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沖縄・辺野古 大浦湾の保全

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2014.06.04

「大浦湾チリビシのアオサンゴ群集」の天然記念物指定に関して要望書を出しました。


要望書を提出した市長室にて。(左からNACS-J安部、稲嶺市長、東恩納市議員(じゅごんの里代表))   

沖縄の地元の5団体と一緒に「大浦湾チリビシのアオサンゴ群集」の天然記念物指定に関する要望書を稲嶺進名護市長に6月3日に直接提出してきました。連名いただいたのは、地域に根差して活動を進めているじゅごんの里、ダイビングチームすなっくスナフキン、北限のジュゴンを見守る会チーム・ザン、沖縄・生物多様性市民ネットワーク、沖縄リーフチェック研究会です。

「大浦湾チリビシのアオサンゴ群集」の天然記念物指定に関する要望書(196KB)

 


 
2014年6月3日
名護市長   稲嶺 進 殿
 
じゅごんの里
代表 東恩納 琢磨
 
ダイビングチームすなっくスナフキン
  代表 西平伸
 
北限のジュゴンを見守る会チーム・ザン
代表 鈴木 雅子
 
沖縄・生物多様性市民ネットワーク
吉川 秀樹
 
沖縄リーフチェック研究会
代表 安部 真理子
 
公益財団法人 日本自然保護協会
理事長 亀山 章
 
 

「大浦湾チリビシのアオサンゴ群集」の天然記念物指定に関する要望書

 
私たちは1998年より沖縄島東海岸の海域において、サンゴ類をはじめとする自然環境調査を継続的に実施してきました。名護市大浦湾は未知の部分が多く、その一つが2007年9月に発見された「大浦湾チリビシのアオサンゴ群集」です。このサンゴ群集は、長さ50m、幅30m、高さ14mに達するものであり、単一の種からなるサンゴ群集がこのような規模になるのはこれまで報告例がなく、発見以来、各研究機関の方々やWWFジャパンなどとの合同調査をもとに学術的な価値を探求してきました。
 
その結果、アオサンゴ群集は健全な状態を保っており、アオサンゴ群集を取り巻く環境、すなわち大浦湾とその周辺全体が生物多様性に富む豊かな海域であることがわかってきました。気候変動問題に伴うサンゴの白化現象、オニヒトデ被害、海洋酸性化などが原因で、琉球列島のサンゴ礁が危機的状況にあるなか、このアオサンゴ群集は世界的にも貴重で普遍的な価値を持つことから、天然記念物として積極的に保護し、次世代へ引き継ぐべき沖縄の宝であると考えられます。
 
2010年に日本が議長国として開いた生物多様性条約第10回締約国会議で採択された愛知ターゲットにも、脆弱なサンゴ礁などの生態系の保全が明記されてあり、昨年は沖縄で開催された「地球温暖化防止とサンゴ礁保全に関する国際会議~環境と共生した豊かな美ら島づくり~」においても、世界的にサンゴ礁が危機に瀕しているため、積極的に保全することの大切さが確認されました。
今秋、韓国にて開催される生物多様性条約第12回締約国会議では、愛知ターゲットの達成状況が日本政府に問われます。アオサンゴ群集の天然記念物指定は、市民が真の意味で自然と共生し、自然の恵みを享受できることにつながり、沖縄県名護市のサンゴ礁保全への取り組みの姿勢を世界に伝える良い機会になると思われます。
 
以上のこと及び下記の理由により、「大浦湾チリビシのアオサンゴ群集」を名護市の天然記念物に指定することを強く要望します。
 
理由:
(1) アオサンゴはIUCN(国際自然保護連合)のレッドデータリスト絶滅危惧Ⅱ類に掲載されるほどに世界的に危機的状況にある。
 
(2) 大浦湾チリビシのアオサンゴ群集は、単一種の群集としては特異的に規模が大きく(長さ50m、幅30m、高さ14m)、他に報告例がない。また、石垣島白保のアオサンゴ群集とは形状が異なり、世界的に見ても希少なものと言える。
 
(3) 遺伝子解析の結果、石垣島白保のアオサンゴ群集とは異なる遺伝子構成をもつことが判明した。したがって他の海域に生息するアオサンゴ類とは区別して考える必要がある。
 
(4) 遺伝子解析の結果、クローンである可能性が非常に高いことがわかった。これは環境の変化への耐性が弱いということであるので、より積極的な保護策が必要である。
 
 
添付書類:
(1)「沖縄島・大浦湾におけるアオサンゴ群集 合同調査レポート(速報)~生物多様性豊かな辺野古・大浦湾の海~」. 日本自然保護協会・WWF ジャパン・国士舘大学地理学研究室・沖縄リーフチェック研究会・じゅごんの里、2008年7月発行
(2)The Daily Yomiuri.2008年7月22日 「Verdant seas」
(3)読売新聞2008年10月7日「哺乳類4分の1、絶滅危惧種に」
(4)「大浦湾生き物マッププロジェクト報告書」. 沖縄リーフチェック研究会.2009年3月5日発行
(5)「辺野古・大浦湾 アオサンゴの海 生物多様性が豊かな理由 ―合同調査でわかったこと―」.日本自然保護協会・WWFジャパン.2009年4月発行
(6)月刊 地図中心 通巻442号「特集 大浦湾の海 大浦湾を識る」。財団法人日本地図センター、2009年7月10日発行
(7)「石垣島東海岸と本島大浦湾におけるアオサンゴ群集の地形的・遺伝的特性の把握」2008年11月21日. 第10回日本サンゴ礁学会講演要旨集 p92
(8)琉球新報2008年11月23日「大浦湾アオサンゴ  単一遺伝子型と判明」
(9) Yasuda et al (2012).Large-scale mono-clonal structure in the north peripheral population of blue coral, Heliopora coerulea. Marine Genomics.
(10)Yasuda et al (2014). Genetic structure and cryptic speciation in the threatened reef-building coral Heliopora coerulea along Kuroshio Current. Bulletin of Marine Science.
 
 
 

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