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自然環境行政・環境基本計画への提言

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1990.07.12

世界遺産条約の早期批准に関する意見書を提出

世界遺産条約の早期批准に関する意見書(1990年7月12日)


平成2年7月12日

世界遺産条約の早期批准に関する意見書

内閣総理大臣 海部 俊樹 殿
外務大臣   中山 太郎 殿
文部大臣   保利 耕輔 殿
環境庁長官  北川 石松 殿
文化庁長官  川村 恒明 殿
林野庁長官  甕  滋  殿

財団法人 日本自然保護協会
会長 沼田 眞

「世界の文化辿産及び自然遺産の保談に関する条約(以下世界遺産条約)」は、 1972年11月に開催された第17回ユネスコ総会において採択され、現在すでに112カ国が批准しておりますが、 残念ながらわが国はまだ批准に至っておりません。

しかしながら、近年の地球環境の保護に対する世界的な関心の高まりの中で、世界の文化遺産及び自然遺産を保護するための国際協力を目的とした世界遺産条約の重要性は、ますます高まっております。

一例を上げれば、世界遺産条約の加盟国のうち21カ国で構成される世界遺産委員会において技術顧問の役割を担う国際自然保護連合(IUCN)は、1992年にブラジルにおいて開催される国連環境開発会議を目標に、生物学的多様性の保護を目的とした国際的な保護区のネットワーク作りを推進していますが、この計画の中で世界遺産条約は重要な役割を果たしています。

また、加盟国が拠出する世界遺産基金は、開発途上国における文化遺産及び自然遺産の保護に大きく貢献しており、わが国の地球規模の環境問題への貢献が期待される現在、国内における文化遺産・自然遺産の保護のためにも、 世界遺産の保護に対する国際協力のためにも、 早急に世界遺産条約を批准することが必要です。

このような状況に鑑み、貴職におかれましても世界遺産条約の早期批准と国内候補地の選定に早急に取り組んでいただきたく、 下記のとおり当協会の意見を付けて強く要望いたします。

 

<世界遺産条約早期批准に関する財団法人日本自然保護協会の意見>

1、環境問題に関するわが国の貢献が強く期待されている現状に鑑み、 世界遺産条約の批准を早急に行うべきである。

 

2、国内の世界遺産候補選定にあたっては、環境庁、 文化庁、林野庁など関係官庁が既存の制度にとらわれず、 世界遺産としてふさわしい候補地を検討するとともに、 民間の自然保護団体、文化財保護団体等を含めた検討機関を設置し候補地を選定すべきである。

 

3、上記の候補地には、①「白神山地のブナ原生林」と、②西表島の原生林、石垣島のサンゴ礁、沖縄本島北部のヤンバルの原生林などを含む「南西諸島の特異な生物相およびその生息地」が含まれるべきである。

 

4、条約批准の後、 世界遺産基金に対し、 我が国は条約に定められた分担金を拠出をする外、相応の任意拠出金を出資するとともに、開発途上国の世界遺産の保護に対する技術的な援助を強化すべきである。

 

5、 既存の国内法では不備な点が多々生じるため、将来的には、国内の文化遺産および自然遺産の保護と、海外の世界遺産の保護に対する国際協力を目的とした新法を制定し、世界遺産条約の趣旨が確実に達成されるようにすべきである。

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