACS-J参与・「日本自然保護大賞」審査員。