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2019.02.25(2020.04.20 更新)

【配布資料】今日から始める自然観察「暮らしのそばにあるヨモギ」

観察ノウハウ

専門度:専門度1

今日から始める自然観察ページ画像

テーマ:自然観察ツール

フィールド:里山河原

【今日から始める自然観察】暮らしのそばにあるヨモギ(PDF/447KB)
<会報『自然保護』No.568より転載>
このページは、筆者の方に教育用のコピー配布をご了解いただいております(商用利用不可)。ダウンロードして、自然観察などでご活用ください。

古くから私たちの身近にあり、暮らしに利用されてた植物、ヨモギ。

キク科の植物で、独特のさわやかな香りがします。ヨモギの多様な活用の仕方を想像しながら観察すると、見え方・感じ方が一味変わってきます。

山下智道(野草研究家。ハーブ王子の名で、全国で観察会や講座を開き活動中)


ヨモギはおいしく薬にもなる

「ヨモギ」と聞いて何を連想しますか? 草餅、お灸、山羊汁など住んでいる地域や年齢層などで連想するイメージが異なることが、このヨモギの特徴と言えるでしょう。

多くの人がヨモギと呼んでいる植物は、国内では、本州から九州・小笠原に分布するヨモギ(別名・カズザキヨモギ)と、関東地方以西に分布するニシヨモギ、近畿地方以北に分布するオオヨモギの3種でしょう。この3種は分類上かなり近縁で見分けが困難な場合があります。

観察会などで出合う確率の高いのは、この3種ですが、ほかにもヨモギの仲間は、たくさんの種類があります。地域や環境によって生育する種類も異なり、性質や香り、見た目もバラエティに富んでいます。日本でヨモギ属は約30種確認されています。

また、世界を見ると、ヨモギ属は、北半球に広く分布し、約250種確認されています。止血、鎮痛、抗菌、血行促進などのさまざまな効能もあるため、古くから世界中で利用されてきました。

古代ギリシャの医者、ヒポクラテスは、ヨモギ属のタラゴンを毒消しとして利用していたと言われています。また、日本でも、戦後間もない時期、ミブヨモギからつくられた回虫駆除薬が活躍していました。

観察する際、ヨモギ(カズザキヨモギ・ニシヨモギ・オオヨモギ)とほかの草を見分けるポイントは、葉の裏や茎の白い毛と春菊の香りを柔らかくしたような香りです。味や香り、触り心地など、感覚をフル活用して、身近なヨモギの観察を楽しんでみてください。

※ヨモギを採集する場合は、土地所有者の許可を得て、使う分だけをいただきましょう。また、ヨモギにアレルギーを持つ方もいるのでご注意ください。

 
▼クリックすると大きくなります。
春においしい草餅 草餅は古くから食べられており、平安時代の『日本文徳天皇実録』にすでに記されている。もと もとは中国の上巳の節供(桃の節句)に食べられた草餅が原点だと考えられている。平安時代の草餅はハハコグサを練りこんだ餅だったとされているが、江戸時代にはヨモギの草餅が定着していたようだ。

 

▼クリックすると大きくなります。風まかせのヨモギの花:秋に咲くヨモギの花は、風の流れに身を任せ花粉を運ぶ風媒花で、虫を呼ぶ必要がないので非常に地味。ひとつの花のように見えるが実は複数の花が集っている(頭花)。中央に雄しべとまるまった雌しべが付く両性花が複数あり、その周りをヒラヒラした長い雌しべが付く雌花が囲む。

 


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