日本自然保護協会は、生物多様性を守る自然保護NGOです。

旧事務局日誌

Home 旧事務局日誌 リアルタイム日誌 八丈島の甌穴(ポットホール)群が町の天然記念物に指定されました。

リアルタイム日誌 ニュース&トピックス 一覧に戻る

2016.09.09

八丈島の甌穴(ポットホール)群が町の天然記念物に指定されました。


icon_tsujimura.jpg
保護室の辻村です。
 
嬉しいお知らせが届きました。八丈島の教育委員会から、八丈町こん沢林道甌穴群(おうけつぐん)が八丈町の天然記念物に指定されたと正式な文書でご報告を頂きました。
 
日本自然保護協会は昨年、八丈町教育委員会から八丈島の末吉地区にある甌穴群を天然記念物に指定したいので学術的価値をどのように証明したらいいのか教えてほしいとの相談を受けました。資料を見て、なぜある場所にだけ集中的に甌穴ができているのだろうか?本当に発見されたところにしか無いのだろうか?集中しているところとしていないところの違いは何だろうか?など、好奇心をかきたてられました。また、天然記念物制度は法律に基づく制度では日本で最も歴史のある自然保護制度です。NACS-Jでは、地域の自然資源を守る制度利用の観点でも貢献できそうだと考え、この調査にかかわることにしました。
 
学術調査は、NACS-J評議員で、ジオパークの専門家でもある地理学者の小泉武栄東京学芸大学名誉教授に依頼をし、昨年(2015年)の秋、八丈島教育委員会の林薫氏、吉田太朗氏の同行のもと現地調査を実施しました。
 
調査の結果、八丈島の甌穴(ポットホール)群は、ほぼ同一の規模をもった甌穴がほぼ同じ間隔で存在し、沢によっては100段を超える小滝・甌穴のセットが見られる、他に例をみない特異な地形景観であることがわかりました。
 
小泉先生は、数10年もしくは数100年に1回程度起こる 豪雨の際、現在岩盤になっている部分いっぱいに猛烈な水流が流れ、それが次々にジャンプして100段を超えるような小滝と甌穴を作ったのだと推定。これまで報告されたことのないタイプで、学術的な価値はきわめて高いと結論されました。教育委員会に提出された報告書を元に、町文化財専門委員会での議論を経て、正式に八丈町天然記念物に指定されました。
 
日本自然保護協会もかかわらせて頂いた調査の結果が、天然記念物の指定という結果につながったことはとてもうれしいことです。
 
八丈島にはこの他にも南原千畳敷と呼ばれる溶岩流の海岸や、それとはまったく異なる景観の玉石の海岸、集落内に点在する過去の巨大津波の痕跡である巨石、風穴など多くの”大地の遺産”があり、そこに根差した歴史や文化もあります。地域の自然資源を保全していくことがいずれはジオパーク登録につながると、期待しています。
今回、天然記念物指定にご尽力頂いた方々に敬意を表したいと思います。
 
【言葉解説】
※甌穴(ポットホール):河床や河岸の硬い岩石の表面にできる円形の深い穴。(地形学辞典より)
 
※ジオパーク:「地球・大地(ジオ:Geo)」と「公園(パーク:Park)」とを組み合わせた言葉で、「大地の公園」を意味し、地球(ジオ)を学び、丸ごと楽しむことができる場所。
ジオパークでは、まずそのジオパークの見どころとなる場所を「ジオサイト」に指定して、多くの人が将来にわたって地域の魅力を知り、利用できるよう保護している。(日本ジオパークネットワークのHPより)
 
 

DSC_0071.JPG
 
調査した甌穴群。小さい滝と甌穴のセットが何段にもわたって存在している。
 
 

DSC_0350.JPG
 
南原千畳敷。幾重にも溶岩が重なっている。
 

DSC_0521.JPG
 
玉石の海岸。家の周りの石垣に利用されている。
 

DSC_0383.JPG
 
集落の畑の中にある津波石。
 

DSC_0425.JPG
 
風穴。自然の悠久の時間を感じることができる。
 

リアルタイム日誌 ニュース&トピックス 一覧に戻る