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2016.11.04

【配布資料】今日からはじめる自然観察「おすすめ モズのはやにえ探し」

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【今日からはじめる自然観察】おすすめ モズのはやにえ探し(PDF/2.03B)
<会報『自然保護』No.554(2016年11・12月号)より転載>
このページは、筆者の方に教育用のコピー配布をご了解いただいております(商用利用不可)。
ダウンロードして、自然観察などでご活用ください。

木の枝に虫が刺さっていたら……、 偶然? いたずら?

いえ、それはモズのはやにえです。はやにえは皆さんの身近にもきっとあるはずです。

寒い冬でも宝探しのように心が弾む、「モズのはやにえ探し」はいかがでしょうか?


モズってどんな生きもの?

コオロギやキリギリスのにぎやかな歌声も止み、色づいた草木の葉が落ち始めるこの季節、近所の公園や河川敷などでモズを見かけませんか? スズメより少し大きく、写真のように先がかぎ状に曲がったくちばし、長い尾羽が特徴の野鳥です。眼の脇のすじ模様は、雄が黒色、雌が褐色です。

涼しい山の上などで夏を過ごしたモズは、秋になると里に下りてきます。そして繁殖が始まる翌春まで縄張りをつくって暮らし、木の上や電柱など高い所に止まって「キュン、キュン、キィーキキキ」と甲高い鳴き声で縄張りを宣言します。これをモズの高鳴きと言います。

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▲モズの雌。スズメ目モズ科。著者の住む兵庫県伊丹市では10月ごろから翌年の5月くらいまで緑地や公園、河川敷などでモズを見ることができる。

高鳴きがよく聞こえる秋から冬にかけて、私はモズのはやにえを求めて河川敷や田んぼのあぜ道を歩き回ります。タカになり損ねたスズメ、小さな猛禽などと呼ばれるモズは、昆虫やムカデ、ミミズなどの無脊椎動物や、トカゲやカエル、ネズミなどの小動物を捕まえて食べています。不思議なのは捕まえた獲物を木の枝先や枯れ草の先に刺して置いておく行動が見られることです。これをモズのはやにえと言います。

モズはなぜこんなことをするのでしょう? 餌の少ない冬場の貯蔵食にするため、捕まえた獲物を木の枝などに固定し少しずつちぎって食べるため、縄張りを誇示するため、捕まえてみたが満腹だったため、好みの獲物ではなかったため、狩りを楽しんでいるだけ?……など、さまざまな理由が考えられていますが、明確な答えは出ていないようで、まだ謎に包まれた不思議な行動です。

 

モズの目線で環境が見えてくる。

少し気の毒な気もしますが、このはやにえの犠牲となった生きものを観察するのが実に楽しいのです。はやにえを見ているとモズの獲物の多様さ、狩りの巧みさに感心します。そして自然界の命のつながりに気づきます。草を食べていたバッタが、バッタを食べていたカマキリが、小さなハンター「モズ」の餌になっています。

種名を特定できるほど完全な形で刺さっているものや、まだ生きて動いているものもあります。頭部や腹部など体の一部がわずかに残ったものから生きものの種類を想像したりもします。地中や地表、草木に暮らす生きものはもちろん、トンボのヤゴやエビの仲間、魚やカエルなど水辺の生きものなどちょっと珍しいはやにえを見つけた時には胸が高鳴ります。

なじみのフィールドはもちろん、冬場に訪れた初めてのフィールドでも、はやにえからその場所の生物相の一端を知ることができます。
<↓ 画像をクリックすると大きくなります>

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野本 康太 (伊丹市昆虫館学芸員/NACS-J 自然観察指導員兵庫連絡会)


クイズの答え:ほかの鳥の鳴きまねがうまいから。繁殖期の雄が雌の気を引くため、ダンスや歌を披露する。この歌の中にほかの鳥の鳴き声を挿入することがあるそうで、ウグイスやヒバリ、ホオジロなど20数種類の鳴きまねが確認されている。

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