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2016.10.18(2017.04.07 更新)

イヌワシが狩りをする環境づくりに一定の成果

皆伐によって狩場を創出することが、イヌワシの生息環境の質の向上につながる可能性が高いことが示されました。

プレスリリース:イヌワシは2haの皆伐地を狩りができる環境として認識(PDFファイル、674KB)

補足資料1:20160804プレスリリースと報道状況(PDFファイル、385KB)

補足資料2:イヌワシの現状(PDFファイル、255KB)

補足資料3:イヌワシの狩場環境(PDFファイル、151KB)


プレスリリース

2016年10月18日
公益財団法人日本自然保護協会
林野庁関東森林管理局
赤谷プロジェクト地域協議会

イヌワシは2haの皆伐地を、狩りができる環境として認識

~イヌワシが狩りをする環境の創出試験2年間の結果~

国有林の生物多様性復元と持続的な地域づくりを目指す赤谷プロジェクト(群馬県利根郡みなかみ町)は、森林の生物多様性の豊かさを指標する野生動物としてイヌワシ(*1)のモニタリング調査を続けてきました。その調査結果をもとに、2014年9月から、人工林165haを対象として、イヌワシが狩りをする環境(以下、狩場)を創出するとともに、この地域本来の自然の森に復元する試験を開始しました。この試験の特徴は、20年間の観察データに基づいた試験地設定と、草原のような開けた環境を好むイヌワシの特性を踏まえて、皆伐(かいばつ)(*2)による試験であることです。(補足資料1参照)
第1次試験地として設定したスギ人工林2haを2015年9月に皆伐を行い、伐採前の1年間と、伐採後の1年間のイヌワシの行動を比較したところ、第1次試験地周辺に出現するイヌワシの頻度が顕著に増加し、第1次試験地で獲物を探す行動も観察されました。このことから、イヌワシの行動範囲内に、科学的根拠に基づいて、皆伐によって狩場を創出することが、イヌワシの生息環境の質の向上につながる可能性が高いことが示されたと考えています。
(*1) 第4次レッドリスト絶滅危惧ⅠB類、種の保存法に基づく国内希少野生動植物種、文化財保護法に基づく天然記念物 等に指定。
(*2)「皆伐」は林地内の全ての樹木を伐採する方法で、「間伐」は林地内の樹木の3割程度を伐採する方法。

◆2年間の試験結果

第1次試験地に狩場を創出した効果を評価するために、伐採前1年間(2014年9月18日~2015年9月17日)と、伐採後1年間(2015年9月18~2016年9月17日)のイヌワシの行動を比較しました。
以下の結果から、イヌワシは創出した狩場を、狩りができる環境として認識していると考えています。
1)狩場創出後、イヌワシが第1次試験地周辺に出現する頻度が高まった
第1次試験地周辺にイヌワシが出現した頻度(イヌワシが出現した時間/観察時間)が、伐採前の0.029から、伐採後は0.049と、顕著に高まりました。
2)狩場創出後、イヌワシが第1次試験地の上空で獲物を探す行動が4回観察された
第1次試験地の上空で獲物を探す行動は、伐採前1年間(観察日数123日)には一度も確認されませんでしたが、伐採後の1年間(観察日数143日)は、2015年12月26日、2016年2月15日、3月5日、4月30日にそれぞれ1回(計4回)観察されました。

◆イヌワシが7年ぶりに子育て成功!!

2016年6月、赤谷プロジェクトエリアに生息するイヌワシのつがいが、2009年以来、7年振りに1羽の幼鳥を巣立たせたことを確認しました。2015年9月に狩場を創出したことの直接の効果ではないものの、赤谷の森にイヌワシが子育てのできる森の豊かさがあることが示されました。
※ 詳細な結果の解説や、試験地の抽出条件などについてはPDFファイルにも掲載されています。

プレスリリース:イヌワシは2haの皆伐地を狩りができる環境として認識(PDFファイル、674KB)

 

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