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2009.05.01

「自然かんさつからはじまる自然保護」 アマチュア、ボランティアを 大事にしてきた理由

3月21~22日、NACS-J自然観察指導員養成事業30周年を記念した「第8回自然観察指導員全国大会」を東京大学弥生講堂で開催しました。このうち、元NACS-J普及委員会委員長の浜口哲一さんによる基調講演をレポートします。

2009年5/6月号より転載


なぜ「資格」ではなく、「登録」型なのか

090501自然観察会イメージ30年前、自然観察指導員の枠組みを考える際、「資格」型と「登録」型の2つの選択肢がありました。資格を支持する意見としては、単なる登録で受講者のモチベーションが得られるか、ある基準で認定しないと指導員の質が確保できないのではないか、将来的に観察会の指導を生業とする人が出てきたときに役立つのではないか、という考えがありました。しかし、実際には、指導員はあくまで自主的なボランティアで活動するのが基本で、連絡や交流、情報交換のために登録する、という形で発足しました。

登録型になった大きな理由は、自然観察は「いつでも、どこでも、だれとでも」というように、誰もが自由に楽しめるものであるべきで、資格という考え方になじまないということがありました。自然観察の指導のノウハウについても、特定の資格を持った人やグループが独占するとか、その使用を排他的に制限するのではなく、誰かが良い指導法を思いついたとすれば、それをみんながさまざまな場で使わせてもらうという形が望ましいということもありました。

時代の変化の中で高まる指導員の役割

この30年間の自然保護に関する社会の変化をみてみると、まず、ひとつには市民参加の機会が格段に増えました。30年前の自然保護運動は、ほとんどが少数派の異議申し立てという形で、ゲリラ的に活動を展開するしかない時代でした。それが現在では、開発計画などで何か問題があると委員会や検討会がつくられ、市民団体の代表もその席に就くことができるケースが多くなってきました。もちろん、委員会などへの参加が、本当の参画になっているかの評価は難しいところがありますが、市民側に十分な情報とそれを活かすパワーがあれば、さまざまな事業について、計画段階で再検討を促すことも不可能ではない時代になってきたと思います。

それから、どんな自然が重要かという物差しも少し変わってきていると思います。30年前は、学術的に貴重な自然というのは、基本的に人手の加わっていない原生的な自然ということでした。ところが、絶滅が危惧される種の中には里地里山で暮らしている種が多く含まれていること、さまざまな理由によって生物多様性の観点からみても里やまや水田の重要性が高いことが明らかになり、里地里山の保全ということが学術的な立場からも主張されるようになりました。

こうした時代の変化の中で、自然観察会の意義や、自然観察指導員の果たすべき役割はますます高まってきているのではないかと感じています。かつての観察会は、ある主張を持った団体が主催するのが普通のことでした。しかし、現在では学校現場のほか、公園などの公共施設などでも自然観察会リーダーの要請が増えています。緑地などをフィールドに活動している団体では、観察会を通じて、緑地の自然への関心を高め、維持管理活動への参加を促すという作戦を進めている場合が少なくありません。職業として自然解説やガイドをしている人も増えてきています。つまり、自然観察会的な活動は、一層多様化しており、それにかかわるボランティアを、公的機関も市民団体も求めているのです。

090501浜口哲一さん<浜口哲一さんのプロフィール>
元平塚市博物館館長。1977~92年、NACS-J普及委員会の委員を務める。78年の第1回自然観察指導員講習会から92年の第176回まで計28回、講師も務める。

(*大会当日、浜口さんは急遽欠席され、講習会講師・足立高行さんが講演原稿を代読されました。)

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