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日本の絶滅危惧種を守る

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2017.04.26(2019.07.08 更新)

「環境に影響ないと思ったけどやってみたら予定どおりにならなかった」は、自然が相手では取り返しがつかない。

解説

専門度:専門度3

テーマ:生息環境保全環境アセスメント

フィールド:サンゴ礁海草藻場辺野古・大浦湾米軍基地ジュゴン環境影響評価

4月25日、辺野古サンゴ礁を埋め立てるための護岸工事が着手され、日本自然保護協会は内閣総理大臣など7名の大臣らに抗議文書*を提出しました。

*抗議文全文はこちらから

日本自然保護協会が今回も抗議の手紙を送った理由は、一言で言うなら「環境面の課題はいまだ解決していない」からです。

辺野古でも、環境影響評価(アセスメント)や公有水面埋立承認手続きなど、環境に関する法的な手続きは行われてきました。しかし、その内容は自然が守られるものになっていません。
今回の抗議で主な理由として挙げた、

  1. 最新の自然の調査を十分に行っておらず状況に合った対処を取る姿勢が見えない
  2. 国際的に危機的な状況にあるサンゴ礁を政府自らが埋め立てようとしている
  3. 絶滅危惧種に指定されるほど数の少ないジュゴンが利用していた大浦湾の海草藻場に「食み跡(はみあと:食べた痕跡)」が見られなくなった

という3点も自然が守られていないことを示しています。

ジュゴンは絶滅危惧種なので、これまで環境アセスメントの際にもその後にも、多くの調査がされ、それをもとに環境配慮が考えられ、ジュゴンへの影響はないと考える事業者の主張に基づいて埋め立てが許可されましたが、ジュゴンが使っていた場所を放棄した、ということは、工事に伴う作業がジュゴンの生息に影響を与えたということを意味します。

影響配慮がなされているはずなのに、ジュゴンの行動に変化があるのだとしたら、ジュゴンだけでなく、ほかの生物や地形への影響がどの程度なされているのかも疑問となります

「やってみたら予定どおりにならなかった」となったとき、人がつくった建物ならば作り直しもできるでしょうが、生き物の絶滅や、地形の改変は取り返しがつかないのです。

 

護岸工事ってなに?

辺野古の埋め立て工事に関して、「いままでもコンクリートブロックとかあったし、工事はもう着工していたんじゃないの?」という声も聞こえます。
今まで投下されていたコンクリートブロックは、詳細設計をするボーリング調査を行うためのものでした。もうちょっと詳しくいえば、ボーリング調査のために、工事に反対する市民の人たちを近づけないようにする洋上フロートを風や波で流されないよう固定するためのおもりが最初に投入されたコンクリートブロックでした。

次に投下されたコンクリートブロックは、汚濁防止膜を固定するためのもの。

工事中は土砂等が舞い上がり海水が濁ります。その汚れが周辺に広がらないように汚濁防止膜が必要になるのです。

そして、今回着手されたという「護岸工事」は、埋め立ての枠をつくる工事。枠が全部できると、その中に土砂を埋めていく作業がはじまります。
今日の「着手」はセレモニーだけだったようですが、工事が進むほど後戻りがしにくくなっていきます。

順番にしてみると、

  1. 洋上フロートを固定するためのコンクリートブロックを投入
  2. 汚濁防止幕を固定するためのコンクリートブロックを投入
  3. 埋め立ての土砂を流し込む「枠」を作るための護岸工事 ←今はココ
  4. 枠の中に土砂を流し込む工事
  5. (以降埋め立てのための作業が続く)

このようになります。すでに海中はコンクリートブロックだらけですね。

日本自然保護協会は、今後も自然への影響が甚大な段階へと進むことのないよう見直しを働きかけていきます。

今後とも、ぜひご注目・ご支援をお願いいたします。

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