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2014.04.25

持続可能な自然エネルギーの導入促進に対する共同声明を出しました。

わたしたちは自然環境の持つ許容量を超えて消費を拡大し続けてきた結果、生物の大量絶滅や地球温暖化の加速など、地球環境の危機的な状況を引き起こしてきました。今後も、このような社会形態を維持し続ければ、将来に渡り自然の恩恵を受けた暮らしを続けていくことは難しくなります。
暮らしを支える自然を次世代に引き継ぐためにも、持続可能な社会への転換が必要です。そのためには、温室効果ガスの排出削減対策とともに、2050年には日本の人口が1億人を下回ることが予測される中で人口減少社会を基本とした国土デザインが重要となります。日本自然保護協会は、日本野鳥の会と世界自然保護基金(WWF)ジャパンとともに、持続可能な自然エネルギー推進のための共同声明を発表しました。

 

持続可能な自然エネルギーの導入促進に対する共同声明(PDF/198KB)

 


2014年 4月25日

持続可能な自然エネルギーの導入促進に対する共同声明

公益財団法人 日本自然保護協会
公益財団法人 日本野鳥の会
公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン
私たちはこれまで、自然環境の持つ許容量を超えて消費を拡大し続けてきた。その結果として、生物の大量絶滅※1)や大量の温室効果ガス排出による地球温暖化の加速※2)など、地球環境に甚大な影響を引き起こしてきた。これまでのような社会形態を維持し続ければ、今の豊かな自然を残すことが困難となることは自明である。
次世代に自然豊かな社会を引き継ぐためにも、自然の恩恵を適切かつ持続的に享受できる社会への転換が必要である。そのためには、地球の温度上昇を産業革命前に比べて2度未満に抑えるような極めて早期の温室効果ガスの排出削減対策が必要であり、同時に、2050年には日本の人口が1億人を下回ることが予測される中では、人口減少社会を基本とした国土デザインが重要※3 )となる。こうした観点から私たち自然保護団体は、持続可能な自然エネルギー推進にあたり以下の点について共同の声明を発表するものである。
1.原子力発電所の早期廃止、再生可能な自然エネルギーの導入促進は喫緊の課題である
原子力発電は一度事故が発生すると、自然環境はもちろん社会環境に対しても不可逆的かつ 深刻な影響を及ぼす。このことは、2011年3月11日に発生した東日本大震災に端を発する福島第一原子力発電所の事故により証明された。また、わが国は複数のプレート境界に位置することから、数多くの原子力発電所立地地域には活断層が存在しており、原子力発電所や使用済み核燃料の最終処分場の立地において安全といえる場所は国内には存在しない。将来世代に禍根を残す原子力発電はなるべく早期に廃止していき、エネルギー消費の少ないライフスタイルへの転換と、適切な環境への配慮を伴った再生可能な自然エネルギーの導入に、積極的に取り組んでいく必要がある。
2.自然エネルギーの推進は、生物多様性及び地域社会と共存する形で行われること
生物多様性国家戦略2012-2020によれば、日本の生物多様性は4つの危機にさらされている※4 )。その中でも第4の危機である地球温暖化は、我々の暮らしを支える生物多様性の基盤を根幹から破壊する可能性があり、現代における最大の危機と言える。この解決のために、持続可能な自然エネルギーの導入促進が急務であることは自明である。一方で現代世代を生きる我々の責務は、持続可能な自然エネルギーを中心としたエネルギー供給体制へと早急に社会構造を改善し、豊かな自然環境を後世に引き継ぐことである。ただし、この観点で自然エネルギーの導入のための開発行為が国家戦略でいう生物多様性への第1の危機になってはならない。
3.自然エネルギーへの理解と継続的な普及のため、当初からの地域社会の参加による透明性の
ある、合意形成プロセスや環境アセスメントが例外なく実施されること。
自然エネルギーの導入は喫緊の課題であり、より一層の推進が必要である。しかしながら、これまでも各地で自然保護側、事業推進側、また地域側との間でも軋轢や紛争が生じていることは事実であり、自然エネルギーの導入を長期的に見た場合、決して望ましい状況ではない。
その解決のためには、これまでよりもさらに透明性が高い合意形成プロセスを事業計画の当初から組み込み、環境影響評価の手続きの中に導入していくことが重要である※5 )。つまり、事業の立案および計画の段階から公開の場で、事業者、自治体、地域住民、自然保護関係者、専門家など広く利害関係者を交え、その地域の環境維持と地域経済維持にふさわしい規模や場所を議論し事業計画を決定していくという合意形成プロセスを踏まえることが必要であり、このことこそが本来的な環境アセスメントの手続きである。こうしたプロセスを例外なく実施すべきである。ただし、その際には、エネルギー全体の中で自然エネルギーの導入にとって極端に不利になることを避けるようなプロセスの合理化が必要であり、真に持続可能な自然エネルギー体制を作り上げるような強力かつ透明性のあるプロセスの設立が急務である。
以上
<参考>
1)  生物の大量絶滅に関しては、Eco-Economy-Update 2004-1(http://www.worldwatch-japan.org/NEWS/ecoeconomyupdate2004-1.htm)で過去五回に匹敵するほどの大量絶滅を迎えようとしているという生物学者たちの共通した見解が示されている。
2)  地球の温暖化に関しては、その実態を客観的・科学的に分析・提言する国際機関であるIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の評価報告書により評価されている。最新の第5次評価報告書では、20世紀半ば以降の地球の温暖化傾向については、人為的な影響による可能性が極めて高いと評価(95%以上の発生確率)。2100年までには、1986~2005年の世界平均地上気温と比較して最大で4.8℃の上昇が指摘されている。
3)  地球環境の指標の一つ「エコロジカルフットプリント」によれば、現在、地球1.5個分の消  費をしており、「自然環境の持つ許容量を超えた」現状が明らかになっている。
4)  生物多様性の4つの危機は、最新の「生物多様性国家戦略2012-2020」により指摘されている。また、生物多様性基本法、(基本原則)第3条 5項「生物の多様性の保全及び持続可能な利用は地球温暖化の防止等に資するとの認識の下に行われなければならない。」と記述されている。なお、第1の危機は、開発や乱獲による種の減少や絶滅および生息・生育地の減少。第2の危機は、里地里山などの手入れ不足による自然の質の低下。第3の危機は、外来種による生態系のかく乱。そして第4の危機が、温暖化による地球環境の変化による危機である。
5)  環境アセスメントの実施は、「生物多様性基本法、第25条(事業計画の立案の段階等での生物の多様性に係る環境影響評価の推進)」で記述されている。

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