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愛知・藤前干潟の埋め立て問題

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1998.09.22

「埋め立ての前にごみ減量策と循環型社会作りを」

 


1998年9月22日

名古屋市長(名古屋港港湾管理者の長)
名古屋市議会議長
運輸大臣
環境庁長官     松原武久 殿
加藤 徹 殿
川崎二郎 殿
真鍋賢二 殿

 

(財)日本自然保護協会
保護部長 吉田正人

 

藤前干潟の埋め立て申請に反対する緊急要請

8月20日名古屋市は、藤前干潟を一般廃棄物の最終処分場として埋め立てる計画に関する環境影響評価の評価書を提出しました。9月22日から開かれる市議会での同意決議を経て、10月上旬には運輸大臣に対して、公有水面埋め立ての認可申請が出されると聞いています。

日本自然保護協会は、今年2月に名古屋市環境事業局長、名古屋市環境保全局長、愛知県環境部長に対して、「アセスメントで不足している調査を実よ施し、それに基づき徹底した議論を行うよう」求めた緊急要請書を提出しました。その後、市の環境アセスメント審査委員会で「渡り鳥と干潟への影響は明らか」とする答申、県の環境アセスメント審査委員会でも「渡りの成功率、環境への影響が想定される」とする答申が出されたにもかかわらず、名古屋市は「影響はあるが、代償措置でできるだけ少なくする」とする評価書をまとめています。

しかし、当協会も加わっている「人工干潟実態調査委員会」の報告書によれば、国内に造成された人工干潟は、面積に狭く、生物の現存量や、水質浄化機能などすべての面で自然干潟には及ばず、人工干潟の造成によって藤前干潟の消失を代償することはできないことが明らかとなっています。また環境アセスメントが求めている環境保全措置(ミティゲーション)は、代償措置の前にまず、回避、低減、最小化などの保全努力を求めており、代替地をさがす努力を十分に行わずに、代償措置を持ち出すこと自体がミティゲーションの意味を曲解するものです。

環境庁の調査によれば、1945年以降1992年までの間に国内の干潟の約40%が失われましたが、当協会が残された干潟の現状を調査したところ、開発計画がある干潟がすべて失われると、さらに現存の干潟の約40%が失われることがわかりました。日本の干潟は、まさに風前の灯火となっています。

このまま、公有水面埋め立ての手続きが進行し、伊勢湾奥に残された最後の干潟である藤前干潟が埋め立てられるならば、日本の干潟の危機をさらに進行させるばかりでなく、ラムサール条約や渡り鳥に関する二国間条約などの締約国としての責任を放棄することになり、国際的な信用の失墜にもつながります。また、来年6月から施行される環境アセスメントでは、これまでの保全目標達成型から環境保全努力型に変わることで、実質的に国内の自然保護が推進されることが期待されていますが、環境アセスメントで影響ありと判断されながら開発はすすめるという矛盾を解決せずに埋め立て申請に対する許可が与えられるならば、環境アセスメント制度そのものに関する信頼も失われることになります。

そこで、日本自然保護協会は以下のようにように緊急に要請します。

1. 名古屋市長(名古屋港港湾管理者の長)および名古屋市議会議長は、公有水面埋め立ての認可申請提出を一時凍結し、「ゴミ問題緊急事態宣言」を出して他の都市で実施しているような分別収集・事業ゴミの有料化などあらゆるゴミ減量策を実施して愛岐処分場を延命し、その間、代替地の再検討と近隣市町との交渉を行い、同時にゴミの再資源化をはかり、藤前干潟を処分場としなくてもよい循環型社会作りに努めること。

2. 運輸大臣は、名古屋市から公有水面の埋め立て認可申請が出された場合には、自然保護、ゴミ問題など環境上の問題が多いことから、環境庁長官の意見ならびに自然保護、リサイクルに携わってきたNGOの意見を十分に聞いた上で、これらの問題が解決できないと判断される場合は、埋め立て免許の申請を却下すること。

3. 環境庁長官は、藤前干潟を埋め立てることが、ラムサール条約、各国との渡り鳥条約をはじめ、国際的な合意に違反するものであり、来年から施行される環境影響評価法の信頼さえ損ないかねないものであることに鑑み、公有水面埋め立て認可申請に対して、環境行政の立場から断固たる意見を表明すること。

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