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2019.07.01(2019.07.03 更新)

奄美大島の未来を考える 小笠原世界自然遺産に学ぶ講演会を開催

イベント報告

専門度:専門度2

▲奄美市名瀬で開催された世界自然遺産講演会。土砂降りの雨にもかかわらず、会場は満席に。

テーマ:自然資源世界遺産

フィールド:奄美大島

世界自然遺産への登録は、世界的に貴重な自然を次世代に残す取り組みです。今年「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」が、世界自然遺産登録に向けて再推薦されました。この世界自然遺産登録を考える機会として、NACS-Jは4月21日と23日に奄美大島で講演会を開催しました。2日間で、約100名の方が参加してくださいました。


奄美大島は「年間367日雨が降る」といわれます。この雨の恵みがスダジイなどの常緑の森をはぐくみ、陸域ではアマミノクロウサギ、海域ではアマミホシゾラフグなどの希少な生きものが生息する豊かな島の生態系が存在しています。

奄美大島を含む「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」は2017年2月に世界自然遺産の候補地として推薦されましたが、IUCNから登録延期の勧告を受けて取り下げ、再検討の後、今年2月に改めて候補地として推薦されました。

検討の過程で、あまり議論されてこなかったのが、登録地域に住む方々と世界自然遺産との関係です。国内では、知床や小笠原諸島などが既に登録されていますが、登録後、観光客の増加や知名度の向上などにつながった反面、自然資源のオーバーユースや外来種の侵入などの問題も起きています。

奄美大島が世界自然遺産の島として生きていくためには何が必要なのか。今回は、世界自然遺産の先輩である小笠原諸島から小笠原自然観察指導員連絡会会長でガイドの深澤丞さんを招き、小笠原における自然保護の取り組みを紹介していただきました。

会場からは地元で起こっている開発案件の指摘や、若い世代の巻き込みに関する質問も出て、小笠原の経験をぜひ奄美でも活かしたいという熱気に包まれた講演会となりました。


▲西古見集落を見守る3つの小島、三連立神(さんれんたちがみ)。海の彼方の楽園「ネリヤカナヤ」からやって来た神が最初に立ち寄る場所ともいわれ、自然災害から集落を守る神として信仰されている。

開発が急激に進む奄美大島

世界自然遺産登録を待つ奄美大島ですが、島内では至る所で自然破壊と考えられる開発が進んでいます。深澤さんと共に島のあちこちを視察しました。

島の南部、瀬戸内町の東にある嘉徳には護岸建設計画があります(4月22日時点。5月第2週から護岸工事が開始されました)。また嘉徳のすぐ近くでは森林を伐採し自衛隊駐屯地の建設が進んでいます。瀬戸内町の西の端には西古見という静かな集落がありますが、ここには海外から来る大型クルーズ船が停泊できる港を建設する計画があり、NACS-Jは、環境省などに要望書を提出しています。

世界自然遺産の島として次世代に受け継ぎたい財産とは何か、今後も地元の人たちと模索していきます。


▲西古見集落のサンゴの石垣。どこか懐かしい。


▲嘉徳海岸。サーファーの聖地でもある。


▲土砂がむき出しになった大和村大棚地区の砕石場


▲瀬戸内町節子の自衛隊駐屯地

担当者から一言

担当者写真

生物多様性保全部 中野 恵
西古見の集落の海岸をビーチコーミングして歩きました。単体サンゴのクサビライシの骨格も見られ、沖ではイルカの群れが泳いでいて、西古見の海の豊かさを感じました。

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