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2018.12.05

座間味浄水場建設計画の改善を求める要望書を出しました

沖縄県座間味島の阿真(あま)ビーチは、まばゆいほどの透明な海とウミガメがよく見られることで知られる貴重な自然海岸です。この陸側に浄水場計画が持ち上がりました。
NACS-J会員など島民から、浄水施設は必要だが場所の選定がよくないため、海辺の生物や野鳥への影響を懸念する声が上がっています。
NACS-Jは、位置の選定、住民との合意形成、水質管理などの観点から改善を求める沖縄県議会に要望書を提出しました。
座間味浄水場整備計画に関する要望書(PDF/183KB)

 


30日自然第55号
2018年11月30日

 

沖縄県議会議長 新里 米吉 殿

 

座間味浄水場整備計画に関する要望書

 

公益財団法人 日本自然保護協会
理事長  亀山 章

 

私たちは沖縄の生物多様性豊かな自然環境の保全に長期にわたり取り組んでおり、その立場から座間味島阿真地区に建設が予定されている浄水場整備計画について、自然環境への影響を懸念し、以下のように意見を述べ、要望いたします。

 

8月20日付の沖縄県企業局から届いた公文書開示決定書類(企業建設第409号)では、「環境影響評価法及び沖縄県環境影響評価条例に該当する事業ではないため、環境調査をした公文書は存在しない」と回答をいただきました。この文面の意味するところはでは、2つの可能性が考えられます。ひとつは環境調査を実施していない、もうひとつは実施してはいるものの公文書にしていないことです。いずれにしても環境調査やシミュレーションを実施すべきです。この計画では希少な生物であるウミガメの生息地として知られる阿真ビーチ周辺の水質の劣化や海辺の生物や野鳥への影響などが懸念されます。環境調査と予測を行い、結果を市民に公表すべきです。

コストの面についても問題があると考えられます。浄水場は、エネルギー消費節減やCO2排出削減の点においては、高台に設置して自然流下で家庭などに配水するのが一般的ですが、本件では標高が最も低い場所に建設しています。大量の電力を使い動力でポンプアップする必要が生じる場所に立地させるという、不合理かつ高コストの方法を選択する理由が不明です。コストはすべて住民が水道料金で負うことになるので、住民のための選択になっていないと考えられます。

また、浜辺に近い場所に浄水場を建設することは、津波や高波の影響を受けやすいなど、災害に対して脆弱な位置に立地させることになります。東日本大震災では、三陸海岸に近い浄水場は津波被害を受けて破壊され、廃止に追い込まれたところが多く、一方で高台にある浄水場は復旧が早かったことから学ぶべきであると考えられます。特に急速濾過施設では大量の塩素剤を使用するため、浄水場が被災すれば危険物質が環境中に放出される危険があります。被災しやすい場所への浄水場設置は、自然環境および住民の安全のためにも避けるべきです。

今年10月の県議会で議題になりましたように、座間味浄水場整備計画は座間味村の村民をはじめとする市民との合意形成に問題があると思われます。持続可能な形で地域の自然を守るには市民、特に地域住民の理解を得ることが不可欠です。そのためには、住民が検討してきた浄水場の最適地(ダム下流域案)を含む複数案について環境調査およびシミュレーションを実施することが必要であり、またその際には、調査や計画に携わった専門家の氏名・所属を公開するなど市民の情報へのアクセス権利を担保すべきです。

さらには運用後の水質管理についても、例えば恩納村では沖縄県条例よりも厳しい基準を設け(恩納村環境保全条例、恩納村農業集落排水施設設置および管理に関する条例、恩納村農業集落排水施設設置および管理に関する条例)、サンゴ礁を大切にしながら生活する方法を取っています。座間味村も健全なサンゴ礁生態系を有する場所として導入をご検討いただきたく思います。

 

座間味島に浄水場が必要であることは認識しています。しかしながら地域住民の理解が十分に得られていない計画が進められてしまう状態では、観光等のために持続可能に長期にわたり使っていくべき自然資源そのものが失われてしまうことが考えられます。

座間味島はラムサール条約に登録されるほど貴重な自然を有しています。本年10月21日から29日までアラブ首長国連邦の首都ドバイで開催されたラムサール条約第13回締約国会議では、海草藻場の大切さとウミガメの生息地の保全に関する決議が採択され、世界的にその大切さが再認識され保全に向けて努力することが合意されたばかりです。座間味島は沖縄の大切な財産であることから、浄水場の選定は慎重に行い、ラムサール条約が述べるワイズユース(賢明な利用)を行っていただけるよう願っています。

 

上記のために沖縄県に以下のことを要望いたします。

  1. 浄水場の立地について、環境保全と防災の面から再検討すること
  2. 地元住民が検討してきた浄水場の最適地(ダム下流域案)を含む複数案について環境調査およびシミュレーションを実施すること
  3. 1、2の結果を公表すること
  4. 本計画に関与した専門家の氏名・所属を公表すること
  5. 座間味村の住民と十分な意見交換を行うこと
  6. 運用後の水質等の環境管理についても先進事例の導入を検討すること

以上

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