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2019.12.25(2019.12.27 更新)

四国のツキノワグマ3年間の調査結果 剣山系付近にのみ16〜24頭生息

報告

専門度:専門度3

▲シンポジウムの様子

テーマ:自然環境調査絶滅危惧種

2019年11月10日、日本クマネットワーク、四国自然史科学研究センターとの協力で進めている、四国のツキノワグマの保護活動について3年間の活動報告となるシンポジウムを開催しました。そこで報告した調査結果をご紹介します。

世界で最も小さい島に生息するツキノワグマを守り続けるために、引き続き、皆様からのご支援をよろしくお願い致します。


この3年間の活動の最も重要な目標は、四国でのクマの生息分布域と生息頭数を正確に把握することでした。四国自然史科学研究センターは、生息中心域である剣山系で、クマを捕獲して位置情報を記録する首輪を付け行動範囲を把握する調査を進めてきました。

また、05年〜17年に捕獲した13頭のクマの血縁解析から、4組の母子、5組の父子を確認し、そこから推定される個体数が16〜24頭であることが明らかになりました

鵜野-小野寺 レイナ,山田 孝樹,大井 徹,玉手 英利(2019)四国で捕獲されたツキノワグマの血縁関係と繁殖履歴.保全生態学研究,24:61-69.

未知の生息地はあるのか

一方、捕獲による調査は調査範囲が剣山系に限定されてることから、その周辺部に未知の個体が生息している可能性がありました。そこで、17年から、剣山を中心とした50㎞四方の広域に、延べ146台のセンサーカメラを設置して未知の個体と生息地の有無の調査を行いました。

その結果、過去に生息が確認されていない7地域(A〜G)でクマの生息を確認し、この新たな生息地で5頭のクマが識別できました。しかし、5頭のうち3頭は過去に捕獲調査をした既知の個体でした。残念ながら、未知の生息地に未知の個体が多数生息しているという淡い期待は絶たれてしまいました。


▲2015年までに生息が確認されたエリアと、今回新たに生息が確認された場所(A〜G)

3年間の調査で四国のツキノワグマの危機的状況は明らかになりました。一方で、捕獲したクマの栄養状態が悪くないことや、ほぼ毎年子連れの母クマも確認され、遺伝的な近交弱勢が起こっている証拠も確認できていません。1986年以降、30年以上1頭も捕殺していないにもかかわらず、個体数が増加しない原因は未だ明らかになっていません。

生態学的には、四国のクマと遺伝的に同じ紀伊半島のクマを四国に連れてくる保全対策などが考えられます。しかし、私たちが3年間の活動の中で把握した地域の方々の意識の現状は、そのような保全対策を了承していただける状況にありません。

今後、クマの生息地周辺に暮らす方々が、より正確にクマのことを知っていただく機会を設けることや、クマの生息がその地域の方々にプラスになるような仕組みづくりが必要です。危機的な状況に焦りながらも、さらに地道な努力を続けます。

 

▼センサーカメラに写った5頭のクマ。5頭のうち3頭は過去に捕獲調査をした既知の個体で、7地域のうち6地域はこれまでに確認されている生息地の隣接地だった。(写真下)

担当者から一言

出島誠一

リポーター
生物多様性保全室 出島誠一
皆様のご支援で、3年間で効果的な調査を実施することができました。
ありがとうございます。

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