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2019.03.25

【辺野古】新たな区域への土砂投入に対し抗議声明を送付しました

本日、日本政府により新たな区域に土砂投入が行われました。これを受け、抗議声明を日本政府に送りました。

日本政府による米軍普天間飛行場代替施設建設事業における土砂投入に対する抗議(PDF/130KB)


2019年3月25日

内閣総理大臣    安倍 晋三 様
内閣官房長官    菅  義偉 様
国土交通大臣    石井 啓一 様
防衛大臣      岩屋  毅 様
環境大臣      原田 義昭 様
沖縄・北方担当大臣 宮腰 光寛 様
沖縄防衛局長    田中 利則 様

 

日本政府による米軍普天間飛行場代替施設建設事業における土砂投入に対する抗議

 

公益財団法人 日本自然保護協会
理事長  亀山 章

日本政府は米軍普天間飛行場代替施設建設事業(以下、「同事業」)に伴う名護市辺野古沿岸部への新たな土砂投入を3月25日に開始した。沖縄島周辺で最大の規模の海草藻場に土砂投入することは、この海域の自然に不可逆的な影響を与えるものである。日本自然保護協会は、生物多様性豊かな自然環境を守る活動に取り組む立場から、生物多様性豊かな自然環境を有する場所において工事を進めることに対し強く抗議する。

沖縄島周辺には少なくとも3頭のジュゴン(個体A,B,C)が棲息していることが、沖縄防衛局の調査(2009)にて確認されていた。しかしながら今月18日に古宇利島周辺を主な生息域としていた個体Bの死亡が確認され、そのうえ、嘉陽沖を主な生息域にしていた個体Aは2018年9月以降、古宇利島から辺野古沖で確認されていた個体Cについては2015年6月以降は生息が確認されていない。

沖縄島西海岸から東海岸へジュゴンは移動することが知られているが(沖縄防衛局、2009)、その同じルートにて西海岸から埋立土砂を積んだ運搬船も移動する。そのため、ジュゴンが影響を受ける可能性はかねてから指摘されてきた。

現在、日々土砂が投入されている海草藻場はジュゴンやウミガメをはじめとし、多くの生物がその幼生や幼魚の時代に利用する海のゆりかごとなっている。また、二酸化炭素を固定する機能の重要性が第13回締約国会議で採択されたブルーカーボン決議でも再認識されたように、海草藻場の大切さは、同事業の環境影響評価を行ったときと比べて高まっている。

日本自然保護協会(2013)や日本生態学会等(2014)が指摘してきたように、本事業における環境影響評価は科学性に問題があり、アメリカの海洋哺乳類学者トーマス・ジェファーソン氏も米ジュゴン訴訟におけるやり取りで「アセスは非常に不十分で科学的検証に耐えられるものではない」と意見を述べている。

加えて同事業は、事業実施区域の環境に影響を与えているだけではなく、埋立土砂の採取地など広く他の地域で環境に影響を及ぼしている。土砂運搬船の影響も含む同事業関連の全ての作業を含めて影響を評価しなおし、計画を再考する必要がある。

2018年8月31日に沖縄県が公有水面埋立承認を撤回した際の根拠である、政府の環境保全措置の不備は、その後、改善が見られていない。昨年開催されたラムサール条約第13回締約国会議において、海草藻場の大切さとウミガメの産卵地の保全に関する決議が採択され、世界的にその大切さが再認識され、保全に向けて努力することが合意されたばかりである。

同事業を強行することは、2015年に国連が採択し日本政府も推進しているSDGs(持続可能な開発目標)の目標14「海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する」の達成に背を向けるものである。工事再開は世界的な生物多様性保全の流れに逆行するものであり、ただちに工事を中止すべきである。

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