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Home 主な活動 スタッフブログ 【連載】遺贈寄付を知ろう「第16回:子のない65歳夫婦、互いが亡き後の財産の活かし方として選んだ方法とは?」

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2023.11.29(2023.11.29 更新)

【連載】遺贈寄付を知ろう「第16回:子のない65歳夫婦、互いが亡き後の財産の活かし方として選んだ方法とは?」

解説

専門度:専門度1

遺贈寄付を知ろう〜あなたの想いと自然を未来につなげるために

フィールド:活動支援寄付

NACS-Jではここ数年、遺贈寄付に関するご相談が寄せられることが多くなってきました。まだ元気なうちに人生のエンディングの準備を進め、遺産の活かし方をご自身で決める方が増えているようです。

遺贈寄付とは、人生の最後に財産が残った時に、その一部を公益団体などへ寄付をすること。自分の想いを未来に託し、自身亡き後に財産を社会に有効に活かす方法の一つとして、注目が高まっています。ご相談の事例から、お悩みや不安の解決につながるヒントをご紹介します。


【連載】遺贈寄付を知ろう ~ あなたの想いと自然を未来につなげるために

第16回:子のない65歳夫婦、互いが亡き後の財産の活かし方として選んだ方法とは?

ある日、日本自然保護協会の事務局に1本の電話がかかってきました。

「インターネットで検索して、初めて連絡しました。私は埼玉の自宅に住んでおり、5歳上の夫と二人暮らしです。じつは最近、私の親が相次いで亡くなり、相続や死後事務の手続きでけっこう大変な思いをしました。夫はもうすぐ70歳になるところですが、両親は早くに他界しており、子どもがいない私たちは兄弟や甥姪に余計な面倒をかけたくなくて、どちらかが亡くなって一人になった時や、二人とも亡くなったあとが不安なので、今のうちに遺言書を作っておこうと思い立ちました。」

さらに話をお聞きしてみると、「二人とも亡くなったあと最終的に残った財産は、何か世の中のためになることに使ってもらいたい、と税理士の方に相談したら、遺言書で社会貢献団体などに財産を贈る遺贈寄付という方法があると教えてもらいました。それで寄付する先を決めたいと考え、ホームページで活動を拝見してこちらの団体にお電話しました。」とのことでした。

寄付先を選ぼうと考えたとき、ご自分の人生やご家族の足跡を思い返し、小さい頃よく親に連れられて田舎の野山へ遊びに行き、草花や鳥が好きだったことを思い出して、自然保護に取り組んでいるNGOに寄付したいと思われたそうです。

「私たちがいなくなった後も、自分たちの財産が世の中の役に立つと思うと嬉しいですし、まだ、自分たちが元気なうちに自分で財産のゆくえや使い道を決めておけるのはとてもよいしくみだと思いました。」

こうしたケースは、必ずしもご夫婦に限りません。
身寄りのない姉・弟の二人暮らし。遺言書を準備しようと思った最大の動機は、脳梗塞をわずらい後遺障害のある弟の将来を案じてのことでした。

自分がいなくなって弟が一人になった時のことが心配だった姉は、付き合いのある金融機関に専門家を紹介してもらい、そこで初めて遺贈寄付について知ることになりました。そして、互いを第一の相続人にした上で、二人とも亡くなった後の財産を、生まれ故郷の自治体のほか、自然保護、医療支援に取り組む非営利団体へ財産を贈ることを決められそうです。

「遺産を寄付するなんてお金持ちがすることだと思っていましたが、何も高額な寄付を計画する必要はないんですね。財産をすべてきれいに使い切って亡くなるというのは稀なことだと思うんです。遺贈寄付は、自分たちの生涯の生活や亡くなったあとの手続きに必要なお金はきちんと使った上で、最後に残った財産のゆくえについて考えればよいことを知って安心しました。」

家や車など財産の挿絵

お子さんがいない「おふたりさま」に安心の「予備的遺言」

相続人や受遣者が遺言者よりも先に亡くなったり、あるいは相続・遺贈を放棄される場合などに備えて、配偶者・兄弟姉妹・事実婚パートナーなど財産を渡したい人をまず定めた上で(=主位的遺言)、さらにその先の相続・遺贈先を自身であらかじめ指定しておくことを「予備的遺言(=補充遺言)」といいます。

近年、「自宅には夫婦どちらかが最後まで住み続けたいが、二人とも亡くなった後は、想い入れのある団体に遺贈寄付したい」という人が増えています。このような希望を叶える方法として、予備的遺言(補充遺言)が使えるのです。「私は、自宅の土地建物を妻に相続させる。ただし、妻が先立って死亡した場合はこの非営利団体に遺贈する」といった予備としての遺贈を指定する遺言を残しておけばよいわけです。自宅以外の財産についても、妻の次の行き先を遺贈寄付として指定しておけば安心です。妻も同様の趣旨の遺言を作成することで、夫婦の財産を確実に世の中の役立てることができます。

また、遺留分の取得権がない兄弟や甥姪に相続をしない場合や、相続人が一人もいない場合、「全財産を●●団体に寄付する」というような「包括遺贈」(参照:連載第13回)とする遺言書をつくる際は、葬儀や死後事務など亡くなったあとのさまざまな手続きを専門家が行ってくれる「死後事務委任契約」を結び、それらにかかる費用も残された遺産から差し引くことなどを遺言書に明記しておくとよいでしょう。

遺言執行と死後事務委任は、同時進行で手続きが進められることが多いので、緊密に連携がとれる方々に依頼しておくと安心です。

専門家のアドバイスを受ける夫婦の挿絵

NACS-Jの自然保護活動のすべてが、多くの方からのご寄付に支えられています。法務・税務・終活等の専門家と連携し、丁寧かつ慎重にご相談を重ね、遺贈・遺産寄付を最適な形で実現するためのサポートを行っています。
ご相談やお問合せは、どうぞお気軽に以下のEメールまたはTELまで。ご案内資料の送付を希望される場合は、ご住所とお名前をお知らせください。

公益財団法人日本自然保護協会(NACS-J) 遺贈・遺産寄付担当(芝小路、鶴田)
E-mail memory@nacsj.or.jp/TEL 03-3553-4101(代表受付、平日10:00~17:00)

遺贈・遺産寄付についてくわしくは・・・

コラム「遺贈寄付を知ろう」 連載目次ページ

https://www.nacsj.or.jp/news/2023/10/37315/

あなたの想いを日本の自然のために遺す、遺贈・遺産・生前のご寄付のご案内

https://www.nacsj.or.jp/support/bequest/

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