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東日本海岸調査~東日本大震災と防潮堤計画

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2014.12.02

気仙沼市小泉海岸の巨大防潮堤の再検討を求める意見書を提出しました。

宮城県気仙沼市小泉海岸では東日本大震災の復旧事業として、宮城県内で最大規模の防潮堤の計画が進められています。しかし、国際的な防災の考え方や独自調査の結果から、日本自然保護協会では、事業を再検討し、自然環境の保全と減災・防災の両立する方法を検討することが必要であると考えました。12月1日付けで、これらを求める意見書を、内閣総理大臣・復興大臣・宮城県知事に送付しました。

● 宮城県気仙沼市小泉海岸の環境保全を求める意見書(PDF/238KB)

 


【プレスリリース】

気仙沼市小泉海岸の巨大防潮堤の再検討を求める意見書を提出

~自然を活かした減災・防災(Eco-DRR)の導入を~

 
宮城県気仙沼市小泉海岸では東日本大震災の復旧事業として、宮城県内で最大規模の防潮堤の計画が進められています。しかし、国際的な防災の考え方や独自調査の結果から、日本自然保護協会では、事業を再検討し、自然環境の保全と減災・防災の両立する方法を検討することが必要であると考えました。12月1日付けで、これらを求める意見書を、内閣総理大臣・復興大臣・宮城県知事に送付しました。
 
1) 国際的に、生態系を基盤にした防災・減災(Eco-DRR)の考え方が注目されています。
自然環境を保全することで、地域の産業に役立つと同時に、災害に対する地域の脆弱性を改善する事例が各国から報告され、注目されています。今年10月に開催された生物多様性条約第12回締約国会議で公表された地球規模生物多様性概況第4版(GBO4)では、地球温暖化の影響を受けやすい砂浜やサンゴ礁など沿岸域の生態系を優先的に保全する必要が指摘されています。
 
2)小泉海岸の砂浜で、100種近い生物種が確認できました。
事業主体による砂浜の調査は実施されておらず、日本自然保護協会は今年9月に専門家の協力を得て独自調査を実施しました。その結果、冷帯系種と温帯系種の両方を含む100種近い生物種が確認できました。全国的に砂浜生態系が劣化・喪失し続けているなかで、このように多様な種がみられる砂浜は東北地方には少ないものです。
 
3)自然環境の保全と防災が両立する方法を見つけることを望みます。
科学的な調査を行う時間を確保し、国際的な防災の考え方など新たな知見を踏まえて、自然環境の保全と防災が両立する方法を見つけることが必要だと考えます。
 

 

2014年12月1日
内閣総理大臣 安倍晋三 様
復興大臣   竹下 亘  様
宮城県知事  村井嘉浩 様
公益財団法人 日本自然保護協会
理事長 亀山 章
 

宮城県気仙沼市小泉海岸の環境保全を求める意見書

 
現在、宮城県気仙沼市小泉海岸では、東日本大震災の復旧事業として、宮城県内で最大規模の防潮堤の計画が進められています。
 
防災・減災の国際的な流れは、巨大防潮堤などの人工構造物ではなく生態系を基盤にした防災・減災(Eco-DRR:Ecosystem-based Solutions for Disaster Risk. Reduction)の考え方、つまり自然が持つ力を利用した方法が注目され、大きな議論となっています。沿岸部では、砂丘や森林を保全することで、地域の漁業などの産業に資すると同時に災害に対する地域社会の脆弱性を改善する費用対効果の高い方法である事例が報告され、自然の緩衝剤は往々にしてコンクリートの構造物よりも、高い防災効果を発揮するということが改めて確認されています。
 
また今年10月に生物多様性条約第12 回締約国会議(CBD COP12)にて公表された地球規模生物多様性概況第4版(Global Biodiversity Outlook 4)では、地球温暖化の影響を受けやすい砂浜やサンゴ礁などの沿岸域の脆弱な生態系の保全の必要性が強調され、優先的に保全を行うことが決められました。国際社会が直面している新たな課題です。
 
日本自然保護協会は、事業主体である県がこれまでに気仙沼・小泉海岸の砂浜の部分の調査を実施していないことから、今年9月に独自に小泉海岸の砂浜の調査を実施しました。短時間の調査でしたが、100種近い生物種が確認できました。現在の、東北にある海岸では大変珍しいことです。この結果からも学術上貴重な場所であることが推察され、時間をかけて科学的な調査を十分に行うことが必要であるという結論に至りました。
 
気仙沼・小泉海岸は南三陸で数少ない規模の大きな砂浜のある海岸です。上記の2点から、日本自然保護協会は、巨大防潮堤建設の再検討が必要と考えます。
既存の道路を改変して防潮堤の役割を果たさせるという代案も出ております。新たな知見を踏まえて、科学的な調査を行う時間を確保し、自然環境の保全と地域の減災・防災を両立させる方法を再考することを望みます。
以上
 
添付資料:
 
参考:
1)Sudmeier-Rieux.K, Ashi.N., Murti.R(2013)「減災(災害リスク軽減)のための環境の手引き」.IUCN-J翻訳発行
2)地球温暖化 “国内の砂浜 約90%消失も” NHKニュースおはよう日本 2014年2月1日 放送 http://cgi4.nhk.or.jp/eco-channel/jp/movie/play.cgi?did=D0013773142_00000
3)Convention of Biological Diversity (2014) ‘Global Biodiversity Outlook 4 (GBO-4) A mid-term assessment of progress towards the implementation of the Strategic Plan for Biodiversity 2011-2020’
4)環境省(2014)地球規模生物多様性概況第4版(GBO-4)要旨仮訳
 

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