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「辺野古沖縮小案」に対して 意見書を提出しました

2005.10.04
要望・声明

【ご参考】米国政府に対しても同様の内容の要請を行いました。

ライス国務長官宛て(PDF/10KB)
ラムズフェルド国防長官宛て(PDF/10KB)
グリーン国家安全保障会議部長宛て(PDF/10KB)
英語版地図(PDF/185KB)

 


17日自然第80号
2005(平成17)年10月4日

外務大臣  町村 信孝 殿
防衛庁長官 大野 功統 殿

財団法人 日本自然保護協会
理事長 田畑 貞寿

 

普天間飛行場代替施設建設事業に関する『辺野古沖縮小案』に対する意見書

普天間飛行場代替施設建設事業に関し、現行の辺野古沖案の規模を縮小する『辺野古沖縮小案』が移設先候補地の1つとして報道されている。

当協会は、2002年7月から市民参加による海草藻場調査「ジャングサウォッチ」を実施し、辺野古海域に良好な海草藻場が分布していることを明らかにしてきた。

『辺野古沖縮小案』をこれまでの当協会や政府機関の調査結果等と照合したところ、下記のような自然環境上重大な問題点が見出され、『辺野古沖縮小案』に縮小されても、埋め立てによって生じる自然環境上の問題は何も解決されない。また、潮流の変化や騒音の影響等を考慮すれば問題はさらに膨らむと予想される。

また、第3回世界自然保護会議(2004年バンコク)の勧告にもかかわらず、ジュゴン保護区の設置や保全に関する行動計画を作成せず、辺野古地域のみを移設先候補地として協議を行っていることは大変遺憾である。

以上のような理由により、当協会は、外務大臣、防衛庁長官に対し、『辺野古沖縮小案』を普天間飛行場代替施設建設事業に関する飛行場移設先候補地に含めないよう求める。

 

問題点1.『辺野古沖縮小案』では良好な海草藻場が埋め立てられ、サンゴ礁生態系に重大な影響を与える。

当協会のジャングサウォッチの辺野古海域の海草藻場調査地点(合計約70地点)を『辺野古沖縮小案』予定地に重ねると、15地点が何らかの影響を受けることが推測され、計3回の調査の中で毎回海草被度が0%、あるいは付近にも海草藻場の分布が確認できなかった地点は、このうちわずかに1地点しかない。

また調査海域において記録される7種の海草のうち5種(ウミヒルモ、リュウキュウスガモ、リュウキュウアマモ、ウミジグサ、マツバウミジグサ)が記録された地点も含まれ、予定地には良好な海草が分布しているといえる。また、移設先を浅瀬に移動すればサンゴ礁への影響が少なくなるという論理は誤りである。

サンゴ礁生態系は、礁斜面、礁嶺、礁池内のサンゴ礁群集・海草藻場、干潟等の構成要素が一体となって形成されており、海草藻場は稚魚の成長の場等としてサンゴ礁生態系の維持に寄与している。浅瀬の海草藻場を埋め立てれば、ジュゴンやウミガメの餌場が失われるばかりでなく、サンゴ礁生態系全体に重大な影響を与える。

問題点2.『辺野古沖縮小案』予定地はジュゴンが利用しているエリアに重なり、ジュゴンの生息に重大な影響を与える。

ジュゴンの痕跡に関するこれまでの那覇防衛施設局、環境省、当協会の調査結果から、辺野古漁港航路付近はジュゴンの利用頻度が高いと推測される。前述の調査結果と『辺野古沖縮小案』予定地を重ねるとジュゴンの痕跡3地点(食跡1地点と糞2地点)が重なり、また、ほか6地点の食跡も予定地の近くで観察されている。

さらに、ジュゴンはサンゴ礁礁池に出入りする際に”クチ”を利用しているが、『辺野古沖縮小案』では、その”クチ”が4ヶ所塞がれてしまうことが予想される。その中には、辺野古漁港航路につながるマナヌグチも含まれ、この案では、ジュゴンが餌場である辺野古サンゴ礁礁池にアプローチする際に悪影響を及ぼす可能性が高い。

以上

【添付資料】
図1:辺野古海域における『辺野古沖縮小案』と海草全体の分布(2004年10月)、ジュゴンの痕跡確認位置

051004辺野古縮小案と海草分布

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