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2013.06.25

オオタカの国内希少野生動植物種(種の保存法)からの指定解除の検討に関する意見を提出しました。


【オオタカの国内希少野生動植物種(種の保存法)からの指定解除の検討に関する意見】
環境省自然環境局野生生物課 御中
公益財団法人 日本自然保護協会
理事長 亀山 章
【意見】
日本自然保護協会は、以下に示す理由により、現状でのオオタカの国内希少野生動植物からの指定解除には、反対である。
【理由1】「指定種解除の基準」を先に明確化した後で、個々の種の指定解除を実行する必要がある。
環境省は、2013年6月の衆議院環境委員会における種の保存法改正に関する質疑の中で、2030年までに600種を新規に政令指定種にする目標を表明した。今後、600種の指定手続き、指定後の保全活動の検討や、指定解除を検討すべき種が増え、そのための業務が大幅に増大することが予想される。指定解除を効率的かつ効果的に実施するために指定解除の基準を明確にする必要がある。また、3,597種の絶滅危惧種が存在する中で、政令指定種は現状では90種しかなく、2030年後の目標としている600種新規指定した場合でも、保全措置が行き届かない種が多数残される状況は変わらない。
2030年までに600種の新規指定に向けた業務を効率的かつ効果的に進めるための、指定の優先順位の考え方、指定解除の基準、指定後の保全活動の体制構築など、より優先度が高い、絶滅のおそれのある野生生物種の保全戦略の策定などの重要課題があり、これらを丁寧かつ確実に進めることを優先すべきである。
【理由2】指定解除のための科学的根拠が不足している。
環境省では、指定解除の検討を行う理由として、
①オオタカはこれまで、種の保存法国内希少野生動植物種の指定、開発行為に対する保全策を示した「猛禽類保護の進め方」の策定、また地域の団体等の継続的な取り組みなど、様々な主体によって保全が進められてきた。
②平成17年に環境省が公表した「オオタカ保護指針策定調査」において、全国のオオタカの繁殖個体数は少なくとも1,824~2,240羽であると推計された。
③平成18年の第3次レッドリストでは初めて絶滅危惧種から外れ(絶滅危惧II類から準絶滅危惧にランクダウン)、平成24年の第4次レッドリストにおいても絶滅危惧種に選定されなかった(第3次同様、準絶滅危惧に選定)。
④最新の調査では関東地方とその周辺に5,818羽(95%信頼限界:3,398~10,392)が生息するとされた。
の4点を挙げている。
準絶滅危惧の定義では、「現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」として上位ランクに移行する要素を有するもの」とされており、存続基盤が脆弱な種として位置づけられている。
特に、オオタカの生息環境は、人為による改変の危険にさらされやすい、平地から低山の森林や河川敷や市街地の緑地を利用しているため、その生息環境の存続は保証されていない。また、オオタカは剥製や飼育目的の密猟の対象とされるため、捕獲・流通規制を解除した際には、再び絶滅の危機に移行することも十分に想定できる。
また、推定生息数については、参考資料「オオタカの概要」に示された推定個体数の調査の精度や調査範囲などが異なっており、個体数が増加したという明確な証拠は示されていない。
【理由3】指定解除が及ぼす負の影響を考慮するべきである。
オオタカはこれまで種の保存法による指定と、それに伴う「猛禽類保護の進め方」の策定によって、開発行為にともなう環境影響評価の手続きでは、希少性の評価種として取り上げられてきた。このことで、手厚く保護対策が取られてきた側面があり、オオタカが種の保存法の指定種になったことで、生態系の上位種という概念や、生息環境保全という考え方が、開発行為の中に浸透した効果は大きい。こうした役割の大きさを考慮した場合、指定が解除され、希少性での評価種として取り上げられることがなくなることでの負の影響が懸念される。本来、平地から低山にかけての生態系の頂点に立つオオタカは、その生態系の健全性を示す象徴種である。環境省として、新たに環境影響評価の技術指針を再編し、オオタカの位置づけのしなおしをすることが先決であり、それがない状況での指定解除はするべきではない。
以上

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