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2021.11.30

「(仮称)石垣リゾート&コミュニティ計画」に関する要請書を出しました

日本自然保護協会は、WWFジャパン、日本野鳥の会や地域団体と連名で「(仮称)石垣リゾート&コミュニティ計画」(事業者 株式会社ユニマットプレシャス)に関する要請書を沖縄県知事と石垣市長に提出しました。
この事業予定地は、前勢岳やバンナ岳に隣接し、ラムサール条約登録湿地である「名蔵アンパル」の周辺地域にも開発の影響が及ぶ可能性があります。住民等の意見聴取の設置や「地域未来投資促進法」にもとづく審査を厳格に行い、事業計画の改善を求め、容易に同意をしないことを要請しました。

「(仮称)石垣リゾート&コミュニティ計画」に関する要請書(PDF/299KB)


2021年11月29日

沖縄県知事 玉城 康裕 殿
石垣市長  中山 義隆 殿
(同報)環境大臣 山口 壯 殿
(同報)経済産業大臣 萩生田 光一 殿

アンパルの自然を守る会
共同代表 島村 賢正
石垣島エコツーリズム協会
会長   谷崎 樹生
カンムリワシ・リサーチ
代表   小林 孝
公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン
会 長  末吉 竹二郎
公益財団法人 日本自然保護協会
理事長  亀山 章
公益財団法人 日本野鳥の会
理事長  遠藤 孝一
ラムサール・ネットワーク日本
共同代表 金井 裕・永井 光弘
(以上、五十音順。団体印省略。)

 

「(仮称)石垣リゾート&コミュニティ計画」に関する要請書

拝啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。

南西諸島は、サンゴ礁や干潟、亜熱帯林やマングローブ林といった多様な自然環境や景観を有し、陸域・海域ともに数多くの固有の野生動植物種の生息・生育地となっています。今年7月には南西諸島4か所がユネスコの世界自然遺産に登録され、この地域の生物多様性の豊かさは世界的に高く評価されています。
石垣島は、南西諸島の中で特に貴重な生物多様性が残されている八重山諸島の中心拠点であり、沖縄県第3位の面積を有する島内各所が西表石垣国立公園や国指定鳥獣保護区に指定されています。中でも日本最南端のラムサール条約湿地である名蔵アンパル周辺は、環境省の特定植物群落に選定された名蔵川河口域マングローブ林が広がり、名蔵湾および名蔵川集水域を含む生物多様性を保全する上で極めて重要な湿地が存在します。
現在、株式会社ユニマットプレシャス(以下「ユニマット社」)により進められている「(仮称)石垣リゾート&コミュニティ計画」(以下「本件事業」)の対象地域は、亜熱帯性の貴重な自然景観である前勢岳やバンナ岳に隣接し、上記の名蔵アンパル周辺地域にも水系を通じて強い連関性があり、国の特別天然記念物で種の保存法により国内希少野生動植物種に指定されているカンムリワシをはじめとする希少な野生生物の生息地になっています。よって本件事業に対しては、生物多様性への配慮が特に強く求められています。一方で、本件事業は「地域未来投資促進法」の適用事業として諸手続きが進められてきており、現行の計画内容では、この地域の生物多様性価値や貴重な自然が不可逆的に失われることが強く懸念されています。にもかかわらず、地域住民に対する情報開示や説明が十分に行われないまま着工に向けた準備が進められる中、住民による強い反対運動が展開されています。
世界的に貴重な石垣島の重要な資産である豊かな自然環境と生物多様性を後世に残し、地域住民による自然とともにある暮らしを守るため、本件事業に関して、以下の事項を要望いたします。ご高配を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。

敬具

1. 本件事業に関して、ユニマット社が沖縄県に提出している地域未来投資促進法(地域経済牽引事業の促進による地域の成長発展の基盤強化に関する法律)に基づく「地域経済牽引事業計画」、および同法に基づき石垣市が沖縄県に提出した「土地利用調整計画」の内容について、沖縄県の下記2.の同意の審査前に開示するとともに、住民および関係する専門家等の意見を聴取する機会を設けること

2. 沖縄県が、上記「地域経済牽引事業計画」に対し同意するか否かを審査するにあたっては、以下の点を厳格に審査し、同計画が自然環境の保全と活用を通じた地域全体の振興に真に寄与することを担保すること
(1)上記「地域経済牽引事業計画」が同法に基づき国が承認した「基本計画」の記載事項(※注1)に合致していること
(2)本件事業の対象地域に国の特別天然記念物で種の保存法の国内希少野生動植物種であるカンムリワシ等の生息地および名蔵アンパルに連なる重要な保全地域が含まれていることから、同法および同法ガイドラインで対象事業に求められている適切な環境保全が図られ、自然環境へ重大な影響がないように十分な配慮が行われていること
(3)本件事業の経済効果の算出にあたっては、石垣市第4次総合計画(※注2)に基づき、自然環境の価値・利用に関する効果算出も併せて行い、ゴルフリゾート一辺倒の収益計画に基づく算出ではなく、自然環境と調和した他の利用方法による経済効果との比較検討を行うこと

3. 沖縄県による上記2.の審査にあたっては、ユニマット社が沖縄県環境影響評価条例に基づき提出した環境影響評価書において、2021年2月19日付け沖縄県知事意見書の指摘事項が事業計画に十分に反映されていないことが見受けられることから(※注3)、これらの項目について事業者に対し必要な対応・改善を求め、対応・改善がなされるまでは同計画に対し同意しないこと

※注1
本件事業に関する地域未来投資促進法に基づく「基本計画」には、(1)石垣「市の魅力である自然環境や景観の保全に十分留意しつつ」土地利用が行われること、(2)「対象区域の周辺である名蔵アンパル一帯・於茂登岳一帯をはじめ、優れた自然環境を形成している水面や森林等については、積極的に保全するとともに、市民の余暇活動や環境学習の場等としての有効利用を一層進める」計画とすること等が定められ、かかる記載事項に基づき国の承認が行われた。

※注2
石垣市第4次総合計画基本構想では、「島の自然環境を守り活かす『いしがき』」を目指し、「環境共生社会の先進都市を創る」「豊かな自然を保全・活用する」との大綱が示され、「美しい自然の環境・景観など観光資源を生かして、観光・リゾートの振興に努めるとともに、豊かな海洋資源や農産物の活用と、特有の暮らしのスタイルの発信によって、石垣ブランドの育成を推進」すること等が宣言されている。

※注3
本件事業に関してユニマット社が提出した環境影響評価書(本年10月29日公示)では、希少な野生生物の生息地または自然環境への影響に関する県知事意見書による指摘事項のうち、少なくとも次の点の対応が不十分であると言わざるを得ない。
・名蔵湾の海域および名蔵アンパルの汽水域への影響について、生態系および水域生物に関する十分な科学的調査を行うことなく影響は軽微とし、必要な環境保全措置および事後調査を検討していない点
・カンムリワシについて、本件事業の対象地域が採餌場所であることは確認しつつ、営巣の有無に関しては調査が不十分なまま発見に至っていないとし、工事および施設共用によるカンムリワシの生息地の改変および影響について回避・低減策が記述されていない点
・ゴルフ場管理のための農薬使用の影響について、キバラヨシノボリやタナゴモドキ等の淡水魚、両生類、昆虫類への影響を予測しつつ、十分な科学的調査を行うことなく影響は軽微とし、必要な環境保全措置および事後調査の実施を記載していない点

以上

名蔵アンパルの干潟の写真名蔵アンパルの干潟・マングローブ林

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