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2003.05.01

「MIKUNIプロジェクト(仮称)」が始動します! 群馬県・三国山地/利根川上流・赤谷川

NACS-Jは2003年度から、新規の総合プロジェクトのひとつとして「MIKUNI(みくに)プロジェクト」(仮称 )を開始します。

NACS-Jでは、この流域に計画されたダムとリゾート建設に対する自然保護活動を、皆さんからの自然保護寄付を活用して'90年から12年間にわたって行ない、地域で繁殖するイヌワシとクマタカの生態調査結果から生態系としての保全を訴えてきました。

その結果、どちらの計画も見直しとなり、今の自然が維持されることになりました。活動によって確保された自然をきちんと保全し、さらに本来の自然性を地域の人々とともに取り戻そうというのが、プロジェクトの目的のひとつです。

会報『自然保護』No.473(2003年5/6月号)より転載


この谷の自然をよく知り、今ある自然を確実に守りたい

この地域は、ほぼ全域が国有林で上信越高原国立公園の一部、渓流を清冽な水が流れることから、村の重要な水源にもなっています。開発計画が見直された後、
林野庁は、ツキノワグマ・イヌワシ・クマタカなどの生息環境となっている山脈沿いの森林を「緑の回廊」に指定しました。また群馬県庁は、猛禽類繁殖地周辺
を含むよう、鳥獣保護区を拡大し、当面の保全策がとられています。しかし、かつて山々を覆い、谷を守っていたブナの森は、中ほどまでが昭和30年代初めに
伐採されています。谷にすむイヌワシの繁殖率が高くないことも、本来はこの地域がもっと良い自然であったことを裏づけています。

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この赤谷川の自然を科学的な方法でより深く知り、適切な保全と回復のための計画を立てたい、NACS-Jはそう考えてきました。その構想に対し、今年、地域
社会と林野庁関東森林管理局が呼応し、プロジェクトを3つのセクターでともにつくり、すすめていくことに合意しました。谷は、奥に行くほど原生度が少しず
つ高まっていき、森林生態系と河川生態系の生態学的な保全をベースとする計画地域は、6000ha以上の広大な範囲におよびます。

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プログラムの概要

プロジェクトは、研究系、保護系、環境教育系と社会系プログラムで構成し、まず5年間のプログラムを企画します。NACS-Jから提案するプログラムは次のような目標を持っています。

(1)研究系プログラム
地域のナチュラリストや全国規模の調査研究グループと協力し、インターンシップ制度での人材確保もすすめ、この谷の自然を調べて、保全に必要な科学的根拠
を蓄積します。継続してきた猛禽類調査は、計画的なモニタリングの一部として再構築します。関係する多くの機関との連携や、研究者と会員・指導員の方々が
パートナーになって自然を調べるアースウオッチ方式の活動も計画中。多くの方々の協力を仰ぎます。


(2)保護系プログラム
自然本来の複雑さ、多様性をゆっくり取り戻すには何をしていけばよいか、保全のためのあらゆる制度を駆使した「21世紀型保全モデル」を考えます。計画が
できたならば、「緑の回廊」の拡大や保護林の設定、人工林の自然林への復元も提案していきます。

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(3)環境教育系プログラム
保護地域の非消耗型の活用は、全国で試行錯誤が続いています。適切なゾーニングをした上で、ハードウエアに頼らないローインパクトで高品質な環境教育の実践
モデルをつくります。環境管理を伴ったそのための場づくりは、会員の方々や非会員の方も誘っていただけるフィールドワークと、ブナの森で生まれた知恵を
知っていただく機会になります。ここで開催する自然観察指導員講習会や研修会も企画し、教材化を図ります。NACS-Jの環境教育のホームグラウンドを目ざします。


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(4)社会系プログラム
かつての開発抵抗型の活動形態は、持続的な地域環境づくりの形態に明確に移行します。この自然保護活動の段階を変化させていく過程を記録し、プロジェクトそ
のものを研究対象にして、「パートナーシップのモデル」をつくります。その中では、会員の方々のこのプロジェクトへの参加プログラムも用意します。谷の入
り口の宿泊施設・川古温泉・浜屋旅館や村内の湯宿温泉・金田屋旅館(NACS-Jネイチャーイン)、法師温泉・長寿館はこのプロジェクトの拠点となり、自然と地域に関心を持つ人たちとの交流にご協力いただけます。

谷の入り口まで、上越新幹線を利用するとNACS-J事務局からちょうど2時間。NACS-Jの50年間の経験を、この谷に結実させてみたいと思います。

(横山隆一/常務理事・総合プロジェクト担当)

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