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2011.05.12

地域の保全活動を支援する「生物多様性保全活動促進法」を活用しよう。

会報『自然保護』No.521(2011年5・6月号)より転載

市民活動が生み出した法律

 
2010年12月10日、「地域における多様な主体の連携による生物多様性の保全のための活動の促進等に関する法律(生物多様性保全活動促進法)」が制定されました。環境省は今秋の施行に向け、検討会を設け基本方針案を作成しています。そこにNACS‐Jも参加し現場の活動に少しでも役立つ運用が図られるよう提案しています。
 
法律制定の背景には、生物多様性基本法(08年制定)と昨年開催された生物多様性条約COP10があります。この法律は、生物多様性は地域の自然・社会的条件に応じて保全されることが重要との認識に基づき、国が地域のさまざまな人たちが連携して行う保全活動を促進するための施策を行い、豊かな生物多様性を保全することで健康で文化的な生活を確保することを目的としています。
 
これまで全国各地で行われてきた市民による森や里やま、干潟などの地道な保全活動があったからこそ、この法律ができたといっても過言ではありません。地域主体の保全活動促進の観点から、特に注目したい4つのポイントを紹介します。

1.市町村が中心になって 「地域連携保全活動計画」をつくる
市町村は、対象地域を決めて市民やNPO、事業者、専門家など地域のさまざまな人たちと協議会をつくって相談し、地域連携保全活動計画をつくることができます。これまで活動してきた、またはこれから活動したい、というやる気のある市町村は、この計画で国や県の支援を得てさらに活動を充実させたり、活動の第一歩を踏み出すことができます。また、制度面では、これまで保全活動を行う際、自然公園法などほかの法律に絡んで手続きが複雑でしたが、保全活動計画に沿った活動であれば手続きが簡略化されます。

2.市民やNPOは市町村に対し保全活動計画を提案・参画できる
市民やNPOは、将来にわたり残したい、大切に思う地域の自然を守るための活動のアイデアを市町村に提案することができます。もし担当者が、生物多様性保全についてあまり認識できていない場合は、法律を根拠に説明し、理解してもらうところからコミュニケーションを図ることも大切です。

3.都道府県は地域連携保全活動支援センターなどの活動促進の体制をつくる
都道府県は、活動する人と活動場所の土地所有者、活動を支援したい企業などの考えや思いを受け止め、関係者間の調整と関係づくり、情報提供を行う体制をつくることが求められています。市民やNPOは、そのような場づくりに関して意見を出し、地域の保全活動に必要な支援、便利な体制をつくるよう働きかけることもできます。

4.環境省、農水省、国交省の3省が所管する法律である
生物多様性保全は、環境分野だけの課題ではありません。農林漁業や、土木・建設事業、土地利用などの国土管理のあらゆる場面で取り組まなければなりません。地域での保全活動から、生物多様性を守ることが持続可能で健全な農林漁業を支え、保全型の土地利用がふるさとの風景や都市の良好な景観を守り、豊かな暮らしを生み出すことを実現していきましょう。
 
環境省はこの基本方針案に対して、5月に意見の募集(パブリックコメント)を予定しています。法律がよりよく運用されるためにも、皆さんの地域での保全活動の経験から、ぜひ意見を届けてください。

●多様な主体と連携したNACS-Jの活動例
この法律を活かして市町村と連携することで、里やま保全活動や外来種駆除、希少種の保全活動などの活動が推進しやすくなります。
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(左)綾の照葉樹林プロジェクト/宮崎県、林野庁、綾町、てるはの森の会と協働
(右)モニタリングサイト1000里地調査・中池見湿地/環境省、敦賀市、ウエットランド中池見、市民と協働

(開発法子/事務局長)

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