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沖縄・辺野古 大浦湾の保全

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2019.12.11

ジュゴンの南西諸島地域個体群が、IUCNレッドリスト「絶滅危惧ⅠA類」に評価されたことに対し、日本政府が緊急に具体的な保護の手立てを進めることを求める声明

12月10日に公表された IUCNのレッドリスト(The IUCN Red List of Threatened Species. Version 2019-3)において、日本の南西諸島に生息するジュゴン(Dugong dugon)の地域個体群(sub-population)が、Critically Endangered (CR) 「深刻な危機」(絶滅危惧IA類)にあると評価された。

成熟個体数は10頭以下、生息数は減少傾向にあり、野生絶滅の一歩手前の状況にあるという評価である。

 

これまで、IUCNレッドリストでは、ジュゴンは世界全体でVulnerable (VU) 「危急」(絶滅危惧II類)とされていた。生物の種の絶滅は、一斉に起こるのではなく地域ごとに徐々に絶滅してやがて地球上から消えてゆく。今回、世界の北限に位置する日本のジュゴンが絶滅の一歩手前にあると評価されたのは、地球上のジュゴンにとっても非常に深刻で、大型の哺乳類の絶滅は地球上の生態系にとって憂慮すべき事態となる。

日本政府は、日本のジュゴンをこのまま絶滅させないよう緊急に対処することが世界への責任であると考える。以上のことから、日本政府に対し以下を要求する。

  1. ジュゴンの生息海域で進められている普天間飛行場代替施設建設事業を一時中止し、環境への影響を再評価すること。
  2. この事業にあたって行われている、科学的根拠のない海草の移植作業を中止すること。
  3. 今年4月に、八重山諸島などでのジュゴンの近年の目撃情報が環境省から公表されている。南西諸島のジュゴンについて詳細な調査を実施すること。
  4. ジュゴンが餌場として利用する海草藻場の保全も重視すること。海草藻場の保全はジュゴンだけでなく海草藻場生態系に生息する多くの生物にとって重要である。
  5. 科学的根拠に基づいた保護管理計画を立案し、すみやかに実行すること。その際にはIUCN 海牛類専門家グループ(Sierenia Specialist Group)の助言に基づく計画・実施を行うこと。

以上


(参考)

IUCNレッドリスト/ジュゴン・南西諸島地域個体群
https://www.iucnredlist.org/species/157011948/157011982#assessment-information

IUCNレッドリストとは(道家哲平・IUCN日本委員会事務局長、日本自然保護協会)
https://www.wwf.or.jp/activities/data/20180615_wildlife03.pdf

 

沖縄防衛局により個体識別された個体A,B,Cの3頭のうち、ジュゴン個体AとCについては普天間飛行場代替施設建設事業との関連性が高いとかねてから指摘されている(日本自然保護協会 2014、細川太郎 2019など)。今年3月に死亡した古宇利島周辺を主な生息域としてきた個体Bについては、西から東へと移動する埋立土砂の運搬船の影響を受ける可能性が指摘されてきた。記録を見ると平成20年度は個体Bは古宇利島を離れ、辺戸岬を周り西海岸安田沖にも移動している(沖縄防衛局、2009)。移動の際に土砂運搬船の影響を受ける可能性もあったことと思われる。

辺野古の海草藻場を構成する7種の海草は環境省のレッドリストで準絶滅危惧(NT)とされており、そのうちウミジグサなどの3種は、昨年、レッドリストおきなわに準絶滅危惧種として評価されている。海草自体が希少であり、沖縄島周辺でまとまった規模の海草藻場が辺野古のほかにはほとんどないことからも、辺野古の海草藻場が残されたジュゴンにとって大切な場所であることは明らかである。そこに日々土砂が投入されている。

【哺乳類】環境省レッドリスト2019
https://www.env.go.jp/press/files/jp/110615.pdf

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