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2017.07.20(2018.02.04 更新)

ウナギ、今年は豊漁? 食べていいの?

読み物

専門度:専門度1

テーマ:自然環境調査絶滅危惧種

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【参考情報】

2018.02.04:オンラインメディア『ねとらぼ』から「ウナギは食べていいのか」というテーマで取材を受けました。水産庁にも同様の質問をされていました。日本自然保護協会と水産庁の回答の違いにもご注目ください↓↓。

結局“絶滅危惧種”ウナギは食べていいのか 水産庁と日本自然保護協会に聞いてみた(ねとらぼ)


※下の記事は2017年7月時点の記事です。

もうすぐ土用の丑の日。

東京では猛暑日が続いています。夏バテ防止にウナギでも食べに行こうかという会話が聞こえてきそうです。しかしその二ホンウナギは絶滅危惧種。伝統的な食文化の危機として報道でも取り上げられるようになりました。
「ウナギを食べていいのか、いけないのか」といった議論もおきています。また、この時期には必ず、ウナギの稚魚が豊漁、もしくは不漁と話題になります。今年でいえば、今年はウナギの稚魚が豊漁でウナギが安く食べられるといった報道が散見されます。本当に豊漁なのか、食べても問題ないのか、皆さんも疑問を感じるのではないでしょうか。

こうした中、日本自然保護協会では、「食べていいのか」という観点ではなく、「そもそもなぜ二ホンウナギが絶滅危惧種になったのか」という事実に着目しました。そこで調べていくと実はわからないことだらけの現実が見えてきました。

 

▲ウナギの一生。毎年4月~8月頃に産卵して、6か月程度の時間をかけて、東アジア沿岸域にやってきます。数年~数十年かけて40~50cm以上に成長し産卵場所に向かうという一生を送っています。

 

二ホンウナギはその一生のほとんどの時間を日本の海岸や川で暮らします。この環境が二ホンウナギにとって良くない状況なのではないかと仮説をたてました。

実際、これまでの研究では堰の高さが40㎝となるとその上下流での生息密度が大きく異なることがわかっています。つまり日本ウナギは40㎝以上の堰を超えることが難しい ということです。日本の川にどれだけの堰があるのでしょうか。そしてその高さはどれくらいあるのでしょうか。魚道はついているのでしょうか。疑問が次から次へと湧き出てきました。

 

日本自然保護協会では過去に4回、「自然しらべ」で川を調査しました。その結果は、明らかに自然環境が悪いという川は減ってきているというものでした。しかしウナギ目線で川の状況を見てみるとどうも違った状況がみえてきます。

そこで今年(2017年)の自然しらべでは、「ウナギ目線で川・海しらべ!」と題して、二ホンウナギの生息場所としての川と干潟の健康診断をすることにしました。

自然しらべはお子さんでも参加できる簡単な調査ですので、ぜひ、夏休みの自由研究がてら参加してみてください!詳しくはこちらをご覧ください。

 

ちなみに、今年、ウナギの稚魚が豊漁と言われていますが、これはここ数年の中では少しだけ増えているというだけです。1960年から現在にいたる漁獲量の変化は明確な減少傾向が続いています。この状況が変わらない限り、ニホンウナギが絶滅危惧種の指定からかわることはありません。
ウナギの生息環境の実態がわかれば、きっと持続可能な利用の仕方を考えることができるはずです。安心して、「ウナギでも食べに行こうよ!」と会話できるような社会にしたいですね。

(保護室 辻村千尋)

 

【関連記事】 ウナギの稚魚、半分近くが違法取引によるもの

ご支援のお願い:ウナギが暮らしやすい川を取り戻すための活動にご協力ください。


「自然しらべ2017 ウナギ目線で川・海しらべ!」で学術協力いただいている中央大学・海部健三准教授が、ウナギの生態や生息数の実態などの情報をまとめたサイト「ウナギレポート」を開設しました。

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