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白保サンゴ礁海域保全・石垣空港問題

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2002.03.24

「まず『白保サンゴ礁生態系』の国立公園および海中公園地区への編入を実施すべき」

新石垣空港建設と白保サンゴ礁生態系保全についての意見書提出


 

平成12年3月24日

沖縄県知事 稲嶺 恵一 殿
環境庁長官 清水 嘉与子 殿

財団法人 日本自然保護協会
会 長 沼 田 眞

 (財)日本自然保護協会は、沖縄県・新石垣空港建設計画について、白保サンゴ礁上での新空港建設案が顕在化した1985年から、健全な状態にある一連の「白保サンゴ礁生態系」(注1)を、八重山地域の、そして日本および世界の財産として次世代以降に継承すべきとの立場から、この問題に注目し活動してきま
した。

当協会は、将来にわたる八重山の人々の豊かな暮らしを保証するためにも、この海域の生態系の保全は不可欠と考えるものです。

1989年、沖縄県より「カラ岳東」案が提示された時点では、候補地とされた海域の緊急調査を行い、この地域のサンゴ礁生態系の評価を行った上で、同案の多くの問題点を指摘し、これに反対する意志表示を行いました。

1991年には、それ以前に発表した意見書、調査報告等を「石垣島白保サンゴ礁生態系調査報告書ー新石垣空港建設がサンゴ礁生態系に与える影響」(NACS-J)として発表し、安易な開発に対して警告しました。

1999年8月からの「新石垣空港建設位置選定委員会」(以下、選定委員会とする)の発足後も、昨年11月4日に、沖縄県土木建築部新石垣室長に「カラ岳東」案について自然環境保全上の危惧を再表明し、本年2月14日には、選定委員会委員長に対し、他の3案を含む4候補地について検討し、自然環境保全上の課題を指摘するとともに、特に「カラ岳陸上」「カラ岳東」「富崎野」の各案は課題が非常に多いことを指摘してきました。

そのような中、去る3月11日の選定委員会では、4候補地の中から「カラ岳陸上」案が選択されました。

その結果に対して、当協会は以下のように考えます。

(1) 「白保サンゴ礁生態系」にきわめて至近の距離で隣接する「カラ岳陸上」案が選定されたが、この地域への建設が現実のものとなれば、白保サンゴ礁生態系に対する大きな脅威であることは疑いない。この問題は重大であるが、これへの対策が対処療法に終わるのであれば、この生態系の保全は図れない。この生態系は、一体性を損なうことなく、本来の生物生産性を維持する形で保全しなければならない。

(2) その一方、サンゴ礁を埋め立てる「カラ岳東案」が、自然環境保全上の理由ではずされたことは、評価される。「白保サンゴ礁生態系」を保全する必要性は、選定委員会の共通理解となったものと考える。

(3) 上記の(1)と(2)を踏まえるならば、まず守るべき対象を明確にするという意味から、「カラ岳陸上」案での空港建設にともなう環境影響評価作業に先行して、「白保サンゴ礁生態系」の国立公園および海中公園地区への編入を実施すべきと考える。

(4) さらに、現行の国立公園制度および海中公園制度を補完する意味で、「一連の白保サンゴ礁生態系」に隣接する陸域の乱開発防止対策と赤土流出防止対策の強化、および海域利用のルールづくりの促進が行われるべきであろう。

(5) そして、今後の環境影響評価は、国立公園および海中公園としての「一連の白保サンゴ礁生態系」を保護するという視点から、厳正に行われるべきであり、か
つ、評価作業の過程で、自然環境保全上の重大な問題が明らかになった場合には、再度現空港の拡張も含めた代替案の検討を行う必要がある。

以上のことから、

環境庁長官には、(1)「白保サンゴ礁生態系」の国立公園への編入および海中公園地区の指定、および、(2)それらを新石垣空港建設およびそれに伴う環境影響評価作業に先行するよう、沖縄県に対し指導・助言することを要望する。

また、沖縄県知事には、(1)「白保サンゴ礁生態系」の国立公園への編入および海中公園地区の指定への積極的な提案、(2)それを先行させた上での厳正な環境影響評価作業とその
結果に対する適正な判断、さらに、(3)「白保サンゴ礁生態系」に隣接する陸域の乱開発防止対策と赤土流出防止対策の強化および当該海域の利用のルールづくりの促進を、ここに強く要望する。

注1:白保サンゴ礁生態系として、狭義には下図の区域1および区域2、広義には通路川から宮良川までと考えられる。

図 白保サンゴ礁生態系模式図(無断転載禁止)
空港計画については、1989年時点のもの

出典:石垣島白保サンゴ礁生態系調査報告書
「新石垣空港建設がサンゴ礁生態系に与える影響」
(日本自然保護協会/1991年 / 本体価格1,900円)

白保周辺のサンゴの分布を綿密に調査し、空港建設事業がこの地域のサンゴに与える影響を初めて明らかにした資料集。今回も候補地に上がっていた「カラ岳東」に空港が作られた場合の自然環境への影響も、明確に示されています。

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