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2023.07.03(2023.07.03 更新)

国際環境NGOから夢洲・大阪湾の保全・回復を要望する書簡が博覧会協会、大阪市に届けられる

ヘラシギの写真

ヘラシギ Calidris pygmea 英名 Spoonbill sandpipe © Ayuwat Jearwattanakanok

  • バードライフ・インターナショナルは博覧会協会、大阪市に大阪湾の湿地環境の保全と回復のためにあらゆる手段を講じることを求めた。
  • 夢洲(ゆめしま)は、絶滅危惧種ヘラシギが観察されていたことから渡り鳥シギ・チドリの重要な中継地として、南港野鳥園と合わせて重要であると指摘した。
  • 大阪・関西万博の開発、期間中の利用や万博終了後の跡地利用で生息地が失われる可能性から、博覧会協会、大阪市などに対して専門家、市民団体、万博出展企業の知恵と技術を活用し、環境再生の拠点とすることを求めた。

国際環境NGOバードライフ・インターナショナル本部のリチャード・グリメット氏(保全ディレクター)は、大阪湾夢洲で計画されている「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」に関して、公益財団法人日本野鳥の会(理事長:遠藤 孝一)、公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン、会長:末吉 竹二郎)、公益財団法人日本自然保護協会(NACS-J、理事長:亀山 章)とともに、関係当局に、大阪湾に残された湿地環境の保全と回復のためにあらゆる手段を講じることを要望する書簡を、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会や大阪市、環境省に国内環境団体を通じて6月30日に送付した。

書簡の仮訳

2023年6月29日 日本の大阪湾に浮かぶ夢洲

関係各位

バードライフ・インターナショナルは、日本野鳥の会、WWFジャパン、日本自然保護協会などの国内団体とともに、関係当局に対し、大阪湾に残された湿地環境の保全と回復のためにあらゆる手段を講じるよう求めます。

大阪湾の夢洲は、東アジア-オーストラリア・フライウェイのシギ・チドリの中継地です。国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで深刻な危機に分類されているヘラシギがここで観察されています。この場所は南港野鳥園と補完関係にあり、秋の渡りの記録から、同じ個体が両方の場所を利用していることがわかります。

長年にわたり、このような国際的に重要な生息地は工業用地や農業用地、住宅用地として転用され、シギ・チドリの個体数は著しく減少しています。今こそ、残された場所を保護し、回復させるためのあらゆる努力が必要です。私たちは、2025年の大阪・関西万博に向けて計画されている開発や、万博期間中の利用および万博終了後の跡地利用によって、夢洲の湿地生息地が失われる可能性があると考えています。

私たちは、博覧会協会、大阪市、その他の関係者が、専門家、市民団体、万博出展企業の知恵と技術的知見を活用し、夢洲の湿地環境の保全と再生を確実に行うとともに、南港野鳥園とともに大阪湾奥部の海岸環境再生の拠点とすることを求めます。

私たちは、夢洲におけるこれらの生態系の保全と再生が、日本を含む世界が昨年末に合意した「昆明・モントリオール生物多様性世界枠組」に示された自然に対する新たな世界目標の達成に向けた重要な貢献となることを、確信しています。

敬具

リチャード・グリメット
保全ディレクター

参考情報

2025年日本国際博覧会会場の建設整備に対して夢洲の生物多様性の保全と回復 を求める要望書

https://what-we-do.nacsj.or.jp/2022/03/17997/(2022年3月22日)

バードライフ・インターナショナル

1922年に英国で発足。世界100以上の国や地域のパートナー団体で構成され、ローカルからグローバルまで一体となった取り組みを進めている。自然環境、そしてそこに生息する種を救うために、世界中からデータを集め、その分析を行い、最も効果的で革新的な保全策を実行するために、科学に基づいた活動をしている。IUCNレッドリストの鳥類部門の公式な評価機関。
https://www.birdlife.org/

ヘラシギの写真ヘラシギ:IUCNレッドリスト Critically Endangered (CR) 「絶滅寸前」(絶滅危惧IA類)
環境省モニタリングサイト1000で、夢洲・南港野鳥園で2004~2006年に記録されている(写真提供:日本野鳥の会大阪支部)

本リリースに関するお問合せ

日本野鳥の会 葉山政治 Email:hayama@wbsj.org
WWFジャパン 前川 聡 Email:maekawa@wwf.or.jp
日本自然保護協会 大野正人 Email:ohno@nacsj.or.jp

バードライフ・インターナショナルについては、下記にお問合せ下さい。
バードライフ・インターナショナル東京
担当:鈴江恵子/清水恵美 Tel:03-6206-2941 Email: Tokyo.office@birdlife.org

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