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2020.08.07(2020.08.07 更新)

サンゴ「白化」のメカニズムと台風との関係

解説

専門度:専門度2

▲写真3:2020年6月24日に大浦湾にて撮影。すでに一部白化が始まっている 。

テーマ:海の保全

フィールド:

今年は台風が来るのが例年より遅く7月はとうとう台風が来ないまま終わってしまいました。また台風4号も沖縄島付近には接近しないまま通過しました。

サンゴは、イソギンチャクやクラゲと同じ刺胞動物と呼ばれる「動物」で、小さな個体がいくつも集まって群体というまとまりを作り上げています。一つひとつのサンゴは図のようにポリプと呼ばれる本体と石灰質の骨格の部分でつくられています。これらが枝状、テーブル状、塊状、葉状などに成長し、それが幾重にも積み重なって、「サンゴ礁」という複雑な「地形」を作り上げます。

ポリプには触手があり、ここに小さな褐虫藻と呼ばれる藻類が棲んでいます。褐虫藻が太陽の光を固定しサンゴにエネルギーを与え、褐虫藻は安全なすみかを手に入れているという共生関係にあります。

サンゴに高水温などのストレスが与えられると、褐虫藻がサンゴの体内から外に出てしまいます。褐虫藻がサンゴの体内からほとんどいなくなり、透明なサンゴの白い骨格が透けて見える過程が「白化」です。白化したサンゴはエネルギーを十分に得ることができなくなります。この状態でも2-3週間ほどは、褐虫藻がサンゴの体内に戻れば生きることができます。褐虫藻が戻らなければ死んでしまいます。

▲図:サンゴの白化のメカニズム

ただし水温が30度以上などになれば必ずサンゴが死んでしまうということではありません。野外で白化しているサンゴを確認しても、その原因は必ずしも水温だけとは限りません。「結果」として見ている白化が同じように見えても、その状態に至るまでの「過程」がわからない場合が多く、またそれを引き起こした「原因」が複数にわたるためです。例えば赤土流入などにより、水温が上がる前に褐虫藻が弱ってしまい、白化が引き起こされている場合もあります。さらにサンゴの種類によっても異なり、波、流れ、紫外線などの影響によっても異なるため、一概に「30度以上 ≠ 白化 ≠ 死亡」とは言えないのです。

台風は災害を起こし農作物などに影響を与えます。ですが適度な強さの台風は、海水をかき混ぜて水温を下げ、分厚い雲がしばらく強い日射をさえぎり、サンゴが受けているストレスを和らげます。このまま台風が接近しなければ、沖縄島周辺でも広範囲で白化が起こることが考えられます。

海水温が異常に高くなってきた主な理由は地球の温暖化です。世界のサンゴの白化は過去30年間に増えています。

最近では白化という言葉がテレビや新聞でも報道され、目にすることが多くなってきました。その反面、当たり前のように頻繁に起こる防ぎようもないことと受け止められつつあることも事実です。

白化が始まってしまうと私たちができることは限られてきますが、上に書いたように、日本の南西諸島のサンゴはすでに陸域からのストレスを受けて弱っている場合が多いため常日頃からサンゴが健康でいられるように陸域からの汚染をできる限り減らすことがサンゴ白化を食い止める力となります。

また、白化に関する研究はまだ途上であり、海のフィールドで起こっていること全てを記録するには学者の数が不足しています。以下の市民参加型プログラム「みんなでつくるサンゴマップ」やリーフチェックなどの方法を通じてみなさんの記録を残していただけますと幸いです。

みんなでつくるサンゴマップ

https://www.sangomap.jp/

リーフチェック

http://reefcheck.jp/

沖縄県恩納村でダイビング事業者向け「リーフチェック研修会」開催 -世界一サンゴにやさしい村の実現に向けて

https://oceana.ne.jp/domestic/103602

▲写真1:サンゴの白化の様子。大浦湾チリビシのミドリイシにて(2018年)

▲写真2:1つの群体の左側が白化し、右側は死滅している。大浦湾チリビシのミドリイシ(2018年)

▲写真3:2020年6月24日に大浦湾にて撮影。すでに一部白化が始まっている 。

▲写真4:白化している塊状ハマサンゴ(勝連半島にて)(写真提供:玉栄将幸氏)

 

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