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大雪山系・日高山地の保護林拡大

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2010.07.01

大雪山系から日高山脈にかけて 巨大な保護地域がいよいよ誕生します。

会報『自然保護』No.516(2010年7・8月号より転載)


北海道の国有林は森林面積の6割を占め、自然の元本となってきた環境です。しかし、明治以来、低標高地域から奥山の中腹まで激しい木材資源利用が続いてきたことから、森の再生が困難になった場所も増えています。今の課題は、地域ごとにその土地なりの植物群落を守り、そこにすむ数多くの野生生物種によってつくられている生物多様性が低下しないよう維持し、もとの姿の森林に近づいていくよう修復計画を立て、生態系サービス力の回復を図ることです。これは、これからもこの自然の中で人が暮らしていくための、基盤の修復事業そのものです。

大雪日高保護地域.jpg昨年5・6月号で経過をお伝えしましたが、2007年3月に林野庁・北海道森林管理局の中に生物多様性検討委員会が設置され、この5月までに9回にわたって開かれてきました。

NACS-Jはこの会議に参加し、大雪山系から日高山脈にかけての広大な国有林の保護林を拡大し、重要な森林環境の多様性を保全すべきとする提言を出しました。

具体的には、大雪山系と日高山脈の森林生態系保護地域と、このふたつの保護林をつなぐ緑の回廊を拡大し大きな保護地域にすること。またその周辺部に、ほかの種類の保護林や別の制度による保護地域を隣接させ、日本最大の森林保護区をつくろうとするものです。このことにより、国立公園(大雪)や国定公園(日高)とされている範囲の保護対策との整合性も高められるはずだと考えています。

生物多様性検討委員会では私を含む2名のワーキンググループで、大雪と日高の森林生態系保護地域をどのような区域にまで拡大すべきかを約1年間検討し、原案をつくりました。区域に含めたかったのは、広い行動圏を持つヒグマ、大径木のある森林を使うクマタカとクマゲラ、特殊な岩場が生息地のナキウサギ、傾斜の緩やかな渓流沿いの森にすむシマフクロウなど希少な野生生物の繁殖条件を潜在的に備えた場所。そして、存在する植生タイプと、それをつくり出す地形地質のタイプひとそろいを極力網羅するという、ふかん的な手法を使いました。

パブリックコメントにご意見・ご要望を

この原案に基づいて、5月から実際の設定案を審議する設定委員会が公開で始まり、9月までに範囲を決めることになっています。

このプラン通りに決まれば、ふたつの森林生態系保護地域とみどりの回廊を合わせて面積2.6倍増、長さ200㎞を超える大規模な保護地域となります。大雪山系は、今の生態系保護地域1万haに6.9万haを加えて約8万ha、日高山脈は今の6.6万haに7.7万haを加えて約14万ha、間をつなぐ緑の回廊約1.7万ha、合計約24万haとなります。ただし保護管理にあたっては、増加中のエゾシカとの関係を制御する難題が待っています。

6月中旬には、林野庁・北海道森林管理局のウェブサイトでパブリックコメントが行われます。疑問・質問、意見や要望をぜひお届けください。届いたものはひとつひとつ検討され、活用されます。

(横山隆一/常勤理事)

■北海道森林管理局ウェブサイト
http://www.rinya.maff.go.jp/hokkaido/

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