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生物多様性条約への取り組み

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2014.01.24

名古屋議定書に係る国内措置のあり方検討会報告書(案)に関する意見を出しました。

ABS(Access and Benefit-Sharing)は生物多様性条約の3つの目的のうちのひとつで、遺伝資源の利用から生じる利益を公正かつ衡平に配分するというもの。ABSは遺伝資源の取得の機会を与える手続きと、取得した遺伝資源の利用から生じた利益を利用者と提供国間で公平に分かち合うことを目指しています。ABSが議論され始めた背景には、(1)生物資源の海賊行為が行われ、先進国の国々が巨大な利益を得ている状況に歯止めをかけるため、(2)遺伝資源を保全管理する人に対する生物多様性保全へのインセンティブを与えるため、などがあります。このABSに関し、2010年10月29日に愛知県名古屋市の名古屋国際会議場で開催された第10回締約国会議(COP10)にて採択された生物多様性条約の議定書が名古屋議定書です。批准国は議定書発効に必要な50カ国の半分に到達したが、議長国だった日本では、2012年9月より環境省が可能な限り早期に議定書を締結することを目指し、議定書の国内実施に必要な措置の検討会を開催し、2014年1月24日までその報告書案に対する国民からの意見を求めていた。


名古屋議定書に係る国内措置のあり方検討会報告書(案)に関する意見(129KB)


 
名古屋議定書に係る国内措置のあり方検討会報告書(案)に関する意見
 
公益財団法人 日本自然保護協会
 
 
[意見]
<Ⅰ.名古屋議定書について>
P2L11
意見:報告書に、名古屋議定書の意義という項目を加え、名古屋議定書第9条の重要性を指摘する文章を入れるべきである。
ABSは、遺伝資源の適正利用を推進し、生物多様性が豊かな状態で残されている特に途上国における生物多様性の保全や持続可能な利用の推進の動機づけを図るための国際義務の実施を担保する措置であり、このしくみを日本政府として合意しているという基本原則の確認が必要である。
理由:報告書には、ABSという仕組みが生物多様性条約になぜ組み込まれたか先進国と途上国間で合意されたことの意義が説明されていない。
名古屋議定書は、ABSという国際義務の実施を担保するための措置であるので、そもそものABSという制度の持つ意義(公益)をきちんと説明するべきである。そうでなければ、単に規制はいやだ、技術革新を阻害するから駄目だというような、1992年に既に決着のついている議論を蒸し返すことになる。
ABSという仕組みを公益の観点から日本国政府として合意したという前提にたって、利用国が果たすべき義務を果たしつつ、遺伝資源を活用した技術革新をすすめるにはどうするかというのが、健全な議論といえる。
ABSという規定の成立の背景は、「A guide to the Convention on Biological Diversity IUCN, Environmental Policy and Law paper No 30」に詳しい。
 
<<遺伝資源の利用国として>>
<チェックポイントの役割>
p17L36
意見:チェックポイントに、PICの取得、MATの設定の確認だけではなく、ABSに関する全体的な動向を把握する機能をもたせるべきという意見を支持する。
理由:一定期間経過後に国内措置の運用状況をふまえて、遵守措置のあり方を再検討する必要があるからである。
 
P18L17
意見:チェックポイントに、PICの取得、MATの設定の確認だけではなく、MATの内容や利益配分の実施に関する情報を収集する機能を持たせるべきという意見を支持する。
理由:一定期間経過後に国内措置の運用状況をふまえて、遵守措置のあり方を再検討する必要がある。
 
P21L21
意見:チェックポイントに、MATの内容の情報をもとにして、利益配分の優良事例を把握する機能を持たせるべきという意見を支持する。
理由:議定書の目的は、遺伝資源から生じる利益を公正衡平に配分することにより、生物多様性の保全と持続可能な利用に貢献することであるからである
 
<<遺伝資源の提供国として>>
<国内PIC制度のあり方>
P24L35
意見:自然保護制度の改正等により国内PIC制度を検討すべき、日本国内の遺伝子資源の持続的利用から生ずる利益を日本の生物多様性保全に充てるという意見を支持する。
理由:遺伝資源の持続的な利用から生ずる利益配分を通じて、途上国の保護地域制度の発展に寄与するという発想がABS制度の出発点であるからである。
 
<<国内措置の今後の検討のあり方>>
P28L7
意見:議定書の国内措置の今後の検討にあたっては、政府、学術界、産業界のみならず、生物多様性の利益を代弁するNGOと伝統的知識を有する先住民の利益を代弁するNGOの参画により議論をすすめるべきであるという意見を支持する。
 
 
以上
 

■参考:環境省報道発表資料(外部サイト)

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