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自然で地域を元気にする

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2017.11.24(2017.11.28 更新)

復興が進む南三陸の自然を利用してきたかつての暮らしの様子をまとめました。

調査報告

専門度:専門度3

テーマ:防潮堤・護岸自然資源伝統文化

日本自然保護協会は、平成26年~28年に宮城県南三陸町において、東日本大震災による津波後に回復した湿地の絶滅危惧植物が復興事業により消失の危機にあったため移植による保全活動を行いました。(※これまでの保全活動の様子はこちらをご覧ください)

また、復興事業により地域の自然環境が改変されていく中で地域のくらしと自然とのかかわりを明らかにし、残していきたいと思い「人と自然のふれあい調査」を入谷地区で行いました。
「人と自然のふれあい調査」とは、地域の身近な自然とその自然とかかわりあって成り立ってきた地域での暮らしや文化を掘り起こして記録する調査です。

この調査結果をまとめた冊子「自然とともにある入谷のくらしと生業」が完成しました。※下記からダウンロードできます。

 

 

「自然とともにある入谷のくらしと生業」

 

本当は沿岸部の地区で実施したかったのですが、被災により高台移転などでコミュニティーがばらばらになり、残った方々もくらしを再建するのが最優先で、とてもふれあい調査をやっていただく雰囲気ではありませんでした。そこで内陸部の入谷地区で実施することにしました。

日本は自然災害に対して人工構造物による対策を行うことが多いのですが、それにより失われるものも少なくありません。地域の方の自然とのふれあいを視覚的に明らかにすることで、地域で培われてきた知恵や有形無形の宝物を再発見するきっかけになればと考えています。

絶滅危惧種が生育生息することを明らかにし保全することも大切ですし、地域に住む方々の自然に対するかけがえのない思いやくらしていくための知恵にもう一度気づいてもらうことも今後の自然保護にとって重要です。

「人と自然のふれあい調査」では、①目に浮かぶ風景、②耳に残る音、③鼻に思い出すにおい、④肌によみがえる感触、⑤舌になつかしい味、⑥第6感的なものについて五感アンケートを実施しました。
その結果、干し柿、コウセン(カヤの実)、ソゾメ(ガマズミの実)など他の5感に比べて舌になつかしい味を多くの方が思い出されました。比較的海の近くですが身近な山の幸を何でも利用していたことがわかりました。

地元の方とお話をしていく中で、戦前に生まれの方は身近な自然を利用して必要なものは何でも自分で作っていた最後の世代であることを教えていただき、80歳以上の方にお話を聞くことになりました。
年配の方にお話をお聞きする形で地区の方にも集まってもらい4人の方からお話をうかがいました。当時の厳しいくらしやその中で生み出された知恵や楽しみをうかがうことができました。あまり知られていない被災地の過去のくらしの一旦を知ることができます。

※入谷地区での「人と自然のふれあい調査」の詳しい様子は こちら からご覧ください。

今回は80代以上の年配の方からのお話を聞く貴重な機会になりました。こうした機会は意図的に場を設定しないとできないもので、年配の方がもつ知恵を将来につなぐきっかけになると期待しています。今後も他の地域でも実施していければと思います。

 

 

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