日本自然保護協会は、生物多様性を守る自然保護NGOです。

AKAYAプロジェクト

森林生態系の管理モデルをつくりひろげる。

群馬県みなかみ町新治地区(旧新治村)北部に広がる約1万ヘクタールの国有林「赤谷の森」を、地元住民で組織する「赤谷プロジェクト地域協議会」、林野庁関東森林管理局、日本自然保護協会が協定を結んで、生物多様性の復元と持続的な地域社会づくりをめざす、協働プロジェクトです。
1990年代前半、ここには大規模なダムとスキー場の計画がありました。代々大切にしてきた水源の森を失うわけにはいかないと考えた方たちが立ち上がり、保護活動が始まりました。吹雪の中のイヌワシやクマタカの調査、関係者とのたびかさなる交渉など10年以上の年月をかけて、計画は白紙に戻りました。そして、以前は森をめぐって「対立」の構図でとらえられていた村人・国有林管理者・自然保護NGOが、開発計画がなくなった白紙の森に、新たな夢を描く作業を始めました。
AKAYAプロジェクトの正式名称は、「三国山地/赤谷川・生物多様性復元計画(AKAYAプロジェクト)」といいます。2003年11月21日に正式発足しました。NACS-Jでは、このプロジェクトのサポーターを募集しています。ご助力いただける個人・団体のみなさま、お気軽にお問い合せください。詳しくは、上記の「専用サイト」からサポーターのページをご覧ください。

赤谷プロジェクト専用サイト

http://www.nacsj.or.jp/akaya/

■関連サイト 林野庁関東森林管理局「赤谷森林ふれあい推進センター」

この活動に興味がわいたら
AKAYAプロジェクトから森の生物多様性を紹介する冊子・『赤谷ノート』が完成しました。赤谷の森で活動するAKAYAサポーターさんたちが撮影した美しい生きものや森の写真やイラストと、子どもたちにも分かりやすい文章で、森の生態系のしくみと大切さを伝えようと作成されました。1冊1,000円(+送料)で頒布していますので、保護プロジェクト部 赤谷担当まで「赤谷ノート希望;お名前、ご住所、電話・FAX番号、Eメールなどご連絡先、必要部数」をご連絡ください。FAX:03-3553-0139
>>参考記事はこちら

 


プロジェクト5年間の取り組み 赤谷型協働管理のしくみを全国へ波及させたい。

■さまざまな立場のグループの協働モデルをつくる

このプロジェクトは、関東森林管理局、地域協議会、NACS-Jを中核団体として、これまでなかった協働の枠組みで国有林の管理を行っています。協働のポイントは、それぞれが抱える課題や希望を会議の場へ持ち寄り、それらをできるだけ重ね、プロジェクトの共通課題として優先順位をつけ整理することです。このような調整を行うファシリテーション機能を、NACS-Jはより強化していきたいと考えています。

■森と渓流の生物多様性の保全・修復モデルをつくる

科学的根拠に基づく生物多様性の保全や修復を進めるために、多分野の専門家からなる「モニタリング会議」と、テーマ別の検討チームを編成しています。

・植生管理ワーキンググループ(以下WG)・・・・・・目標となる自然林の調査と、人工林を自然林に誘導するための伐採に取り組んでいます。

・猛禽類WG・・・・・・森の健全さを示すイヌワシ・クマタカの分布と、それぞれが獲物を得る狩場と子育てをする営巣環境に関する情報を重点的に集めています。

・ほ乳類WG・・・・・・森のほ乳類相とホンドテン・ニホンザルを対象とした食性・行動調査を行っています。

これにより、本来の自然性にふさわしい森林植生を取り戻すための指標開発を進めています。また、治山事業を活用して、治山ダムの撤去を通じた渓流環境修復にも取り組みます。

・カラマツ伐採前

 

 

 

 

 

 

・カラマツ伐採後1年目

 

 

 

 

 

 

・カラマツ伐採後2年目

 

 

 

 

 

■赤谷での企業のCSR活動リスト

・株式会社ニコン
リアルネイチャーキャンプの協賛(2003年~2006年)
自社製品(望遠鏡・双眼鏡・カメラ・顕微鏡など)の提供による調査研究活動支援(2005年~現在まで)

・株式会社千趣会
総合事務局活動やワーキンググループ活動の支援
(2006年~現在まで)

・アクセンチュア株式会社
旧三国街道フットパス網計画の活動費助成
(2007年~2008年)

・富士ゼロックスシステムサービス株式会社
パンフレット、ウェブサイト制作の一部支援
(2004年~2006年)

・宝酒造株式会社、共同印刷株式会社、株式会社モンベル
リアルネイチャーキャンプの協賛(2004年~2006年)

(保護プロジェクト部 茅野恒秀)

毎月第1土・日曜日はAKAYAの日。 森の玄関「いきもの村」にお出かけください。

会報『自然保護』No.483(2005年1/2月号)より転載


また、晩秋の群馬県三国山地のAKAYAの森では、拠点構築作業も進んでいます。エリアの主稜線が一望できる展望ポイントのそばにある、過去の苗畑事業所が放置されていたものを修復し、「いきもの村」という拠点にしました。

約7haのいきもの村は、コナラの雑木林、スギの人工林、ススキ草地と複数の小屋で構成されています。サポーターの皆さんの手によって、旧作業道は自然観察路に、小屋は研修施設に、ガレージは調査サンプルの集積・分析施設などに、それぞれ生まれ変わりました。

センサーカメラなどを利用して、ここで観察できる生物の把握を進め、いきもの村の多くの自然要素を教育素材としてプログラム化することも始まります。また森林利用技術の伝承など、目的に合わせてエリアに分け、保全計画に基づいた環境管理の実践・実習の場とします。

この活動の担い手は、プロジェクト・サポーターや自然観察指導員・会員の皆さんです。いきもの村は、自然観察指導員としてのスキルアップに絶好の場。毎月1回の共同作業日、「AKAYAの日」に加わりませんか。

 


成果を国有林の管理計画へ

「赤谷の森」の国有林の管理計画が、2011年3月に改訂されます(5年に1度)。この計画で、森林をどう管理するかを定めます。プロジェクトではこの機会に、生物多様性保全にプラスの効果を生む人工林の伐採方法を管理計画に組み込むため、09年度から準備に取りかかります。多岐にわたる調査はこの計画策定と実行のために行ってきたものです。

林野庁は、08年12月、国土面積の約2割にあたる国有林野全域の「管理経営基本計画」を5年ぶりに改訂しました。新しい計画には、基本方針のひとつに「生物多様性の保全」が盛り込まれましたが、赤谷の森で定められる管理計画はその具体的な進め方を明確に示した、今後のモデルとなる計画にしたいと考えます。

NACS-Jは今後、AKAYAプロジェクト型の取り組みの方法論を全国各地の生物多様性保全のフィールドへ広げていきます。AKAYAプロジェクトの活動は、NACS-J会員・自然観察指導員を中心とするサポーターの方々、企業の社会貢献活動に基づく支援をいただき、市民・社会に開かれた形で進めています。プロジェクトの輪を広げるために、ご協力ください。

(保護プロジェクト部 茅野恒秀)

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